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西国三十三所第22番 総持寺 料理上達のお寺

大阪と京都の間のベッドタウンに位置し、普通電車しか止まらないながらも駅から近く、西国三十三所の中では抜群に行きやすい。周辺の道路は狭いが、駐車場も完備されている。

幼少の頃より何度も足を運んでいるが、行くたびに様子が変化している。お社の場所が移動していたり、亀と鯉の池が整備されたり。
手水舎が新しくなったときも驚いた。金色の蓮の前に立つと、自動で水が流れる。
今回、四月十八日の庖丁式を見に行ったら、お賽銭箱が新しくなっていた。黒くてピカピカのお賽銭箱で、左右に亀の像がついていた。隣に居合わせたご婦人も驚いていて、「お賽銭箱、前はこんなんと違ったよねぇ」と笑いあった。

総持寺の創起となった「亀の恩返し」の話は今昔物語にも載っている。藤原高房(ふじわらのたかふさ)は、淀川で漁師に捕まっている大亀を助ける。その夜、息子の山蔭(やまかげ)が川に落ち、高房が観音様に祈ったところ、大亀が山蔭を背に乗せて現れる。ご恩に感謝した高房は観音像を造る決意をするがその後亡くなり、山蔭が遺志を継ぐ。都に行き仏師を探すが見つからず、長谷寺(はせでら:奈良の大寺院。西国三十三所第八番札所)で観音様に祈ったところ、童子が現れる。童子は千日間で亀に乗った千手観音を刻んだ。山蔭はその間、童子との約束通り毎日料理を供えた。千日料理である。

通常は蓮に乗っている観音様が、伝承どおり亀に乗っていて大変珍しい。亀はガメラのような愛嬌のある顔をしていた。
スイーツ巡礼のお菓子として「亀の恩返し」という名のかりんとうを出している。春季の桜も美味しいが、冬季のチョコレート系がおすすめである。

境内はそう広くはないが、池があり、立派な鯉と暢気そうな亀が見られるのが楽しい。四国八十八ヶ所のお砂踏みができるお堂もある。納経所の前では瓦を焼いていた窯の遺跡の一部が見られる。梵鐘は突き放題で、大晦日からお正月にかけては参拝客が列を成し、除夜の鐘が百八回以上鳴っている(もはや誰も数えていない)。室町時代作の梵鐘は納経所に飾られている。

毎年四月十八日に行われている庖丁式であるが、総持寺を開いた藤原山陰卿は先述の千日料理で知られ(千日間、一度もメニューがかぶることなく料理を振る舞った)、料理の祖神として祀られている。鯉を捌くことが多いそうだが、二〇一九年の今年は鯛を使っていた。まずは鯉を一匹、池に放つ。お経を上げてから、ゆっくりと時間をかけて、細長い庖丁と真名箸を使い、指一本触れずに魚を捌く。一時間程度の儀式であった。薄皮一枚で繋がった鯛が庖丁を入れたときにピッと立つ様子が見事であった。

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第二十二番札所 補陀洛山 総持寺

読み:ふだらくさん そうじじ
別名:包丁のお寺、料理のお寺

住所:大阪府 茨木市(いばらきし) 総持寺(そうじじ)1丁目6-1

公共交通機関でのアクセス:
①阪急京都線 総持寺(そうじじ)駅(普通停車駅)より徒歩5分
②JR京都線 JR総持寺(じぇいあーるそうじじ)駅(普通停車駅)より
徒歩5分
※JR JR総持寺駅は2018年3月17日開業の新駅である。

拝観料:無料
本尊御開扉内拝料:500円(西国三十三所霊場お砂踏み同時開催)
時間:
参拝 6:00〜17:00
納経受付 8:00〜17:00

宗派:高野山 真言宗
本尊:千手観世音菩薩(毎年4月15日〜4月21日開帳)

主な行事:4月18日 山蔭流庖丁式

創建:879年(元慶3年)
開基:藤原山蔭(ふじわらのやまかげ)(四条流庖丁式の創始者/越前守・藤原高房の三男)

札所:
西国三十三所第22番
摂津国八十八箇所第47番
摂津国三十三箇所第27番
ぼけ封じ近畿十楽観音霊場第6番
神仏霊場巡拝の道第63番

御詠歌:
おしなべて 老いも若きも 総持寺の
 仏の誓ひ 頼まぬはなし

※上記は2019年4月時点の情報です。

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写真もいっぱい掲載されている友人のブログ:
寺社仏閣で御朱印とか集めてるゲーマーのブログ
総持寺(そうじじ):西国三十三所 第二十二番札所
https://shrine-temple.hateblo.jp/entry/2019/05/11/235918

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