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新喜劇の台本が出来るまで①

新喜劇の台本って、どういうふうに作られてるの?
てのを、時々聞かれます。盆暮れに会った親戚とか、通ってる美容院の美容師さんとかから。
今日はその辺を書いてみます。

サンプルは、10月16日から一週間、なんばグランド花月で上演された、すっちー座長の『カゲッシーで村おこっしー!』という新喜劇。
この作品が特別成功作だというつもりはなくて、あくまでサンプルとしてね。
新喜劇にネタバレだなんだとうるさいことを言うかたは少ないと思いますが、以下の文章で多少話の内容に触れていますので、ご承知おきを。

9月頭。
公演初日の一ヵ月半くらい前から、そろそろ打ち合わせを始めましょうか、と吉本の社員さん(制作の人、なんて呼び方を現場の人はします)から連絡が来ます。
「わかりました、準備しておきます」てんで、その数日後に一回目の打ち合わせが設定されます。

9月某日。
一回目の打ち合わせ。その日に合わせて僕は資料を提出しています。
プロット、というよりはその手前、アイデアや設定の核となるものですね。
たとえば、こんな調子のもの。

『過疎に悩む花月村。村おこしのために、未確認生物をでっちあげることにする。ネス湖のネッシーみたいに、花月湖のカゲッシーとか? カゲッシーのグッズを作ったり、着ぐるみを着てイベントをしたり。ところがテレビの取材が来る日に、着ぐるみを着るスーツアクターがケガをしてしまった。誰が代役をする? というハプニングの一方で、青年団のリーダーと、村長の娘の密かな恋があったり……』

こういう感じのものを七つか八つ、打ち合わせに先立って提出してるわけです。
で、このとき座長がチョイスしたのが、カゲッシーのネタ。

「この村おこしの話で行きましょうか。ただ、スーツアクターがどうこうというより、首だけのハリボテを作って、それをすち子が操作する、みたいなほうが遊べそうですね」と、すっちー座長。
「あ、いいですね。わかりました」てんで、次回はもう少し詳しいプロットを組んできます、ということになり、数日後の二回目の打ち合わせが設定されます。

9月第二週。
二回目の打ち合わせ。村おこしの話を膨らませたプロットをもとに、細かなボケや遊びを出していったり、ストーリーの整合性を詰めていきます。
で、今回の話、ボケはたくさん思いつくけど、ストーリーの運びがなあ、と座長と二人で悩みました。恋愛の話がどうもからませにくい。
ま、暫定的に打開策はこれかな、と方針が決まったところで、この日の打ち合わせはお開き。また数日後の打ち合わせが設定されます。(次のノートに続きます)

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