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2021.10.3|熊本@西宮|スモールボールの憂鬱

2021-22シーズンが始まりました。今季もバスケットLIVEで適当に気になる試合を観ては思いつきを書いていきます。1節1回くらいの更新が限度になりますが、「誰も書きそうにないこと」に絞って考えていくつもりです。まあそもそもB2のことなんて誰もあんまり書かないけどさ。

さて、開幕節は全試合ではないけれど、すべてのカードを観ました。1試合目なので感想も何もないわけですが、西宮と熊本の試合については思い付いたことがあったので、書きながらまとめてみようと思います。なお、まとまらない場合もある。

■西宮の問題はオフェンスリバウンドか?

西地区の強豪対決となったこのカード。東地区の越谷@FE名古屋と共に、リーグも興行的にマッチメイクを考えられるようになってきたんだなという感想はさておき、インパクトの大きい補強を敢行した両チームがどれくらいの仕上がりで開幕を迎えるのか気になるような、開幕だからあまり参考にならないような気もする試合なのでした。

結果はご存じの通り熊本が2連勝。だからどうということもないのですが、ホーム開幕節を連敗した西宮のフロントにとっては頭の痛いところ。昨季のプレーオフから数えて4連敗。アリーナや補強で明るい材料があるにもかかわらず今一つ盛り上がらないよね。ただ、試合展開は非常に面白いもので、現地観戦のブースターにとっては手に汗握る熱戦だったことでしょう。

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その内容に目を向けると、どうしても目立つのがオフェンスリバウンド。西宮の3本に対して熊本は17本。セカンドチャンスポイントは熊本の18-0と圧倒的な差が付いてしまいました。結果を見ればこの差だよねと言いたくなりそうですが、実は熊本のORのうち9本は1Qで、このQは西宮が勝っている。実際、観ている限りでは著しくリバウンドへの意識が低いという印象はなかったし、アンラッキーな面もある。影響がなかったわけではないけれど、そもそも西宮は高さやセンターで勝とうとはしていないわけで、ある程度は許容範囲なんじゃないの。

それよりも気にした方がいいのは3FG%。試合を通しては26本中9本成功の34.6%とそこまで悪い気はしないものの、前半が14本中7本で後半は12本中わずかに2本しか決まらなかったんじゃ目も当てられない。昨季からウィングを厚くし、ハンドラーを増やすスタイルに取り組んでいる西宮は、今季はさらにシャキール・ハインズと川村卓也を加えてさらなる充実を図っているわけですが、その結果がこれじゃね。

もう一つ気になったのは、特に後半、西宮のいい形はトランジションに偏っていたこと。スモールボール的なノーセンターのラインアップでは、走れることももちろん狙いの一つにはなるものの、だったら川村やハインズを取った意味は何なんだ。走るんならそれこそリバウンドが重要で、マット・ボンズの方が良かったぜ。中西が速攻に参加してくれるのは強力だけどね。結局、後半のスリーが壊滅的だったこともあり、ハーフコートのボールムーブで崩したシーンはほとんどなく、ウィングでのピックからドライブみたいなシンプルな形ばかり。サイドチェンジするようなパスも、それ以前にオフボールムーブもないからボールが動かないよ。進化した姿を見られるのはもう少し先になりそうです。

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■熊本の外国籍選手の起用法

一方で、熊本はどうだったか。悪くはなかったけれど、すごいかと聞かれるとそうでもなく。一番注目していたのはウルトラバージョンアップした外国籍選手の起用法でしたが、特に変わったことはしていませんでした。出場時間はジョーダン・ハミルトンが32分超、ベンジャミン・ローソンが29分弱で、LJ・ピークが18分強ってそれでいいのか? ハミルトンとピークが同時にコートに立つ時間も少ないながらありましたが、その時には保険として必ずファイ・サンバが特約で付いてくる。

攻撃の形としては、ハミルトンやピークが1on1を仕掛けるパターンが多く、あとは古野とローソンのピックプレーとか。アシストが17しかないのはこのメンバーとしては寂しく、ハミルトンは8アシストだけど、それも結局は自分にマークが集まったところでパスを捌いただけで、ボールムーブが前提になったものではありませんでした。外国籍のエースが個人技で得点を稼いで、ビッグマンがオフェンスリバウンドやファウルをもぎ取る。で、エースの代わりに出てくるのは別の外国籍選手って、なんだよ全然新しくないじゃないか。熊本に求めてるのはそういうのじゃないんだよ。石川海斗とマーベル・ハリスとイバン・ラベネルを出て、これどうなるねん?みたいなショーケースなんだ(個人の感想です)。

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■B2とスモールボールの行方

そう、確かに好試合ではあったけど、新しくはなかったんだ。ムボジのオフェンスでの序列を明らかに下げてきている西宮と、外国籍選手のウィングからの得点力が爆上がりした熊本。現代のトレンドを取り入れた編成で挑む2チームの開幕は、戦略的な新しさという観点ではこれといったものはありませんでした。そう思ってふり返ると、ベンジャミン・ローソンのオフェンスリバウンドで勝敗が決したシーンも味わいが増してきます。味わいって何?

説明は省くけれど(各自で調べてね)スモールボールをやるためにはいくつか前提となる要素があると思っていて、例えばディフェンスでは誰もが複数ポジションを守るため全員に「ある程度」のフィジカルが必要だし、オフェンスではスリーを決められるシュート力や高さに代わる武器としての運動量、そこにボールを供給できるパスセンスなどなど。しかもそれが個人ではなくチーム全体に対して求められたりする。戦術の錬成に時間がかかるだけでなく、そもそも体格差が激しく能力差にもバラつきのあるBリーグ(特にB2)にスモールボールは不向きなのかもしれないとさえ思ったり。昇格がかかるシーズンには冒険もしづらいだろうしね。

これからどうするんだろう。西宮はスリーの確率が上がってくればもう少し楽しくなりそうだけど、デクアン・ジョーンズやハインズにお任せみたいな場面もちょこちょこあったし、仮にそれが上手くいったとして中西や劉はどうしよう。ただ、結果が出そうなぶん、むしろ熊本の方が今後もあまり変わらなさそうで、ハミルトンとピークが交互に1on1しますみたいな状況にならなければいいけれど。いや、むしろそれはそれで面白いか。

まあ、ウィングを厚い編成にしたからって即スモールボールだと決めつけて、何か新しいことを期待した方が間違いだったのかもしれない。すみません。よく考えたら、両チームともシビアに結果が求められる立場。まずは確実に機能する部分を強調するのは当然なわけで。そう、ここはB2。改めてこのステージの現実を思い出させてくれたいう意味では、実に開幕節にふさわしい試合でした。まさかこんな結論になるとは夢にも思ってなかったよ。




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