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悪い女に狂わされたのは、これを読んだ我々のほうだったもしれない【読んだよ】『私の初恋相手がキスしてた』

先日、入間人間作の『私の初恋相手がキスしてた』の1巻感想を書きました。
それから数日のうちに残りの2巻も読み終えました。

この物語は主人公、「星高空」とその初恋相手の女の子「水池海」。そして海ちゃんが大好きな大人の悪い女「陸丘地生」がいるところから話が始まります。
普通の物語であれば、高空ちゃんが海ちゃんをなんとか振り向かせてハッピーエンド!となると思います。
私も1巻を読み終えた段階では、「すでに海は地生さんにべったりだけどここから高空ちゃんはどうやって逆転するんだろう」と思って読み進めてました。
私の予想は浅はかを通り越して、崖に真っ逆さまに墜落していきましたね。


まず。高空と海の関係は好転することはありません。いや、話が進むごとに悪化していきます。

高空は一切海の興味を惹くことはできず、ただひたすら、水池海と陸丘地生もとい、地平潮との甘く爛れ、とろけている二人のイチャラブっぷりをただひたすらに見せつけられます。

空と海が交差することは決してありませんでした。しかし、地平線は物語が進むにつれ、いつのまにか水平線と交わり海へとつながっていくのです。
完全に交わりきってしまった、いやすでに手遅れだったのでしょう、2人の仲を引き裂く力なんてものは主人公にはありませんでした。
夏が運んできた水池海という、恋という名の潮の流れに主人公は翻弄され何もできず、潮が引いた後はただひたすらに自分無力であることを思い知らされたのです。

彼女があのひたすらに苦い、苦しい夏を得て一体どんな風に生まれかわったのか。ことの顛末は3巻のラストを読めばわかります。
水池海が地平潮に狂わされた女なのだとしたら、星高空は彼女たち2人によって狂わされてしまった女なのでしょう。
純真だった主人公の変わり果てた姿をみて私の脳が破壊されました。
誰か純愛物の百合恋愛小説を紹介してください。



星高空は現在カクヨムで入間人間先生が連載中の人妻教師が教え子の女子高生にドはまりする話にも登場します。
もしこちらを先に読んでいて、まだ初キス(略称これでいいのかな)を読んでいない方があればぜひ読んでみてください。実質前日譚みたいなものなのでよりこちらの作品も楽しめるようになると思います。

それでは。

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