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一億光年の宝

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北海道別海町中春別の小幡牧場の日常をモデルとした考察の中から産まれたポエム、エッセイの数々。酪農と宇宙を探偵作家土木警備員の著者がコラボさせるなど、好き放題やっている。創作なので…
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#ビートジェネレーション

『男は荒野を進め』

僕だけが一億光年分の価値のある宝物を探しに行く。それは荒野を一人で歩く事と同じ位孤独な行為だ。 誰も僕の背中を押してはくれなかった。 誰もが一億光年分の価値のある宝物の存在を認めてくれなかった。 だから僕は、言葉で言葉で殴り付けてやることにした。 生かすか殺すか。生きるか死ぬか。 殴り付けても、殴り付けても、殴り付けても、誰も宝物の存在を信じてはくれなかった。 もう我慢の限界だ。 いつでも男は、荒野を一人で進む。 ヒタヒタと音を立てる。 足音が、僕の意識を軽

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『戦士の休息』

戦士の束の間の休息。 十代後半に、自由を求めてブラついて、この土地に流れついてから四半世紀以上、雨が降ろうが槍が降ろうが、男は戦う事を止めない。一日でも体を休める事を許さない、許されない。 男はある時、十字路のど真ん中に立たされた。頭の中で何かがスパークした。ガタンと歯車が回る音を、男は聞いた。 それは男が大地にへばりついて、朽ち果てるまで戦い抜く事を決意した音だった。 男は十字路を正面きって突破した。 旅と冒険がもたらす、刑罰と釈放。 臆病風に吹かれて、十字路を

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『地面に風穴を開ける』

地面にガッパリ風穴を開けてやったよ。オレの隕石みたいなパンチ一つで。 むしゃくしゃするからよ、植物みたいにワシャワシャしている男どもが。 地面って奴は、ずうずうしいんだよ。てんで動こうとしないから。女みたいだよ。 ユンボやトラクターなんて大嫌いだよ。奴らは規則正しく動くから。血の通っていない油だろ?鉄の塊に解る訳がないだろ?生き物の本当の気持ちが。 いつでもオレは、スコップ一丁で十分だ。 オレはガキの頃から夢見てた。大地をガッパリとえぐり取る、壮大な夢を。ついでに山

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『転がる石のように』

昔は綺麗ななりをして。大判振る舞いして、そのうち落ち目に合うって噂され。あんたは嘲りだって突き放し、笑ったよな。ブラついて、職にあぶれた奴らに今はデカイ事も言えないよな。プライドも無くして、飯にありつく事しか考えられなくなって。 どんな気分だよ。帰る家もなくしてさ、思いも至らぬ方に、転がって、転がって、転がる石のように転がって。 偽政者にアーティストだとかおだてられたよな。だけど体を張って生きていく術なんて知らないよな。体を張って生きていく術を覚えようともしないよな。体を

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