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安全対策事業や通常維持管理における樹木伐採に関して一層の情報公開を求める陳情を出しました(2024年3月)&質疑議事録

3月(2024年)開催中の大阪市議会に、樹木関連の陳情を2件出しました。

▽陳情①(委員会審議では、陳情第75号)
「公園樹・街路樹の安全対策事業」のHPへの「伐採箇所図」の掲載、および「撤去理由」についてより詳しく説明することを求める陳情書

▽陳情②(委員会審議では、陳情第76号)
通常の維持管理における公園樹・街路樹の撤去・植え替え情報のHPへの掲載、及び市民へのこれまで以上の周知・説明を求める陳情書

「公園樹・街路樹の安全対策事業」の見直しを求める陳情は、これまでに出してきましたが、「継続審議」になっています。
今回の議会には、諸団体や他の個人が同様の陳情を出されているので、私たちは、樹木伐採に関して、一層の情報公開を求める陳情を出しました。
実は、大阪市は「安全対策事業」の他に、通常の維持管理においても少なくない数の樹木を伐採しています。しかし、それは、多くの市民にとってはブラックボックス。そこを問題視しています。

この2件の陳情は、3月21日に開かれる大阪市議会建設港湾委員会で審議される予定です。
ご注目ください。
(追記:3月21日行われた委員会の議事録を、本記事に記載しました)

陳情①(委員会審議では、陳情第75号)
陳情②(委員会審議では、陳情第76号)

■陳情の審査

2024年3月21日建設港湾委員会で審査されました。
●局長見解(寺川建設局長)
今回の建設局関連の陳情第64号、第65号、第75号、第76号の4件は、いずれも公園樹、街路樹の維持管理に関するものであり、そのうち共通する部分については一括して見解を述べさせていただきます。
 陳情第64号、第1から2項目、陳情第65号、第1、2、4、5、7項目、陳情第75号に共通する陳情項目といたしましては、公園樹、街路樹の安全対策事業の中止や、樹木の適正な管理並びにホームページの充実や住民への説明などにより丁寧な情報提供などを求めるものでございます。
 初めに、今回の公園樹、街路樹の安全対策事業の経過や目的と樹木の適正な管理について御説明をさせていただきます。
 公園樹や街路樹は、都市に季節感や潤いをもたらし、美しい都市景観の形成や都市環境の改善、防災性の向上といった機能を有するなど、安全、安心、快適な市民生活に欠くことのできない都市インフラでございます。本市では、昭和39年の緑化100年宣言以降、公園や道路の整備に合わせ、限られた空間を最大限活用して積極的に植樹を進めるとともに、その維持・保全に取り組んでまいりました。
 しかし、長い年月をかけ成長した多くの樹木が大木化、老木化した結果、樹勢が衰え、強風等による倒木リスクが顕在化するとともに、街路樹では通行障害や見通しの阻害、公園樹では民有地への越境や公園施設の損壊といった市民生活に支障を来すおそれが生じてまいりました。その結果、安全を確保するため、やむを得ず強剪定を繰り返すことで、樹木本来の機能が低下する悪循環も生じておりました。
 そうした状況を踏まえ、日常の維持管理では、道路、公園の安全と快適性を維持できなくなった樹木を対象として、短期集中的に撤去・更新を行う安全対策事業に取り組んでおります。今後は定期的な点検に基づき樹木の状態を的確に把握し、樹木の生育環境に応じた計画的な保全育成を行い、樹木本来の機能を最大限に発揮させるとともに、計画的な植え替えを行うことで、市民生活を支える道路や公園の安全性、快適性の維持向上に努めてまいります。
 次に、本事業に関する市民の方々への周知、説明についてでございますが、これまで、日頃より公園の管理に協力いただいております公園愛護会を中心に説明を行ってきたものを、今年度からは、公園愛護会に加え地域活動協議会への周知を全区で徹底するとともに、必要に応じてその他の地域団体にも説明を行うなど、よりきめ細やかな周知に努めてきております。また、ホームページにおきましては、本事業の趣旨、目的に加え、1本ごとの撤去理由などをまとめた対象樹木一覧表を掲載するとともに、現地の対象樹木への貼り紙につきましても、撤去理由や撤去時期等の内容を充実させるとともに、掲出期間を約2週間から約1か月に延長し、日頃、公園や道路を利用されている皆様に、できるだけ長い期間をもってお知らせできるよう取り組んでまいりました。
 さらに昨年8月には、より多くの市民の皆様に周知させていただくために、本市の広報紙に事業の趣旨と実施内容を掲載しております。
 今後も引き続き、本事業の必要性や実施内容につきまして、市民の皆様の理解が深まるよう、より丁寧な説明に努めながら進めてまいります。
 また、令和6年度からは、身近な公園や街路樹などの魅力を分かりやすく発信し、都市の緑が持つ魅力を市民の皆様に実感していただくことを目指し、公園緑化事業に関するホームページをリニューアルするとともに、SNS等も活用して、市民の皆様からの花や緑に関する情報や御意見も共有できるよう取り組んでいくこととしております。

●局長見解
陳情第76号について見解を申し上げます。
 本件陳情は、日常の維持管理における樹木の撤去・更新について、市民への周知等の充実を求めるものでございます。
 樹木の維持管理については、各公園事務所が日々の管理において、樹木の点検、剪定や刈り込み、枯れ木の撤去や補植等を実施し、市民生活を支える安全で快適な道路や公園の維持管理に努めています。樹勢の衰えによる生育不良や周辺環境などの影響により樹木に枯れや枝折れなどの異常を発見し、樹木を撤去・更新する場合には、市民への周知のため、安全対策事業と同様に、現地の対象樹木1本ごとに貼り紙を実施しております。貼り紙には撤去理由や管轄する公園事務所の問合せ先を掲載し、周知の期間について約1か月を基本としておりますが、緊急に対応が必要な場合は速やかに撤去する場合がございます。
 また、令和6年度からは、公園緑化事業に関するホームページのリニューアルやSNS等を活用した情報発信にも取り組むこととしており、日々の樹木管理に関しましても、その目的や必要性、日々行っている維持管理の概要などの情報を併せて発信していく予定でございます。

●市議による質疑
◆井上浩委員 日本共産党の井上でございます。
 まず、陳情第75号についてお伺いをいたします。
 陳情項目の1項目め、2項目めに、公園樹・街路樹の安全対策事業のホームページに伐採箇所図を掲載すること。掲載できないのであればその理由を明らかにすることとございますが、対象樹木の具体的な場所が分かるような図面を掲載できないのか、まずお尋ねをいたします。

◎澤建設局公園緑化部緑化課長 
 お答えいたします。
 公園樹、街路樹の安全対策事業の実施に当たりまして、ホームページに本事業の趣旨、目的に加え、1本ごとの撤去理由などをまとめた対象樹木一覧表を掲載するとともに、現地の対象樹木にも、撤去理由などを記載した貼り紙を約1か月間掲示するなどし、日頃、公園や道路を利用される市民の皆様にも事前に周知できるよう取り組んでまいりました。
 今後も引き続き、本事業の必要性や実施内容につきまして、地域活動協議会や公園愛護会をはじめとした地域の皆様はもとより、市民の皆様の理解が深まるよう丁寧な説明に努めてまいります。以上でございます。

◆井上浩委員 私が今お伺いしました伐採箇所図についての言及はございませんでした。
 確かに、この安全対策事業の当初に比べれば、随分改善されたという部分があることは認めます。それは市民が声を上げたからですよね。ちょっとこのやり方は乱暴じゃないですかと、一方的じゃないですかという声が上がったから徐々に改善を図っていったと、こういう経過があるわけですけれども。
 繰り返し御答弁で丁寧な説明に努めると、こうおっしゃってるわけでございますので、そうであれば、どの木が該当するのか容易に特定できるようにする必要が私はあるというふうに考えております。伐採箇所図を掲載することを含めて、ホームページ上の情報提供の改善を絶えず図っていただきたいと、そのことを強く要望しておきたいと思います。
 続いて、陳情第76号についてお伺いをいたします。
 陳情第76号は、通常の維持管理に関する内容でございますが、先日の予算委員会において、今後の樹木管理の基本方針についても確認をさせていただいたところでございます。今回、通常の維持管理とは別に、安全対策事業として短期集中的に行ったことで、市民から多くの御要望や御意見が出てきたわけでございますが、今後は短期集中というやり方ではなくて、通常の維持管理にきめ細かく取り組む必要があると思いますが、いかがでしょうか。

◎澤建設局公園緑化部緑化課長 お答えいたします。
 本市のように、既に市内全域が高密度に市街化されている状況におきまして、倒木や枝折れなどが発生した場合、交通障害や利用者への人的被害に直結するなど、市民生活への影響が非常に大きいと考えております。
 今後は、定期的な点検や健全度調査等のデータに基づきまして計画的な撤去・植え替えなどの維持管理を行うことで、市民生活を支える公園や道路の安全性や快適性の維持向上に努めてまいります。以上でございます。

◆井上浩委員 予算委員会のときにも申し上げましたけれども、私もこれまで議員活動させていただいてる中で、この木は交通の障害になって危ないから切ってほしいとか、剪定がしばらくされてないからしてほしいとか、そういう御相談は多数受けてまいりました。しかし、これほど短期間に集中的に切らないでと、全く真逆の御相談をこれだけたくさん受けたのは初めてでございます。恐らく建設局の皆さんも初めてなんじゃないかなと思います。
 これ一遍データ集めてみたらどうでしょうかね。面白いと思いますよ。切ってほしいという市民からの御要望、御意見と、切らないでほしいという御意見、御要望、この10年間ぐらい繰ってみたらどうですか。恐らくこの数年の間、つまり安全対策事業を始めてから、切らないでという相談が圧倒的に多かったと思いますね。間違いないと思いますよ。これだけ切らないでという趣旨の陳情書上がったのも初めてでしょう。これは深く重く受け止めていただかなければならないというふうに思います。
 それで、建設局の緑化課の内部での検討の経過というのが、ちょっとよく分からない点があるんです。ですから、これも短期集中の事業ですから、まさに短期集中的に相当議論をされたんだなというふうに思うんですけども。例えばですよ、市民の皆さんが、どんな議論経過を経て撤去・伐採という結論に至ったんですかと、その議論の過程をつまびらかにしてくださいというような趣旨の情報公開請求をした場合に、仮にですよ、その議論の中身がちゃんと出てくるのかなというふうに私は疑問に思っております。そういうものは恐らく出てこないんじゃないかなと、臆測ですけれどもね、というふうに思っているんです。
 といいますのは、樹木医さんの鑑定も仰いでるということですけれども、その鑑定結果と違う判断をしたという場合に、総合的判断だと、こういう総合的判断という言葉をよく使われるんですけれども、だけど私が当初聞いていた理由とは違う、後づけの理由が出てきたり、あるいはホームページ上も、これ間違ってました、撤去理由は実はこちらです。幾らでもあったわけですよね。ということは、相当この短い時間の間に内部の中で議論をして結論を出したと。もう慌てて、そういう結論を出したということではないかなというふうにも私は思うわけでございます。
 ですから、今後の基本方針、4つの方針を指し示しておられますけれども、その立場に今すぐ立って、来年度からということではなくて、今すぐその立場に立って、丁寧な内部の議論をしていただきたいと思いますし、記録も残していただいた上で、それをちゃんと市民に公開できるような中身のものにしていただきたいというふうに思うんです。
 ですから、樹木医さんが健全だと、そして周辺の植栽環境でありますとか器物損壊のおそれもないとか、そういうことをおっしゃってる、だけども、いやいや、建設局としてはこうなんですということであれば、これ、樹木医さんに鑑定を依頼する意味があるのかなというふうにも思うわけでございます。じゃ、専門家の意見と建設局の意見、両論併記して、どこにどういう違いがあって、どちらかの結論を優先するんであれば、どうしてそういう結果になったのかということも明確にしておかないといけないと思いますよ。私は、そこが曖昧だったと思うんですね。だから、市民との間でこれだけのあつれきが生まれてるんだというふうに思います。市民の皆さんだっておかしいなと思って、いや、でも素人の意見だけでは不十分だといって、専門家に鑑定を依頼してるというところまでやっておられるわけですよ。
 そういうことを考えれば、この間の経過を振り返れば、あまりにも建設局のやり方というのは強引だったし、一方的だったし、緑を増やしてほしい、樹木を守ってほしい、そういう市民の声に対して、私は、お粗末というか、あまりにもひどい対応だったんではないかなというふうに思っております。専門性、合理性、客観性に著しく欠如した今回のやり方、猛省を促したいというふうに私は思っております。
 繰り返し申し上げてまいりましたけれども、安全対策って短期集中でやることじゃないでしょう。恒常的にやることでしょう。違いますか。毎年やらなあかんのじゃないですか、安全対策って。毎年、目配り、維持管理していくことが求められているのに、安全対策事業だと期間限定で一気にやったと、ここが問題なんですよ。こういうやり方はぜひ反省をしていただきたいというふうに思います。
 こう言ったら、建設局の皆さんからしたら、いや、我々は市民の安全を守る義務があるんだと、こう思ってらっしゃるでしょう。だけど、先ほども申し上げましたけれども、これだけ市民の声が上がったことがありますか、ということですよ。それは皆さんの立場に立てば、何か事故が起きたら行政の責任が問われる、そういう、言わば責任感というか、そういうことも当然問われてくるわけでございますけれども、しかし、あまりにも今回は市民との間で亀裂を生んでしまいました。これは事実ですから、そこは深く受け止めていただきたいというふうに思っております。ですから、もう判断が荒っぽいんですよ。結局、粗っぽくなってしまった、そこは猛省を促したいと思います。
 それから、よく市長がメルボルンへ行ったと、こういう話されるんですけども、それは結構ですよ。だけど、大阪市の街路樹を見てもらってくださいよ。特に、予算委員会でも触れましたけど、今林公園、一遍、市長を連れていってほしいです。何とおっしゃるか、市長の感想をお聞きしたいところでございます。紹介しましたとおり、ほぼほぼ樹木の枝が電線に絡まってるんですよ。あれ、剪定してもらったんですかね。私、まず安全対策って言うんだったらそれが先でしょと申し上げましたよね。課長、聞いておられますか。もし公園事務所から聞いておられたら、状況を教えてもらえませんか。聞いておられなかったら、分からないで結構ですから。分からないですね。いいです。
 すみません、通告してなかったですからね。現場で説明を受けたときに、いや、これは問題ないですと、私は説明を受けました。問題ないことないですよね。電線に絡まってる、ほぼ全ての樹木が。全てではなかったですけど、ほぼほぼ電線に絡まっているという状況でございました。周辺住民の皆さん、あるいは公園利用者の皆さんの安全を確保するというんだったら、そっちが先ですよね。だけど、もう根こそぎ切っちゃいましたね。本末転倒じゃないですか。順番が違うんじゃないですかね。
 私はもうあっちこっち行きましたよ、公園。だけど、一番直近で言えば今林公園に行きました。本当に象徴的だと思いました。これは、素人目でも日常の維持管理ちゃんとやってないなと、みすぼらしいなと思いましたよ。日常の維持管理の予算でできることじゃないですか、これ。そういうことを後回しにして、今回、安全対策事業だと位置づけて、根こそぎ切っちゃう。本当にひどいやり方、私は反省を促したいというふうに思います。
 引き続き、陳情第76号についてお伺いをいたします。
 通常行っている維持管理において、樹木を撤去、植え替えする際にも、より丁寧に市民へ情報を周知することが求められておりますが、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。

◎澤建設局公園緑化部緑化課長 お答えいたします。
 令和6年度からは、身近な公園や街路樹などの情報を分かりやすく発信し、都市の緑が持つ魅力を市民の皆様に実感していただくことを目指し、公園緑化事業に関するホームページをリニューアルするとともに、SNS等も活用して、市民の皆様からの花や緑に関する情報や御意見も共有できるよう取り組んでいくこととしております。以上でございます。

◆井上浩委員 それから、先ほどのやり取りの中で、私が聞き間違えたのかもしれないですけれども、今後、丁寧な剪定に努めるというようなことで、その前段に万博があるからというようなことを、私の聞き間違いかもしれないんですけども、いや、万博があろうがなかろうが剪定はちゃんとやるべきでしょう。万博があるから丁寧な剪定やるんですか。それはちょっとね。今後、そのような答弁は控えていただきたいと思いますね。
 何度も何度もこの問題、質疑をしてまいりました。繰り返しになって恐縮ですけれども、今回の安全対策事業、その趣旨はいいんですけれども、毎年これはやるべきことでございます。もう確かに伐採、撤去してしまったら、そこについては維持管理する必要がなくなりますよね。切ったら、切った本数全て植え替えるわけじゃないんですよ。それはお認めになってます。ということは、樹木が減る、緑が減るということです。減らしてどうするんですか。今、世界中で緑を増やしていこう、温暖化を抑制していこう、そういう時代に、本市が緑を減らすようなことをやってどうするんですか。増やしてくださいよ。そういう世界の潮流じゃないですか。それにも逆行している。ましてや今回のやり方は、市民との深い禍根を残した。本当に反省していただきたい。こういうやり方を続けたら、また陳情書上がりますよ。また私質疑しますよ。澤課長、前向きな議論したいですよね、こういう議論ではなくて。ぜひこの緑化宣言、原点に立ち返っていただくことをお願いして、この質疑を終わります。


(2024年4月5日追記)
2023年3月21日の委員会では、2つの陳情は「引き続き審査」だったのですが、2023年度末の委員会で、維新と自民は態度を変え、「不採択」としました。
年度末の委員会では、その年度に「引き続き審査」となっている陳情すべてに対して各会派はあらためて態度表明をする(「棚卸し」というらしい)のですが、公明党は「引き続き審査」、共産党は「採択」で態度を変えなかったので、2会派の選択は際立ちました。まるで、緑化課の意を受けたような態度変更に唖然とさせられます。
これほどまでに市民に情報を伝えることを拒むというのは一体どういうことなんでしょうか?よほど後ろ暗い事業なのか?疑問は尽きません。

●大阪市の「公園樹・街路樹の安全対策事業」の見直しを求めるオンライン署名を行っています。


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