目を覚ますためのサラダ

40代後半の女性とランチを食べる約束をした。

彼女は夫と息子と三人暮らし。

家族好みの辛いものや味の濃いおかずばかり食べることがちょっと辛いと聞いていたし、彼女自身は舌が肥えているのでお店探しも難しい。どこにお連れしようかしらんと思案して決めたお店が国立にある台形というところだ。

席数が10席とこじんまりしたそのお店で、かつてのわたしは一口食べて「なんだこれ?」と驚くほど美味しいサラダに出会った。大きなお皿いっぱいに盛り付けられたサラダを、こんなに食べたらメインに行く前にお腹いっぱいになりそうだなーとげんなりしたのも束の間、食べてみたらぼんやりした思考は吹き飛ばされ、この美味しさはなんだ?なんだ?なんなんだ?という気持ちでもりもり食べ、きれいさっぱりお腹に収めてしまった。

盛られた野菜に飽きることはなかった。というより、そのサラダは色々な味がした。食感も様々で、食べていて楽しい。口をさっぱりしたいなーと思ったときは、薄く切られたリンゴの一片をかりっと食べることでまた爽やかな感覚になる。

ということを思い出して、もはやわたしが食べたいんだよなぁと決めたのである。

国立駅から徒歩10分くらい。開店20分くらいでついたのだけど、私たちが入ってちょうど満席。人気のお店だ。

わたしは鶏肉の赤ワイン煮を、彼女はキッシュを頼んだ。山盛りのサラダに彼女は圧倒されていたけれど、味が爽やかだったから美味しく食べられたよ〜とのこと。キッシュに添えられたキャロットラペのドレッシングが美味しいとも言っていた。

わたしも赤ワイン煮を美味しく食べた。これも不思議な食べ物で、スパイスがほのかに香る濃厚過ぎないソースがいいのだと思う。

デザートに二人でプリンを食べた。カラメルが甘苦くて食べ終わってもまた食べたかった。

帰り道、おいしかったねと言いながら駅に向かうのがよかった。なぜならば本当に美味しい料理を一緒に食べて、違う味覚の人間がおいしかったねーと言えることってなかなかないので。

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