なぜ発達障害者は仕事ができないのか

発達障害者は仕事ができない。これはもう凄く有名になってしまった事実なのですが、ではなんで仕事ができないのかを考えて見ました。大雑把に言うと物忘れがひどく物なくしが多く時間を守らない、常識がないなどがあげられるのですが、もう少し細かく見ていきます。

鮮魚部門での経験

かって私はとあるスーパーの鮮魚部門で働いていました。かなり仕事ができなかった方だったので上の人も私を持て余していました。最終的に他店への移動の話がありました。

一日の作業は早朝に店に来て売り場に商品を並べつつ、商品づくりを同時に行うというものでしたが、朝の弱い私が6時店着でまだ目が覚めておらずエンジンがかかるのが10時ぐらいだったので、全く戦力になりませんでした。

開店に向けて売り場補充と商品パック詰め、品出し+対面販売売り場づくりを同時並行で行うというもので、そこに商品の搬入が加わります。売り場では開店したら声出しで推奨販売が基本でした。

やる業務が多岐にわたる

基本新人は一兵卒の立場なのですが、一応大卒なので将来上を目指すために上司の視点で売り場と作業場と倉庫を頭に入れつつ状況を見て判断することが望まれていたのですが、当初はそこまで考えが回らず完全にパートさん目線でした。これだと上司の指示がないと動けないタイプなので、さぞや使いづらかったことだろうと思われます。作業が終わるとお手すきになって動けなくなり、上司の指示を仰いでいました。上の方も情けないと思ったことでしょう。

発達障害者を生かすには

身もふたもな言い方ですが、この職場は向いていません。やることが多すぎて集中力が中断されますし、臨機応変に動くことは最も不向きです。注意を一局に集中するのではなく分散させる必要がありますが、自閉症スペクトラムが入っていると注意の拡散は難しいと思われます。ADHD単体でも複数のファクターを処理するのに記憶のテーブルがどれぐらい広いか問われるので難しいのですけどね。

自閉症スペクトラムなら感覚過敏がありますから、雑多な刺激を受ける売り場と作業場の往復は圧が強くてたまりません。可能であれば単一の業務だけをこなす係に選任させて常に監督役がいて指示を出すのがベストなのですが、当時は「甘ったれんな」の一言で終わりです。マルチタスクが求められており、発達障害という言葉もなかった時代です。

結局能力の問題

本質的なことを言うと、これはまったく向いてないので配置転換した方がいいかもしれません。よほど魚に興味があって過集中が出てくるなら話は別ですが、その場合も魚を凝視して経営者が目指す働き方をしてくれるとは到底思えません。めぐりあわせがかなり良くないと難しいですね。

一つのタスクをじっくりやる職場なら向いてますので、商品加工が少なく臨機応変な対応や声を張り上げるような負荷のかからない職場であれば可能だと思うのですが、もっとも小売りにそんな低負荷な売り場があるとは思えません。書店なら多少の可能性はあるかもしれないですね。それ以外は販売中に接客対応も発生するのでかなり難しいです。

現状としてマルチタスクが発生しない職場など皆無なので、能力的にそれができない発達障害者は、かなり苦戦します。ある程度の伸びしろがあり努力でカバーできる場合のみ有効ですが、基本的に脳の機能から来てるのであまりそれも期待薄です。