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12.12|西宮@山形|必要なプレー

今まであまり観たことのないチームを観てみようと選んだこのカード。山形は序盤は勝ち星に恵まれませんでしたが、外国籍選手にアンドリュー・ランダルを加えるなどして、少しずつ勝てるようになっています。対戦相手は西宮。例の隔離期間における違反問題も記憶に新しいところですが、意気込みほどには勝てていないのが辛いところ。西地区が混戦気味になってきたのがせめてもの光明といったところでしょうか。

そんな西宮の苦しいシーズンを裏付けるような立ち上がり。西宮はしっかりセットを組んでアレクサンダー・ルオフらがボールをワイドに展開するのですが、せっかくつくったスリーが決まりません。7本打って決まったのは1本だけ。3FG%はB2最下位に沈む西宮。

西宮のスリーはハイピックからハンドラーがペイントへ向かい、逆サイドへスキップパスを送ったり、コーナーへ捌くのが基本パターンなのですが、そもそもそのパス必要?みたいなのも多い。そのままレイアップ行けよ、みたいな。堅守速攻みたいなチームが多いB2では、西宮は異色とも言えるほどにケレン味たっぷりの凝ったバスケットをやるのですが、なんだか戦術が過剰になっている印象も。まあ、シュートを決めればいいわけだけどさ。

ディフェンスはディフェンスで、わりと積極的にダブルチームを仕掛けたり、早め早めにスイッチをしたがるわりに、そこまでのヘルプが必要なのかわからないシーンも結構あって。抜かれてないのに寄ったりするもんだから後ろがオープンになるし。もうちょっとマークマンが頑張らないといけないんじゃないかな。山形のオフェンスはそんなに難しいものではなく、強力なのはクラントンのバックダウンかランダルのアタックなわけですが、それまでのプロセスでの無駄なファウルも多い。強く当たりたいという気持ちはわかるものの、そこでそのプレーいる?という疑問がディフェンスでもやっぱり見られるのでした。

とはいえ、そのあたりがある程度改善されたために、2Qに追い付くことができたのでしょう。オフェンスではスリーを止めて、ドライブやポストアタックからの展開に変更したのが功を奏しました。1Qの3FGAが7本で、2Qは2本ってなんだか同じチームとは思えないな。なんというか、メンバー的に見劣りする山形は、これまでのB2的な外国籍中心のバスケットをするしかない状況で、その相手にわざわざややこしめの戦術を駆使しようとする西宮との「噛み合わなさ」を感じた前半でした。タレントに頼るバスケットはしたくない西宮ですが、もっとシンプルに選手の能力に任せていい場面もあるんじゃないかな。

同点で始まった3Qですが、山形が徐々にリードを広げていきます。理由は単純明快で、アンドリュー・ランダルに全権委任したこと。1on1やクラントンとの2メンゲームはもちろん、ボール運びやPGの役割も担います。とんだスコアリングガードだぜ。それでいいのかという見方もあるけれど、勝つためには必要な選択肢かもしれない。限られた中でなんとか勝利の糸口を見つけようとする山形。細かいセットプレーなんて要らないんだ。

西宮は中盤までは松崎選手が引っ張る形でゴールへ直線的に向かうオフェンスも見られたのですが、中盤以降はインサイドへボールを集めるものの、シェイク・ムボジのシュートがイマイチで山形にリードを許す形に。ゴールに近いところで確実に点を取りたいのわかるけれど、それをやるならムボジじゃサイズが物足りない。それだけ周りにいいシューターがいて、無理やり(でもないか)ポストプレーさせるのはどうなんだ。重量級のビッグマンを置かずに、華麗なボールムーブやポジションチェンジで相手を翻弄したいものの、なかなか結果が付いてこないために仕方なく…といった苦しい台所事情。これ以上は負けられないしね。居酒屋がランチ営業をしているような取ってつけた感が伝わってくるのでした。

8点リードで4Qを迎えた山形がアップセットを演じるかに思えましたが、西宮が怒涛の追い上げで一気に逆転。ルオフが上手くスペースをつくり、空いたインサイドに日本人選手が仕掛ける形。西宮は要するにこれをやりたかったんだよね。1Qと違ったのは周りがガードばかりで、山形の外国籍選手がルオフをマークせざるを得ず、これによって山形のディフェンスが戸惑った感じがありました。あとはスリーがちゃんと決まったこと。試合を通して俯瞰すると狙い所や目指すスタイルが曖昧な西宮ではありましたが、最後はチーム力の違いを見せつける格好で勝利をおさめました。





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