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いつまでもドキドキするわけじゃない

どこかでドン、と音が鳴って。
「花火じゃない?」と3階にある玄関のドアを開けて外に出た。
「あっちのほうがよく見えそうだよ」と私が、マンションの手すりの端まで行こうとしたら長男くんに呼び止められた。

「ママ、やめて、落ちちゃいそうで、ドキドキするから行かないで」

私の脳裏によみがえったのは、昔ヘアピンがお風呂に沈んだだけで大泣きした1歳の長男くん。
何回も面白がって落としたけど、あまり泣くからやめたんだった。
そのうち、そんなことでは泣かなくなって大きくなった。
「ドキドキするから行かないで」と繰り返す長男くんを見てそういえばそんな事もあったと思い、昔繰り返しヘアピンを落としてしまったのは申し訳なかったので手すりまでは行かずに、そのままの場所に立って見ることにした。
「キレイだね〜」と言って笑顔で花火を見られるならどこでもいい。

今は言葉にして伝えてくれるから、長男くんの気持ちはだいぶ良く分かる。
ドキドキするものに、えーなんで?なんて聞かないよ。ドキドキするんだもんね。私にもある、似たようなもの。
それに、このまま大きくなってくれたら、私がどんな場所に立っていても別にドキドキしない長男くんがいるんだろうなと感じる。
だから大丈夫なのだ。長男くんについては、今は言葉の拙さや繊細さを心配したとしても、きっと彼のペースで少しずつ穏やかに変わって行くのだろう。
代わりに、お風呂にヘアピンが落ちたり、花火の音で外に出るたびに胸がキュンと苦しくなる私が出来上がっていく。苦しくて泣いたりするのかもしれない。
それはそれで、嬉しいことなんだと思う。

固形水彩絵の具を買います( 'ω')/ ハイ! ダイソーから買い換えます!