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子どもの人権を守る〜その生徒指導、大丈夫ですか?〜

昔、放送で担当する委員会の子どもを職員室に呼ぶときのことです。

「〇〇委員会の人、職員室に来なさい」

当時は、「呼び出す!」という意識が強くて、権威的な放送をしてしまいました。先輩の教員から「あの呼び出し方をあなたがされたら怖くない?」「放送はいろんな人がきいてるよ」と話されたことを思い出します。

先日の出張中に、とある学校からの放送が聞こえてきました。

「○○(個人名の呼びすて)、○○、担当の場所に行きなさい!」

ああ、あの日の私はここにもいるのか。そんな思いでした。あの日、私は先輩からのひとことで「気づく」ことができました。この放送をした教員は、気づいてくれているでしょうか。

人権の視点を…

上記のような普段の生活場面、あらゆる教育活動において、子どもの権利・人権を意識できているでしょうか。今年、生徒指導提要の全面改訂があります。そこでも、子どもの権利について言及される予定です。詳しくはリンクにある改訂案をチェックしてみてください。

生徒指導って?


生徒指導と聞いて、みなさんはどんなイメージをもたれますか?学校園は、子どもの問題行動と向き合う場面は少なくないので、どうしても問題行動への対応が生徒指導と考えてしまいがちです。

けれども、問題行動への対応ばかりを焦点化していくと、子どもの権利を尊重したり、生活背景を把握したりする人権の視点がおろそかになり、指導が権威的になり、その反抗や不信感が積もっていき、結果的に新たな問題行動を生んでしまうこととなります。だからこそ、人権の視点が必要となります。問題行動だけに注目するのでなく、この行動は何のサインなのだろう?そもそも問題行動は何を問題としているのだろう?と悩みながら、子どもの行動の背景をつかむ努力が必要です。

そもそも…

 生徒指導は問題行動の対応だけにとどまらりません。

「生徒指導は、児童生徒一人一人の個性の発見とよさや可能性の伸長と社会的資質・能力の発達を支えると同時に、自己の幸福追求と社会に受け入れられる自己実現を支える」

生徒指導提要 改訂案

「お互いの個性や多様性を認め合い、安心して授業や学校生活が送れるような風土を、教職員の支援のもとで、児童生徒自らがつくり上げるようにすることが大切」

今回の改訂で特筆すべきは、人権教育や子どもの権利についての言及です。旧生徒指導提要では、子どもの権利は「児童福祉機関との連携」の説明の際に1か所ふれられているのみです。それに対し、新生徒指導提要では、「児童生徒の権利の理解」が留意点として示され、教職員が「子どもの権利条約」や「こども基本法」の理念を理解した上で生徒指導に当たる必要があることに言及しています。その他にも、「人権」という言葉が本文中に何回出されているかを確認すると、旧生徒指導提要で11回に対し、新生徒指導提要では36回となっています。これは、今回の改訂で、人権を大切にする視点が重要視されたことに他ならないのではないでしょうか。

まもなく生徒指導提要改訂版が出されます。今後も要チェックのトピックです。

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