見出し画像

LD Learning Disability(学習障害)

<概要>

最新版DSM-5-TRでは限局性学習症(SLD:Specific learning disorder)と呼びますが、ここでは広く使われている学習障害(LD)で表記します。
学習障害は、学習における技能に困難さがみられる発達障害の一つで、読むことやその内容を理解することの困難さ、書くことの困難さ、数の理解や計算をすることの困難さなど大きく3つに分類されます。

<診断>

上記の困難が知的障害(知的発達症)によるものでないこと、経済的・環境的な要因によるものでないこと、神経疾患や視覚・聴覚の障害によるものではないこと、学習における面のみでの困難であること、という場合に限り診断されます。つまりASDに併発される知的障害は無いと言うことです!

<LDの3つの種類>

1. ディスレクシア(Dyslexia: 読字障害)
・ひらがなの音読が遅く、読み間違える
・読んでいる文字や文章の意味を理解することが難しい
・文章を読むのがたどたどしく、文章の内容(あらすじ)をつかんだりまとめたりすることが難しい

2.ディスグラフィア(dysgraphia:書字障害)
・バランスのとれた文字を書くことが難しい
・文章を書く時に助詞などをうまく使いこなせない
・板書など書き写しの速度が極端に遅い
・考えた内容を書いて表現することが難しい

3. ディスカルキュリア(Dyscalculia:算数障害)
・数の概念が身につかず、数系列の規則性などの習得が難しい
・計算を習得することが難しい
・文章題を解くのが難しい


この3つの中でも欧米と日本では有病率に差異があり、欧米ではディスレクシアが多く日本ではディスグラフィアが多いと言われています。原因は英語圏では音素による認知や認知処理に困難があり、漢字文化圏の日本では1つの文字と1つの音が厳密に対応している為だと考えられています。

因みにぼくは極軽度のディスカリキュアです。算数は本当に苦手で九九を覚えたのは大学卒業時でした。それまで算数や数学のテストでは全部書いても0点てのが何度もありました(部分点すら無い…)その後眼鏡業界に入りどうしても0.25ステップの計算が必要になりましたが、これは丸暗記で乗り越えました🙌
だって0.00と0.25と0.50と0.75の4種類しか無いんだもん、覚えるのは九九より簡単でした笑!
学生時代は完全に捨てていましたが、それでも受験は文系科目だけに絞っていたので大学も入れたし無事卒業もできました。今でも電卓使っても計算ミスしますが…☠️

言い訳させてもらうと、テンキーや電話のキーパッドと電卓って並び逆ですよね!?これが混乱の原因なんですよ!空間認知能力が弱いので予想で動いてばかりで、電卓すらなぜか間違えるのです😂

また逸れてきましたが、

LD児にとっては取捨選択する事も大事なんじゃないかって事です。

無理に出来ない事をやる、やらされるよりも出来る事を伸ばす方が大切だと個人的には思います。

その子に合った支援や提案できる様になりたいものです🙌

<性差>

アルファベットを利用する言語圏では男児:女児で2:1~3:1と言われており、男児の方がやや多いです。ただし、これはディスレクシアを主とした報告なので日本では男児:女児約3:1くらいと言われています。認知度や診断基準が未確定という事もあり、日本ではまだまだ研究の余地がある数字です。

<原因>

ディスレクシアの原因は、文字や綴りを頭の中で音(読み)を引き出して紐付ける「デコーディング能力」と、文字列を単語として認知する「視覚辞書能力」の機能障害が考えられています。
ディスレクシアの特性の背景には、頭の中で文字と音を紐付ける「音韻処理能力」の弱さに加えて、目で見て文字の形や文字列を単語として認知する「視覚認知機能」の弱さなどが考えられています。

ディスグラフィアの原因は完全には解明されていませんが、脳の言語処理領域と運動領域の連携に問題があると考えられています。これにより、思考を文字に変換するプロセスが妨げられ、書字に関連するタスクの実行が困難になります。

ディスカリキュアの原因は十分に特定されていませんが、数量の処理に困難があることが分かってきています。また、言語やワーキングメモリの問題も関与していると考えられており、これらが合わさって計算スピードの遅さや単位の間違い、時間の認識ができないなどの症状が生じると考えられています。


またまた個人談ですが、ぼくの場合は3年程前に発達検査(WAIS-Ⅳ)を受けた結果、ワーキングメモリーと知覚推理が70後半〜80前半、その一方で言語理解が150オーバーという異常値を出しており典型的な発達障害で極軽度のディスカリキュアとの整合性もとれます。因みにこの数値は90〜100が平均です。

ぼくが受けたWAIS-IVの各項目の解説です。
結果の数値はナイショです🙇‍♂️


<治療>

根本治療の出来る薬物療法はありません。

その子の特性に合った学び方や環境を見つけ、困難を感じている分野に対する苦手意識を解消することです。苦手意識を軽減するためには、子ども自身が「これなら学びやすい・学ぶことができる」と思える学習方法を見つけ、成功体験を増やすことが大切です。学校や療育施設などと連携し、学習方法を変えたり環境を整えたり、様々な方法を試しながらその子に合った学習方法を探していきましょう。

<眼科で出来ること>


LDに関しては視能訓練士協会誌にも論文がいくつかあります。ただ、眼球運動に関しての研究が主だったと記憶していますが…個人的にはディスカリキュアに対してはタイポスコープを応用できないかなと感じています。また、ある報告では遮光眼鏡が奏功したともあります。この場合は感覚過敏もあったのでしょうが、眼科領域からのアプローチも出始めているので今後に期待です。
その他ビジョントセラピー(ビジョントレーニング)も有効かと思われますが、如何せんエビデンスに欠ける事と、ビジョンセラピーを行っている事業所、企業間でその手法の統一化がなされていないのでそのメソッドに関しても疑問が残ります。
ビジョンセラピーについてはまた今後記事にしたいと思います。


LDに関しては発達障害の中でも比較的眼科関連の論文が多いです。しかしまだ研究段階で治療や支援への応用の報告は少ないので繰り返しになりますが今後に期待しています!


今回もぼく自信の事とTheお勉強ばかりな記事でスミマセン💦
今後もお付き合い頂きれば幸いです🙇‍♂️
ではまた👻

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?