採用試験でのマウントと矛盾(弐)
この記事は前回の記事からのつづきです。
そして次は最終回の記事となります。
ほぼ事実に基づいたフィクションです。
よろしくどうぞ。
< 前回と最終の記事 >
圧迫面接か?
無愛想な男は15分も遅れてきたことを詫びることもなく
私の履歴書と職務経歴書を手にしながら席についた。
私は心の中の動揺は見せまいと笑顔をつくった。
そして起立した上で挨拶して一礼した。
これと言って男からのリアクションはない…
履歴書を眺めながら黙り込んでいる。
微妙な空気が漂い始めた。
もしやこれは?!
俗に言う「 圧迫面接 」なのか?!
リアクション
いやいや、そんなはずはない。
ここはCMも出している有名企業のグループ会社だ。
それに今時そんなリスキーなことはしないだろう。
時間にして2、3秒ほどの間に
そんなことが頭の中をグルグルと駆け巡った。
こうなったらこの男はこの場を
どう進めていくのか見てみようじゃないか。
いつもより少しばかし目を見開いて
いつもよりも大げさに口角をあげて男を見つめた。
男が来てから5分以上は経過していただろう。
とにかく空気感が良くない。
男は初めてリアクションらしいリアクションをした。
「 何がですか? 」
鼻から息を一瞬で吐き出す感じで「 ふっ 」いや、
「 すっ 」な感じだ。そしてまた沈黙か続いた。
これは何なんだ!一体何なんだ?面接なのか?
私は何しにここに来たんだ?
しびれを効かして私から口火を切った。
「 いかがでしょうか。 」
主語がなかったから当然と言えば当然だが
男は私にこう返してきた。
「 何がですか? 」
いやいやいやいや、遅れる事15分。
これと言って詫びることも、リアクションもなく、
ずっと私の履歴書と職務経歴書を眺めてますよね?
それについての「 いかがでしょうか? 」じゃろがい!!
と心の中で叫んだ。
幽体離脱
「 大変失礼いたしました。」
「 お恥ずかしい限りの私の経歴ですがいかがでしょうか?」
「 よろしければ自己紹介をさせていただけますでしょうか? 」
男がリアクションした。
「 へぇ~ △△ 大学なんすね。自分は 〇〇 大学なんすよ 」
なんだこれは!一体なんなんだ!!
男はつづけさまに、
「 へぇ~ ◇◇◇◇ 会社でそんなことやってたんすか? 」
「 すごいっすね ~ 」
「 自分はここの会社に来る前は 〇〇〇〇 会社で・・・ 」
そこから男の話が続いた。
先ほどまでの沈黙が嘘のように話し続ける。
私は秘技「 幽体離脱の術 」をしながらも
男の話を聞き続けたがひとつだけ引っかかった話があった。
どでかい会議室
その男が前の前ほどくらいに在籍した会社は
日本でも超がつくくらいの有名な大企業だったらしい。
そこで役員直下の仕事をしていたらしい。
なにやら会議室もどでかい会議室のようで
扉が2m?近くある大きな扉の会議室だったらしい。
そこによく呼びだされ役員報告をしていたらしい。
大きな楕円型の机だったらしい。
100人くらい着席できる程、どでかいらしい。
そして私にこう言い放った。
「 そんなとこで仕事したことあります? 」
「 TV ドラマでしか観たことないですよね~? 」
男は誇らしげだった。
元部下のA子
私は思わず「 あります 」と言いかけたが
やめておいた。
かれこれ30分近くは話を聞いただろうか、
私は相槌をとりながらも幽体離脱を続けた。
ふと、
役員の昔話を上手くかわしながらも
決して嫌われることのなかった、
私の元部下のA子の「 技 」を思い出した。
「 さしすせそ 」だ。もはやこれしかない。
男はまだ話し続けている。
もう1時間は経つだろうか、、、
つづく。
応援よろしくお願いいたします <(_ _)>