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ベガルタ仙台2021シーズン中間寸評

いやーすっかり間が空いてしまった。一度ベガルタ仙台をまとめておこう。

開幕戦で光が見えたと思ったらそこから圧倒的闇。ベンタブラック並み。

△1−1 広島

●1−5 川崎

●0−5 鳥栖

●1−3 湘南

●1−2 FC東京

●0−2 神戸

●0−1 徳島

△2−2 横浜FC

●1−2 札幌

○1−0 柏

フロンターレ戦から始まった闇はレイソル戦でのホーム初勝利まで続く。
萌芽の予感はあるも、伸びている芽が空に向かっているのかさらなる深淵に向かっているのかよくわからない時もあったが、最終的にはトリニータに勝ち、グランパスに勝って、なんとか残留争いをするほどには踏みとどまる。正直、横浜FCに2点先行されたときは冗談抜きで「今年は終わった」と思っていた。しかしそこから驚異的な粘りを見せ、同点、皆川の最後のシュートが入っていたら逆転というところまで持っていく。

ここまでボロボロだったチームを少しずつ確実に改善に持っていく手腕はさすがテグさんと脱帽する他ない。ここは負けたらやばいというゲームをギリギリのギリギリで落とさない。再開後も鹿島相手に引き分けたが、終始仙台のペースで戦えたゲームだった。素晴らしい。

後半にむけての課題はやはり得点力だろう。鹿島戦で仙台が審判に文句が多かったのも攻撃への自信のなさを表しているのではないだろうか。得点力を挙げないと残留できない。今の所1試合あたりの平均勝ち点が0.83であり、試合数でそろえるとまだまだ降格圏内だ。

過去の例を見ると、平均勝ち点が1.0を超えないと残留は極めて難しい。また、1.0〜1.25の間では他のチームの動向によっては巻き込まれる。1.3を超えるとどんなシーズンでも残留できる。だからまだまだ勝ち点は必要なのだ。まずは残留の可能性がある試合数=勝ち点の平均点1.0に乗っけることが重要なのだ。


ではここで寸評を


GK ヤクブ・スヴォビク

そろそろ仙台駅前に銅像が立つのではと噂されている仙台の守護神。彼がいなければレイソル線もトリニータ線もグランパス戦も勝ち点1に終わっていた危険性が高い。シュートストップが本当に素晴らしい。ポジショニングもさることながら、ギリギリ最後までバランスを保って飛ばない、弾いても詰められない場所に弾く、飛び出したら必ずボールに触るなど、当たり前のプレーを高次元でこなす。ポーランドリーグNo.1は伊達じゃない。最近は弱点だったキック精度も上がってきている。

GK ストイシッチ
おいおい、こんなGKがトップに上がれなかったのかよ!202cmの巨神兵はアントラーズ戦でリーグデビュー。シュートストップよし、ハイボールはまぁまぁ、キック力超強い、スローイングと足元は微妙という感じ。書いていて結構いいように感じるが、そう思えないのは比較対象がスヴォビクだからでしょう。それにしても欧州のGKはレベルが高い。小畑との第二GK争いが白熱。

GK 小畑祐馬
ユース上がりの期待のGKは去年と比べても特段変わりなく。むしろ開幕戦スタメンだった去年に比べて出場機会が減っている。キックと反応はいいのだが、シュートに対するポジショニングがやはり甘い。個人的にはニアに寄りすぎるきらいがあるような気がする。守備の選手にはつなぐ能力よりも単純にセービング能力を求めるテグさんの下では出場機会が伸びる予感がない。しかし、181cmと微妙にインターナショナルレベルでは通用しない体格で有ることから育てば仙台のゴールマウスは安泰である。育てるためにもレンタルどうでしょうか。

GK 井岡海都
仙台大学から加入のルーキー。競争が熾烈すぎて同情します。殆ど見ていないのでわからん。

DF 蜂須賀孝治
J1屈指の右SBだが、ここまで定位置の右は真瀬に、左は本職でない石原に奪われ、まさかサブが続いている。出場すれば右足の高精度のクロスでチャンスを演出するのだが、やはり中央に強力なヘッダーがいないと難しいのか。フェリペカルドーぞとのコンビやいかに。後半逆襲を期待する。

DF アピタウィア久
一応今年加入のルーキー。力強さは足りないが、恵まれた体格とパスセンスでスタメンとサブを行ったり来たり。フルタイムだと一試合に1,2回程度致命的なポカをするのだが、それは集中力不足というより、単純にこのレベルでの試合についていくのにやっとなのだろう。テグさんもそれを察してか、途中出場で徐々に鍛え上げる方針に転換したようだ。時間限定ならば十分にやれるし、今季の終わりにはスタメン定着してほしい。あとオフは体を大きくしろ。それができれば日本代表候補になれる逸材。

DF 平岡康裕
35歳になった仙台のDFリーダー。序盤はベンチを温めていたが、彼が出場すると失点が激減。安定感が向上した。パスもうまいし、仙台で替えの効かない選手の一人。

DF 吉野恭平
平岡とともにDFを引っ張る。DMFとDFでさまよっている感じの選手だが、徐々にDFとして機能しだした。3バックの中央もこなせるようになり、チームとしてのバリエーションが増えた。あと一個なにか武器があるとブレイクしそう。

DF シマオマテ
2019年の無双状態は去年終わってしまったのか。スピードで負ける場面が顕著に増え、うまく行かないことからプレーも荒くなっている。年齢による衰えだろう。リーグでフルタイム出すのは難しくなっている。ここから復活できるか?

→シーズン途中で双方合意のもと契約解除

DF 長倉颯
鳥取から急遽加入した左利きのSB。大学時代はボランチだった模様。ルヴァンでしか見ていないが、今の所2022年シーズンに期待と行ったところか。フィジカル的に特記すべきことなし。一言で言うとJ1のプレースピードに順応できていない。

DF 真瀬拓海
前半戦のMOM候補。右サイドの槍。背番号25は恐るべき脚力でピッチ内を縦横無尽に駆け抜ける。川崎戦では無敵と思われた三笘を封じ込める。テグさん好みのSB。フィジカルは素晴らしいのだが、いかんせんキック精度にかなり課題が残る。特に深いところからのクロスは高確率でワロスに。試合出場とともに改善されそうだが。

DF 照山颯人
 去年は3バックの右で攻撃を活性化させ、唯一の光として注目されていたDF。SBには運動量を、CBには対人の強さを求めるテグさんの下ではなかなか出場機会が得られなさそうだと危惧していたらそのとおりになってしまった。アントラーズ戦で3バックシステムが発動したので、今後出場機会は得られるかもしれないが、SBとしての動きももう少し覚えていたほうがいいと思うぞ。(追記:この記事書いた直後の清水戦で3バックの右で先発起用。残念ながら結果は…。)

MF 秋山陽介
グランパスから来た左利きのSB。大学時代は攻撃的な選手だったようだが、プロになってからSBに転向した選手。それもあってか、守備は一応やりますといった程度。攻撃でもスピードに乗った状態から何かを起こせるタイプで、ボールを置いて静止した1対1から突破できるような選手ではないようだ(まぁ、岡田監督もそんな選手は日本で家長昭博ぐらいと発言していたので仕方ないが)。縦方向へのスピードには魅力を感じるが、仙台ではほとんど見せられていない。開幕からスタメンだったが、4,5試合目からサブにも入らなくなっていた。テグさんに説教部屋でも閉じ込められたのかな?とおもっていたがどうやら怪我のようだ。そろそろ復活しそうだが、怪我のタイミングといいあまり「持っていない」選手だ。

MF 上原力也
ジュビロの至宝は噂に違わぬ実力者だった。ボールを動かし、ピンチの芽を摘む。その縁の下の力持ち的な役割でこれまでイマイチ輝きにくかった松下を輝かせた。松下ー上原コンビはベガルタでも歴代1,2位を争うのでは。むしろこんな選手を放出したジュビロは大丈夫なのか不安だ。

しかしうまくは言えないが、決定的なパンチが足りない選手なのもわかる。リスクマネージメントはできる、展開力も申し分がない。だけどチームを勝たせるのにもう一つほしい。あと一つピースがハマれば日本代表も夢ではないと思う。そのピースはおそらく攻撃的ななにかだと思うが…。更にこの連戦の中で彼の圧倒的な走行量はプレイの精度を奪っていたようで、ここ数試合は途中出場が続いている。実力は間違いないので、連戦の中のコンディショニングを学んではやくスタメン復帰してほしい。

MF 関口訓充
仙台のオシャレ番長+精神的支柱はピッチの中でも外でも存在感を発揮し続けている。ちょっと年齢的にスタミナ面が心配だが、出られる限り出てほしい。ホント残留してくれてよかった。

MF 松下佳貴
恐るべき左足をもつボランチは相変わらず守備に不安があるも、単調になりやすい仙台の攻撃にアクセントを与えてくれる。フォギ、上原という選手とプレーすることで守備面の負担が減り、ここ数年で最高の輝きを見せている。いまいち結果に結びついていないが、後半戦も期待。

MF 石原崇兆
運動量多くてスピードはまぁまぁ、パスとトラップはうーん?という感じの左サイドを主戦場とするアタッカー。補強された左SBがいずれもフィットしなかったことで左SBに固定された。パスとトラップは加入時から全く進化しないが、ここ数試合守備が目に見えて良くなってきた。特に相手との間合いの詰め方が上達しており、現在左SB一番手。クロスにはそんなに期待できないが、もともとアタッカーなので周りと絡んで前進するのがうまい。しかし何度も繰り返すが、パスとトラップには期待してはいけない。後半はゴールにも絡むことを期待。

MF 富田晋伍
年齢的に前十字靭帯断裂後はかなり厳しいと思っていたが、DMFに対人守備の強さを求めるテグさんには重宝され、出場数が伸びている仙台のレジェンド。関口同様フルタイムはちょっと厳しい感じもあるが、やはりボール奪取能力は素晴らしいものがある。

MF 中原彰吾
加入からほとんど活躍できていなかったMFは今シーズンようやくその姿を見せた。豆タンクみたいなフィジカルを生かしたキープ力と短距離から中距離のグランダーパスを駆使してルヴァンカップで右サイドの攻撃を牽引。少しずつ序列が上がってきている。同サイドに縦方向への運動量の多い真瀬がいることでよいコンビを組めそうな予感。

MF 加藤千尋
今シーズン加入したルーキー。前半戦MOM候補②。梁勇基の再来といって差し支えないだろう。良いポジショニングとフィジカルで仙台の攻撃を牽引。前線で攻撃の時間を作ってくれる。さらにルヴァンでスローインダイレクトのゴラッソを見せる。加入したばかりだが、仙台のエースになりそう。すごいの連れてきたな。

MF 佐々木匠
永遠の未完の大器にして、ルヴァンカップのエース。今シーズンは少しずつ良くなっているが、ファーストチョイスにはまだまだ。やっぱり前線で収めて時間作ってくれないと我軍では使えないのですよ…。

MF 田中渉
センスは感じるんだが…。覚醒の気配がまったくない左利きのMF。必要になりそうなところで怪我するというのは「持っていない」。最近はSHにまわってますます迷走しているように見える。ルヴァンが終わった今、ちょっと今季は出る見込みがないので、レンタル修行に行くのはどうだろうか。

→レノファ山口に育成型期限付き移籍

MF 気田亮真
長崎から加入した期待のドリブラーだったが、チームの不調とともに自信をなくしていった。しかしテグさんは粘り強く使い続け、引き分けた川崎戦では見事なボールタッチで川崎の選手4人を翻弄し、シュートまで持っていくスーパープレイを見せる。なかなかJ2で見せていたような存在感を出せていないのが現状だが、覚醒の足音はずっと聞こえる選手。仕上げのシュートにしろパスにしろ無駄にワンテンポ遅れてブロックされやすいのと、ミドルシュートがほぼ宇宙開発になってしまうところは深く反省してほしい。

→流石に反省したのか、ホームの横浜FC戦では低く抑えたシュートを枠外へ。違う、そうじゃない。

MF フォギーニョ
ブラジル2部から来たボランチだが容貌は完全に北欧から来たバイキング。そのプレイスタイルは豪快…とおもいきや丁寧な右足のキック、無駄走りをいとわないランニング、一対一でボールを奪取できるなど、偉大な「ピアノを運ぶ人」であった。彼が入ってから仙台の攻撃も守備も明らかに連動性が上がった。囮として左サイドにあがっては空気の読めない石原崇兆が彼にパスをし、左足でひどいワロスを上げてしまったのはご愛嬌。中断前の最終戦で肉離れを起こしてしまったが、復帰はよ。

MF エマニュエル・オッティ
スピードとパワーを生かしたドリブルが武器のアタッカー。分水嶺となる横浜FC戦では初出場で2点ビハインドから引き分けに追いつくきっかけとなる活躍をするが、同時に肉離れで離脱。ボールの持ち方もいいし、結構いいアタッカーなのではないだろうか。復帰はよ。さらに公式のTwitterや記事にも出る回数が多く、とてもよいキャラをしている。写真ではなぜかいつも眠そうなのもポイント高い。

FW 赤崎秀平
高い能力を持ったFW。ベガルタではNo1だと思うが、現在はチャンスメーカーとして振る舞うシーンが多い。サポーターとのいざこざも起こりメンタルバランスを崩してしまったようだが、そんな脆いメンタルならサポーターとの交流や発信はやめとけと思う。世間はいい人ばかりじゃねぇんだぞ。正直赤崎がなにもできないようだと今シーズン終わるので、頑張ってほしい。

FW 西村拓真
ロシア帰りのFWはようやくここに来て調子が上がってきた。ボール扱いはうまいので前線で時間を作ってくれるし、カウンターのときも運んでくれるとってもいい選手なのだが、シュートはお世辞にもうまいとは言えない。必ずDFに当たる。しかし調子のいいときは当たったそのシュートがそのまま入ってしまうのでわからない。ホーム連敗を止めたのもハンド気味のシュートであったが、VARをもってしてもそれが認められるのが彼の凄さ。この調子で量産してくれ。

FW 皆川佑介
高身長のポストプレイヤー…という話だったがヘディングで勝つところをほとんど見かけない。特に高さのあるゆっくりとしたボールでは100%負ける(当社調べ)。前線からのチェイスは非常に頼もしいが、シュートがとにかくゴールに嫌われている。かといってポストプレイも雑なワンタッチが多くて「もっと時間作ってくれよ!」と言いたくなる。最近はチームに馴染んできたのか、いい形でパスワークにも絡めるようになったが、昨季29試合3得点のFWだとこんなもんか…。

FW マルティノス
「あのマルティノスがなんで仙台に?」と疑問とともに歓迎された選手だが、その疑問はすぐに氷解した。途中出場なのにこづかれてすぐピッチに寝転がって空気を悪くする、その日の気分で守備をしない、かといって出さなきゃ出さないで不貞腐れるという使い勝手の悪さ。しかし「流れ」をあまり重要視しない外国人らしく本当になんの脈絡もなく出てくるスーパーゴールに仙台は何度”か”救われた。川崎戦のミドルと、セレッソ戦で蜂須賀の右からのクロスに合わせたゴールはすごかった。長いこと見ているが、蜂須賀のあのクロスに反応できた選手はクリスランぐらいだったのではないだろうか。

「効果的ではないがスペクタクル」言葉通りの選手で使い所が本当に難しく、通訳とテグさんの胃腸が心配である。最近は記者会見で不穏な発言が多かったが、通訳が柔らかく訳して事を大きくしてないことに気づいたのか、SNSを覚えたようで、更に不穏な発言が多くなっている。だれかやつのスマホを取り上げろ。監督批判つづけると本人にとってもチームにとってもろくなことがない。

しかし攻撃のタレントが不足している今シーズンは彼の攻撃力は貴重で、使えなければ残留は難しいだろう。あと関係ないが私服がおしゃれ。スタイルがいいのもあると思うけど、極稀に見る私服ショットがセンスいい。

→シーズン途中で契約解除 チームの規律を守れなかったのが原因とのこと

FW フェリペカルドーゾ
名門サントスからのレンタル。高身長と当たり負けしないフィジカル、柔らかいボールタッチ、オフザボールの動きなど流石に名門で戦っていただけある。まだコンディションが上がりきっていないようだが、グルージャ相手にゴール決めてノッてほしかった。実績見ると点取り屋ではなさそうなので、仕方ないが。


監督 手倉森誠

ボロボロだったチームをサポーター、スポンサー、フロント、マルティノスなど様々な雑音の中少しずつ、少しずつ修正して戦えるチームに戻した。守備の整備、攻撃の整備、サブの選手の底上げとやはり見事な手腕と言わざるを得ない。ただキャンプからやってくれよ、と言いたい気もするが、真剣勝負の中でなければわからない要素もあるので仕方ない。守備のところの土台作りは終わり、本格的に攻撃に着手するところだろう。前半は見ていて辛い時間も多かったが、力量ある監督のチーム作りというものを見せてもらったので、それはそれでよかった。よくないけど。後半戦に期待。


通訳 竹腰飛鳥

文句行っているマルティノスをなだめてピッチ外に出したり、不穏な発言を最大限丸くして通訳したりと見事な活躍ぶり。この調子でお願いします。



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