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良い制作道具#02 接着と溶着は違う

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今回はちょっとマニアックだけどまじめなお話し。接着剤についてです。おそらくガンプラを作る人は最初買わないと思われる接着剤。というのも、最近のガンプラはパチ組みと言って、接着剤なしでしっかり組み上げられるようになっているから。ここにはパーツの精度が上がっていたり、関節部分にポリキャップを使ったりとバンダイの創意工夫があるのです。

さて、そんなわけで、ガンプラ作りで「ちょっとレベルアップしたいかも」という人が揃えるのが接着剤という位置づけだ。では、どんなタイミングで使うか?例えば、武器パーツなど「組み上がったとき、関節のように動くことがない部位をしっかり固定する時」、あるいは、「部品を誤って切断してしまった時」、「合わせ目(注1)を消す時」だろう。要は、よりしっかりと作りたい、よりキレイに作りたいという時に出番があるものだ。

注1)合わせ目とは、パーツ同士がぴったり合わさる境目のことを言う。例えばHGの太ももや二の腕。あるいはライフルの軸部分など。本当だったら1パーツの方が境目がなくて美しいんだけれども、プラモの仕組み上パーツが分割されているところに現れる。

もっとも、接着剤とひとくちに言っても、実はくっつける仕組みで大きく2種類に分けられる。これをしっかり把握しておくとガンプラ作りで結構なアドバンテージになる。2つの区分は「接着剤」と「溶着剤」である。「え?溶着って何よ。セメントって接着剤じゃないの??」って思うかもしれませんが、断言します。接着と溶着はまるっきり違う。

接着剤:その液体自体が固まって、パーツ同士を接合する
溶着剤:塗った場所を溶かして、パーツ同士を一体化(溶着)させる

という具合に違うのだ。溶着剤は溶かして一体化させる。接着剤は固まってくっつける(そのため、しっかり一体化させられれば、化学的には溶着剤の方が固定強度は出たりする)。これは憶えておいて欲しい。さらにそこから一歩進んで、接着剤はその液体自体が固まるわけなので、「ボリュームが出る(盛られる)」という特性がある。一方で溶着剤は基本的に揮発するのでボリュームは出ない。また、それぞれに注意点がある。

接着剤:基本的に白化してカチカチになる。密閉空間で使うと、揮発した成分がパーツの他の部分について白化したりする。
溶着剤:はみ出した部分のパーツも溶かす。はみ出したところはしっかり拭き取らないと、乾いた時にパーツがボコボコになったりする。

このように接着剤と溶着剤とでは特性とデメリットが違う。方向性がかなり違う固定溶剤だということがわかるだろう。ここで、接着剤、溶着剤のそれぞれについて代表的な商品を紹介しておこう。

接着剤・・・いわゆる瞬間接着剤全般世に言う瞬間接着剤は全般的に「接着剤」に分類されると言えます。ただ、瞬間接着剤の中でも「超速乾型」や「速乾性は劣るけれども、ゼリー状に盛り上げて塗布できるもの」などバリエーションが豊富にあります。正直に言ってどのタイプを選ぶかは好みによる部分が大きいのかなと思ったり。私の場合は、折れた小さなパーツを速攻で接着補修するために「超速乾型」、そして削りすぎた部分の補修用として「ゼリー状で盛り上がるタイプ」の2つを用意しています(後者の用途については後述する使いどころで詳報)。
溶着剤・・・スチロール系接着剤商品名称で言うと、セメントっていう用語が用いられる場合が多い。実はこれ、接着剤って書くと厳密には違うから言葉を変えてるんだというトリビア。瓶に大抵スチロール樹脂用と書いている。あと成分のなかにTHFって書いてある。これが見分けるポイントかと。クレオスから速乾型のタイプも出ているが(通称ムラサキ)、通常タイプで十分(通常タイプは通称キイロ)。なぜなら早く乾きすぎて素人モデラーは作業でもたつくと死亡する。速乾タイプがいいのか、粘度があるやつがいいかなどは正直言って好みで選べばよい。私はキイロを使ってます。

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これがムラサキですね。

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こっちがキイロですね。

特性と注意点を踏まえての使いどころ

ここからはあくまで素人モデラーの浅い知見に基づいた勝手な見解なので信用するかどうかはお任せします。いままでまとめた接着剤と溶着剤の特性と注意点を踏まえてそれぞれの使いどころを考えました。

接着剤(瞬間接着剤)の使いどころは?
1:折れたり間違って切ってしまったパーツの補修用
2:金属パーツをくっつける時
3:誤って削ってしまった場所をパテではなく補修する時
4:ひどい合わせ目のくぼみを消す時に用いる

1と2は接着剤本来の用途と言えるだろう。瞬間接着剤はそれ自体が硬化する特性があるから、金属とプラスチックを接合するときに便利。例えば、アンテナを金属パーツに置き換えるときに瞬間接着剤を使うと便利だったりする。(これくらいなら芯材を入れなくても瞬間接着剤だけでポロリなどの問題も起こらない)注意点としては、折れたりしたパーツを接合するときに瞬間接着剤を使った場合。可動部の軸などを瞬間接着剤でくっつけると、動かしたときの力でパキッと接合部が取れたりする。要は接着剤によってはそこまで固定力が出ないから外れるのだ。そのため、補修の時に芯材を入れる必要があったりする。だから、パーツは折ったり壊したりするな!という教訓。あと、どうしてもはみ出た接着剤は紙やすりで削っておかないと平滑にならないのが注意点。ここは手を抜かないことが大事。

次に3と4について。これは補修剤として瞬間接着剤を使う場合。普通であれば誤って削ってしまった箇所はエポキシパテなどを使って埋めて、やすりで削って整えるという作業が必要になる。けれども、このエポキシパテがめんどくさい。材料を混ぜ合わせなければいけないし、乾燥するまで時間がかかる。しかも値段も高い。そこで、瞬間接着剤の「固まった時盛られる」という特性を活かして、削った箇所にむにゅっと盛る。乾いたらやすりで整える。エポキシパテなどのように混ぜる必要もないし、乾くまでの時間も速いので小さな削り箇所や細い合わせ目の溝などはこれで片付けられる。

溶着剤(スチロール系接着剤)の使いどころは?
1:パーツ同士の接合
2:合わせ目消し(溝やすき間が浅い、狭い部分)

溶着剤(スチロール系接着剤)の使いどころは至ってシンプル。強固に固定したいパーツ同士を接合する場合に使えばいい。例えば、組んでしまえば後はバラすことをしない武器パーツなどだろうか。また、ちょっとした合わせ目なら溶着剤でくっつけて、マスキングテープなどで巻いてしばっておけば、ほぼ溝はなくなる。あとは紙やすりで整えれば合わせ目はキレイに消える。注意点としては塗ってはみ出したところはキチンと綿棒やティッシュなどを使って拭き取ること。塗った直後であれば、ティッシュがパーツについてしまうということはない。あと、ちょっとした工夫が2つある。パーツAとBを接合する場合、AとBの両方に接着剤を塗布することだろう。溶着剤はパーツを溶かして接合する仕組みだから、溶かす場所にしっかり溶着剤を塗っておくという発想だ。そして、工夫の2点目は、塗った後30秒ほど放置しておき塗った箇所を「溶かしておいてから接合する」ことだ。こうすることで、パーツ同士の食いつきがよくしっかり接合できる。

とまあ、ネチネチ書いたけれども接着剤は大きく2種類に分けられる。そしてその種類に応じてメリットとデメリットがあり、使いどころが違う。使う時も注意点や工夫があるというお話でした。

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