見出し画像

デジタルとアナログの両輪で叶える次代の広報

大阪府行政書士会と会員の皆様の未来を見据えた活動の中で、
広報や会報誌の果たすべき役割について、率直に意見を交わしました。

Theme01.大阪府行政書士会・行政書士の課題や、今後取り組むべきことについて

鎌田副会長(以下鎌):現在、日行連が「そうだ、行政書士に相談しよう!」というスローガンを掲げています。本会でも新聞広告やチラシ、ポスターなどを活用して行政書士のブランド化や認知度向上を図っていますが、まだ普及できていない現状です。

松村広報部長(以下松):ブランド化や認知度向上のためには、的を絞った広報展開が重要です。社会のニーズや時代の変化に合わせたPR、例えば「デジタル社会に強い行政書士」というような打ち出しも有効かと思います。

西村会長(以下西):この2月に実施したリモート無料相談会では、テーマを「死後事務委任」として高齢者や、いわゆるおひとりさまにターゲットを絞りました。今回はテーマを絞ったことで充実した相談会ができたと感じています。ただ、新しい取り組みで予約制ということもあり、まだまだ参加者が少ないのが残念です。そこが今後の課題のひとつです。

鎌:コロナ禍の前は毎年2月にクジラパークで相談会を実施していました。人通りが多く、その場でチラシを配布したり、館内放送で告知するなど、とても広告効果が高かったと思います。今後は、広報のやり方も時代に応じて変えていく必要性を強く感じます。

西:現場の最前線で活躍されている会員の方は、時代に合わせたさまざまな方法を工夫されています。そういう方々に本会の役員になっていただき、斬新な視点や手法を取り入れていきたいですね。

鎌:現場の経験や情報を広報に反映していくことはとても有意義だと思います。私自身は入会当初、何がやりたいかとか、どんなことができるかとか全くわからなかったです。そんなときに、先輩の体験やアドバイスが大変役立ちました。そんな繋がりを会報誌でも担えればよいなと思います。

鎌田副会長

Theme02.デジタル社会への対応について

松:特に今はデジタル化へ向けた大きな変化を前に、戸惑われている会員の方も多いと思います。そういった方々の何かヒントになったり、助けになる情報を広報として届けていきたいです。行政手続きのデジタル化によって利便性向上につながる側面はあるものの、手続きの簡易化によって行政書士の仕事が減るという懸念もあります。

西:デジタル化への対策はとても重要な課題です。あらゆるデータがクラウドでつながり、行政手続きが簡易化されることは既定路線です。ただ、一方、法令や手続きを体系的に理解している行政書士でないと申請が難しいものも残るでしょう。

松:図面など事実証明に関する書類は、行政書士が整えたということで警察などの行政機関にも信頼感をもって取り扱われます。行政手続きがデジタル化すると、提出書類の真正を担保する行政書士の果たす役割は大きくなります。行政書士の仕事は、より簡易的なものと、より厳しい精査が必要な難易度の高いものと、二極化が進むように思います。

鎌:「大阪府営業時間短縮協力金」では当初の申請や手続きで混乱を招いたことで、大阪府から行政書士会へ、書類の事前確認の業務を依頼されましたが、そういうケースも今後増えてくると思います。行政書士が間に入ることで行政機関の負担やコストが減り、申請者もスムーズに手続きができるなど、双方のメリットにつながっています。

西:電子申請の場合、行政機関は大量の添付書類をPDFで送られてくることをとても懸念しています。そういった事実証明の資料などを代わりに行政書士が確認することで、かなりの負担軽減になります。行政書士会としてはそういった働きかけを行政機関にしていくことも検討しています。

松:総務省はデジタル社会の基盤となるマイナンバーカードの普及促進のため、行政書士会に代理申請を委託しています。大きく期待されているのは「デジタルデバイド」への対応で、とくに高齢者の方や障害者の方などのサポートです。デジタル庁も「誰一人取り残さない」というスローガンを掲げています。デジタル化に向けて、国や社会から行政書士へ大きな期待が寄せられていると実感しています。

西:実は若い方でもデジタル機器の操作が苦手な方が多いです。スマホを使ってSNSは使いこなしても、メールが使えないという方も多いです。そういう方にも寄り添っていくことが大切です。

西村会長

Theme03.依頼者との関係づくりについて

西:もうひとつの課題としては、顧客とのコミュニケーション不足があります。残念なことに、最近はトラブルが増加傾向にあります。

鎌:トラブルになる場合というのは、基本的な人間関係が構築できていないのではないか、と思います。依頼者が何を望み、何を期待されているのか、相手の気持ちを見ずに、業務の内容だけを見て仕事を進めていくとトラブルになりやすい。コロナ禍のために顧客と対面する機会が減少していることも要因のひとつかもしれません。

西:以前から、インターネットだけで依頼を受け、仕事を完結するスタイルはあります。もちろん本人確認は行いますが、少し危険だとは感じています。私は依頼者とはどんなことがあっても最低1回は必ず会います。事務所も見てもらって、お互いが納得して仕事がスタートできる。そうすればトラブルにはつながりにくいと思います。

松:とくに入管手続きにおいては、本人と会って、事実と意思の確認が必要です。直接会うことで不審な点や違和感を感じることができます。犯罪に巻き込まれない、犯罪に加担しないという点においても、依頼者と直接会うことは重要です。

鎌:直接依頼者と会うことは、相手の本気度を見るためにも重要です。お互い忙しい中、何とか時間の都合をつけて面談することで、こちらとしても相手の真摯な態度を感じて仕事に取りかかることができると思います。

西:依頼者の中でもいろいろな方がおられます。怒りっぽい方や態度の悪い方など、あまりにひどい場合はお断りできればいいですが。こちらが萎縮してしまって、コミュニケーションがとれないまま業務を進めて、結果トラブルになったと言うケースも多いのではないでしょうか。

鎌:相談できる人が近くにいれば、話を聞いてもらうだけで気持ちが切り替えられたり、対処法も聞けると思います。私は開業した当時、とても孤独を感じていました。その時、先輩や仲間に恵まれ、具体的なアドバイスをもらうことでトラブルも回避できました。広報としては、そういう会員同士の関係づくりに役立つものでもあって欲しいと思います。

松:研修に行くと、講師の先生を囲んだ懇親会などでいろいろな話が聞けます。教科書通りの話ではなく、仕事の勘所とか経験に基づいた生きた情報が得られる訳です。コロナ禍でなかなかそういう機会が持てないのが残念です。

松村広報部長

Theme04.広報誌の今後のあるべき姿とは

西:会報誌は、デジタル化時代の仕事のあり方や依頼者とのコミュニケーションの重要性など、会員の方々に知っていただいたり考える機会をつくる重要な役割を担っています。単に情報を伝えるだけでなく、読みごたえのある会報誌を目指して欲しいです。そのためにはタイムリーな記事や有識者の方に論文を寄稿いただくなど、会員の皆様が考え、行動するきっかけになる情報を発信できればと思います。また、会報誌は外部にも配るため、大阪は変わったな、良いものをつくっているなというところをアピールしたいです
ね。

鎌:会報誌は直接会員の皆様にメッセージを発信できる数少ないメディアです。会長からのメッセージや大阪府行政書士会が考える、これからの私たちの仕事のあり方のビジョンなどをもっと伝えていけたらいいですね。

西:特にデジタル化時代に向けて、行政書士の仕事がどのように変化し進化していくのか。5年後、10年後の未来予想図を描くことが重要です。こういう時代が来るんだというイメージや世界観なりを発信していきたいですね。

松:今年度から会報誌が隔月発行になるのは、デジタルメディアとの連動性を考慮したもので、研修などのタイムリーな情報はウェブサイトなどで発信し、手に取って読みたくなる深い情報を会報誌で、という棲み分けです。単なる「お知らせ広報」にしない。できる限り執行部の方々のメッセー
ジを発信し、「本会の会員はかくあるべし」という姿、本会が未来に向けてどう動いていくのかを知っていただくことが重要です。また東京では、私的な勉強会の告知を掲載する「掲示板」を設けており、そういった事例も参考にしていきたい。会員同士のつながりを活性化させるサポートになると思います。

西:さらに、会員の方々が共感できる情報も必要です。例えば、入会歴が3から5年くらいの方の現場最前線の苦労話や成功例など、実体験に基づいたリアルな情報です。

松:活躍する先輩を知ることで、それが目標となり意欲が湧いてくる。そういう積み重ねで会員個々のレベルも向上していくと思います。また、「デジタル時代のコミュニケーション」をテーマにした専門家の寄稿なども、具体的に役立つ情報になり、会員のレベルアップにつながると思います。

鎌:本会として考えは一貫していて、そこから派生する具体論を、それぞれの専門家や会員の方々にお話しいただくことが望ましいです。話し手は替わっても、伝えたい柱になるメッセージは首尾一貫している感じで。

西:一方的に情報発信するだけでなく、会員から情報を吸い上げるなど、情報の双方向が大切です。広報は大阪府行政書士会の中枢として、対外的にも対内的にも、その果たすべき役割は重要です。期待しています!

鎌:本会の広報は今後益々重要になると感じています。一緒に頑張っていきましょう!

松:大きな時代の変化を前に、大阪府行政書士会も変化を受け入れ、挑戦していくことが求められています。今回の会報誌のリニューアルもそのひとつ。会長ビジョンの浸透、業界の活性化、会員のモチベーションやコミュニケーション能力の向上など、広報が果たす役割は大きいと感じています。
今後、さらなるレベルアップを目指して挑戦していきます!


鎌田副会長(左) 西村会長(中央) 松村広報部長(右)