隔絶された時間
仕事に追われているせいか、最近時間の流れが急速に進むように感じる。
一日の大半を仕事に費やし、夜遅くに帰り夕飯を食べて寝たらまた次の仕事だ。こうなると起きている間ずっと仕事をしているように感じてしまう。
「……あつい……」
ある日、夜遅くに目が覚めた。
季節の変わり目で気温の変化が読めず、分厚い布団で寝てしまっていたのだ。寝巻は汗でべっとりと濡れていた。
眠気で重い身体を立ち上げ一旦トイレに向かう。用を足した後、台所で水をコップ一杯に汲んで飲んだ。
寝起きの身体にスッと染みこんでいく。再びベッドに向かい寝ようとするが、今度は汗が冷たくてうまく眠れない。
……ここで大人しく、眠くなるまでベッドでごろごろしておけばよかったものを、気分転換にとスマホを弄りだしたのが良くなかった。スマホのブルーライトの刺激で完全に目を覚ましてしまった。
今何時だろう。ふとスマホの時刻表示を見やると時刻は2時を示している。そういえば最近、時間に縛られている気がする。
仕事中気にしなければならないのは、何の仕事を何日までにやらなければならないか。今やっている仕事を何時までに終わらせるか。そうやって仕事を一心不乱にやっていると時間があっという間に過ぎていく。
(そういや、今って2時なんだな。)
当たり前のことを再確認する。仕事から帰っても、次の日の仕事のことばかり考えていて、仕事に追われていない時間というのは新鮮だった。
何しろ、本来私が起きる時間は7時――
つまりこのまま起きていれば5時間は仕事に追わることなく自由に過ごせるのだ。
我ながらバカげた考えだな、と頭の中でボヤきつつも再びベッドから身を起こした。深夜特有のテンションでこのときの私はちょっとおかしくなっていたのかもしれない。
あまり使っていないテレビの電源をつけるとアニメが流れていた。
どうやら学園物の青春アニメのようだ。昔、高校時代に一緒に文芸部に所属していた時のことをふと思い出す。
……久しぶりに、昔のみんなを呼んでどこかで遊びに行こうかな。
そうすることで今の慌ただしいばかり時間から、少しだけ身を置くことができそうな気がした。
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