あなたの仕事が、どれだけの人をどれだけ動かすか

今日は、僕が行政から受託している冊子の制作をお任せする制作業者さんのところに打ち合わせに行ってきた。
同じ部署から受けている冊子が2冊あって、その2冊ともをざくっとお願いしているのだが、うち1冊は僕が担当するのは3年目だ。

打ち合わせの中で「今まではお一人でやられてたんですか?」と聞かれた。
去年は別のフリーランスのライターさんをつけていたが、一昨年は取材からライティング、簡単な撮影まで自分だけでやっていたので、そのように答えたが、ここでふと思うことがあった。

20ページほどのちょっとした冊子ではあるのだが、企業の働き方改革の取り組みを扱った冊子で、3,000部ほどが企業に配布されたり、いろいろな機関に設置されたりしている。

僕としては、冊子の趣旨に応じて質問をして、企業の担当者さんの話を聞き、それを記事に落とし込んで…という、ライターとして至極当然の仕事をしただけである。

ではあるのだが、3,000部とはいえ冊子の性質上、事と次第によっては少なくない人数に影響を与えることになる。
例えば100人の従業員を抱える企業の社長さんがその冊子を目にして、たまたま何かの表現にピンときて働き方を見直す取り組みをした場合、少なくとも僕は100人の職場環境に影響する仕事をしたことになるのだ。

仮に、誰が取材とライティングをやったとしても同じ結果を与えたとすれば、それは市役所の仕事(この冊子を企画したこと)だ。
ただ、僕の質問から引き出された部分や、僕の表現によってその社長さんの取り組みにつながったとすれば、それは僕の仕事でもあったということになる。

とても今さらというか、当たり前ではあるのだけれど、仕事の大きさという概念は、きっとここにあるのだろうな、という実感を得た。
自分が為した何かによって、誰かの行動とか、環境とか、思考とか、心とか、そういったものにどれだけ影響を与えられるか。

もちろん一概に言えるものではないけれど、影響を与えた人数と、各々が受けた影響の大きさの掛け算で、「仕事の大きさ」がある程度割り出せるだろう。

自分の適性は、自分にとってより大きな仕事ができるか、という観点で探すと良さそうである。

「仕事」といっても、それは必ずしも「職業」である必要はない。
ただ、多くの人にとって、やりがいを感じるのは人の何かを動かすときだろうから、自分が得意なことを活かせる職業に就くことでやりがいを感じられる可能性が高い理由はここにある。
やっていて楽しいとか、効率的に儲かるとか、そういう別の要素は仕事の大きさとは直接は関係なくとも、やりがいはだいたい比例するのではないかと思う。

そして概ね、お金が発生するのは、人に行動を起こさせたり、人の心を揺らしたりと、人が動くところである(逆は残念ながら偽である)から、単純にお金を稼ぐフェーズも、自分が人を動かせる分野にあることが望ましい。

その人がやることによってより多くの人を動かせる仕事が、その人にとっての大きな仕事である。
「その人がやることによって」の部分が肝で、仮に100人に100点ずつの影響を与えられる仕事でも、誰がやっても同じ結果であれば、それはその人にとって決して大きな仕事とは言えない。

AさんとBさんとCさんがやったら10人に10点の影響を与えられるだけだけれど、私がやることで同じ人数に100点の影響を与えられる。
というのが、自分にとっての「大きな仕事」だと思うのだ。

そう思うと、今の僕はやはり「企画」とか「コンテンツ」で人を動かせるようになっていかなければならない、と思う。
これはもう、適正とかではなくて、シンプルな希望である。
やる仕事の選び方も、ここはひとつの大きな基準にしていくほうがいいだろう。

これ、わりとマクロでも大切な観点だと思うのだけれどどうだろうか。
本当に適正を活かして活動している人って、どれだけいるだろう。
当たり前なのに、ここを意識できている人というと、結構少ないのではないだろうか。

こんなことを思う、秋風の吹く打ち合わせの帰りであった。
(車移動だから正直風の実感は全然ないんだけど)

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