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一億光年の宝

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北海道別海町中春別の小幡牧場の日常をモデルとした考察の中から産まれたポエム、エッセイの数々。酪農と宇宙を探偵作家土木警備員の著者がコラボさせるなど、好き放題やっている。創作なので…
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#啓発本に中指立てる

『男は荒野を進め』

僕だけが一億光年分の価値のある宝物を探しに行く。それは荒野を一人で歩く事と同じ位孤独な行為だ。 誰も僕の背中を押してはくれなかった。 誰もが一億光年分の価値のある宝物の存在を認めてくれなかった。 だから僕は、言葉で言葉で殴り付けてやることにした。 生かすか殺すか。生きるか死ぬか。 殴り付けても、殴り付けても、殴り付けても、誰も宝物の存在を信じてはくれなかった。 もう我慢の限界だ。 いつでも男は、荒野を一人で進む。 ヒタヒタと音を立てる。 足音が、僕の意識を軽

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『冒険しよ❗』

あったけえー! 超気持ちーよ! 太陽光はやっぱり最高だよ。 皮膚に刺さるじわじわっとした日射しの感触がたまらねーよ! 北海道の乾いた春の空気がオレみたいな甲羅属にはしっくり来るんだよ。 ズイズイ進む。 デケデケと行く。 ワシャワシャと掻き分ける。 オレは植物が好きだ。 食べるのもそうだけど、植物の生き方そのものが。 平和主義が一番だから。 オレは、ドジでノロマな亀かもしれないけれど、タンポポを連れて旅をするくらいの優しさは持ち合わせている。 タンポポが言った。 私たち

『大きくなあれ‼️』

オイラの名前はコゴミという。 春になると芽生える山菜の一つだ。 オイラは煮ても焼いても食える奴だから、人に食われる事も多々ある。  そんなオイラだけど、やるときはやる! グッと握りしめたこぶしを、バッと開いて、ガンと真っ直ぐに伸びていく。 オイラは難しいことも曲がった事も大嫌いだ。 他のやつらみたいに、太陽に媚びる事をしない。 デカくなったらクサソテツと言う。 オイラは恐竜とともに白亜紀の地球を経験した。 ドーンと隕石が落っこちて、ガーンと火山が噴火して、色々あったけど何て

『力いっぱい❗』

思いっきりね。ぎゅうっとぎゅうっと力んでみる。 力を抜いて、楽にして、深呼吸して、考えすぎず、くよくよしないで、落ちついて、自然体になんて、なれないよ。 一生懸命、夢中なんだけど、頭の中はこんがらがって、どうすれば良いかが解ってなくて、僕の気持ちが一杯詰まって、形とは裏腹に、もう爆発しそうだよ。 やり場のない僕の気持ちを、僕はグッと内に秘め、今か、今かとぎゅうっとしている。 僕は敢えて、言う。陳腐で使い古され、今時流行らない言葉をあなたに。 頑張れー! 写真 小幡

『芽吹いてみる』

少し考えすぎたのかも。他に何をすべきか解らなくなって。地温5度以下の地表を覆う圧力に負けて。 ずっとずっと体を動かして、生きていく為の糧を得ているから。泳ぐ事を止めない魚のように、動いていないと不安だよ。 僕には一つの夢があった。たわわに実る、稲穂で大地を埋め尽くすこと。たったそれだけの、想像できうる夢だった。 それだけの事なんだけど。叶わないと知った時、深く深く落ち込んだ。踏みにじられるなんて露とも思わなかったから。怒る気にもなれなくて。氷点下30度の氷の圧に踏みつけ

『番犬、じゅうばんばんです』

北海道別海町中春別、小幡牧場の番犬、じゅうばんばんです。私は、あなたと同じ、数えて十四度目の季節を迎えました。 私はあなたと一緒に、野の花咲き乱れる春も、新緑眩しい夏も、木の葉散りゆく秋も、一面銀世界の冬も経験しました。 私は無邪気に野原を走り回り、いたずらっ子でおてんばで、まるで変わりゆく季節のように、笑ったり、怒ったり、楽しんだり、涙に暮れるあなたの背中をいつもいつも追いかけてきました。 お出かけですか?保育園の帽子がかわいいですね。ランドセルは重たくないですか?制

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