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私なりのスキア上達のコツについて解説します。

前回のブログで検影法(スキア)のメリットについて解説しました。

  • スキアはやってみたいけど、上手くできる自信がない

  • 周りにスキアをやっている人がいないので、教えてもらうことができない

  • 実際にトライしてみたけど、正しい屈折が導きだせない

でも大丈夫です。ちょっとしたコツさえつかめばスキアは少しずつ上達しますよ。

《スキア上達のコツ》
1.簡単な練習から始める
2.同行の動きから見る
3.乱視の軸はケラト値を参考にしよう
4.自分のクセを掴もう
5.両眼でできるように挑戦しよう

簡単な練習から始める


スキアで挫折してしまう原因の一つは、患者さんをスキアしてみてもうまく測定できず諦めてしまうことです。

模擬眼の測定ができるようになったからって、いきなり患者さんにチャレンジするのは無謀です。キャッチボールできるようになったからって、野球の試合にいきなり臨むようなものです。

まずは模擬眼からスタートして、徐々にステップアップしましょう。おススメのステップアップについて紹介しますね。

《練習のステップアップ》
1.模擬眼で練習する
2.家族やスタッフの目を測定する
3.白内障術後の散瞳眼
4.調節麻痺剤点眼後の子ども

模擬眼で練習する


最初は模擬眼で練習しましょう。

ある程度自分で練習したら、他の人に屈折異常をつくってもらい練習します。
(後ろを長くしたり、引っ込めたりすることで屈折状態を調節できます)

乱視なしで練習して、慣れてきたら乱視眼に挑戦してみましょう。

乱視眼の作り方は、模擬眼の前に円柱レンズを入れたらOKです。度数が検者にわからないように、周りのスタッフにセッティングしてもいらいましょう。

家族やスタッフの目を測定する

模擬眼の測定に慣れた、もしくは模擬眼なんて最初からないよって人は家族やスタッフの目をかりて練習しましょう。

やってみるとわかると思いますが、模擬眼と人の目は全然難易度が違います。

相手の視線を遮らないように注意して、最初はゆっくりでもいいのでスキアの見え方に慣れましょう。できれば屈折異常の軽い人から練習して、だんだんと難しめの人にチャレンジしていくとよいと思います。

白内障手術後の散瞳眼

家族やスタッフの目で練習した後は、いよいよ患者さんの目にチャレンジです。でも、いきなり患者さんの目を測定するのは…不安ですよね。

そんなときにおススメなのが、白内障術後すぐの散瞳眼をさせてもらうことです。

これは普段お世話になっている眼科医のM先生に教えてもらったのですが、白内障術後の散瞳眼は

・散瞳しているので、光の動きが見やすい
・レフ値が安定しているので、答え合わせをしやすい
・大人(高齢者が多い)なので、子どもに比べ協力を得やすい
・白内障の手術をしているので、中間透光体に遮るものがなく光が通りやすい

といったメリットがあります。

視力が向上して機嫌のよい患者さんなら、少々手間取っても笑顔で許してくれる…ハズ(笑)

調節麻痺剤点眼後の子ども

最初は協力の得られそうな子どもでよいと思います。

集中力が長続きしないので難易度は高めになりますが、散瞳しているので光の動きは見やすいです。

白内障術後眼では見られない、強度遠視の動きを確認することができます。
(白内障術後であったら冷や汗ものだが…)

協力の得やすい子であれば、ゆっくり凸レンズの度数を上げていき、光の動き(同行)がだんだんとわかりやすくなる様子を確認しましょう。

同行の動きから見よう

スキアの光の動きには《同行》《逆行》《中和》の3種類があります。

・同行⇒スキアで振った方向と同じ方向に光が動く
・逆行⇒スキアで振った方法と逆の方向に光が動く
・中和⇒光の動きがなくなる

逆行⇒中和の動きを探していくよりも、同行⇒中和の動きを探していく方が難易度が低いです。

最初にスキアを振ったときに同行ならば問題ないのですが、もし逆行の動きをしたら…

少し強めの凹レンズで同行の動きを確認して、少しずつ凹レンズの度数を下げて中和点を探してみましょう。

(慣れてきたら逆行から中和で大丈夫です)

乱視の軸はケラト値を参考にしよう

乱視の軸を決定するのは、何の情報もない状態では難易度が非常に高いです。

熟練者であれば乱視軸もバッチリ、なのかもしれませんが私は苦手です。

そんなときは、ケラト値の乱視軸を参考にしてみて下さい。

そんなに大きくは違わないことが多いです。

もちろん、ケラトの乱視軸で絶対大丈夫という訳ではありませんが、何も情報がない状態でするよりは参考になりますよ。

自分のクセをつかもう

50cmで中和したら-2.0D。

理論上はこれが正解ですよね。

だけど、50㎝の距離が多少前後したり調節の介入(自分の)等で理論通りに当てはまらないケースもあります。

そんなときは、自分のクセをつかんでおきましょう。

例えば、50㎝で中和したときに-1.5Dになることがわかっていたら、そのことを 頭に入れて換算するのです。換算といっても難しいことはなく、理論より+0.5D側にずれるとか、-0.5D側にずれるとかです。

毎回検査距離がかわって不安定になるよりも、一定の距離でクセを把握している方が信頼できるデータがとれますよ。

両眼でできるように挑戦しよう

スキアの練習を始めた方は、おそらくどちらかの目がやりやすいため、片目ばかりで練習しがちです。

最初はそれでもよいのですが、完全にクセがつく前にどちらの目でもスキアを振れるように練習してみて下さい。

患者さんの右目を測定するときは検者も右目、患者さんの左目を測定するときは検者も左目で測定した方が視線を遮らないので検査しやすいのです。

(肩越しに固視標を見てもらい、板付きレンズが視線を遮らないように少し立てて検査してみて下さいね。)

難しいと思いこまないことが大切


スキアをしていない視能訓練士に話をきいてみると

「できた方がいいとは思うんだけど、難しいし…」

という意見が多かったです。

もちろん、自分には必要ないと思っている人もいるかとは思いますが、できるのであればやりなたいという意見の方が多いのではないでしょうか?

器械の進歩はすさまじく、オートレフで多くの信頼できる情報が得られる時代になっています。

だからこそ誰にでもできる技術ではなく、自分が得意とする技術を習得することが強みになると信じてます。

スキアをマスターすることは、視能訓練士の一つの武器になる。

そう思って取り組んでくれる人が一人でも増えたら嬉しく思います。

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