オンステージ型の苦情とオフステージ型の苦情、SNSの苦悩

『☆1レビュー対応術』を読んでいる。

曰く、苦情は2種類に分けられる。

公開の場で苦情を入れる「オンステージ型」と、非公開に1対1の苦情の申し入れを行う「オフステージ型」である。

「オンステージ型」苦情の具体例には、レビューサイトやSNSを始めとしたネット上の書き込み。

「〇〇(企業名や店舗名)の商品はサイアク!  二度と来ない!(みんな買ったらダメ!)」

あるいは、企業のアカウントにリプライで

「あなたのところのサービスはどうしょうもないですね、詐欺師!」

と暴言を吐くのも「オンステージ型」に含まれる。

反対に、「オフステージ型」が苦情を申し入れる場合のツールは、電話やメールなどがある。最近では「アカウントにDMを送る」といった施策もあるだろう。いずれも非公開だ。

大きな違いは

苦情を入れたこと(そして苦情を受けたこと)が第三者(オーディエンス)に知られるかどうか

この線引きで大別すると、手段の選択の違いで求めるものが変わってくるのではないかという仮説が見えてくる。


オンステージ型が求めるのは解決ではなく

オフステージ型ヘイターが「回答」を第一に望んでいるのに対し、オンステージ型ヘイターが求めるのは「支持」である。企業からの──ではなく、オーディエンスからの支持である。

ヘイターへの支持が集まる(企業側の不手際が広まる)事態は、企業からすれば自社の客離れを引き起こす無視できない問題である。

それがわかっていて、オンステージ型ヘイターは人質を取るようなかたちで不満をネット上の公開ステージに持ち込む。解決のために支持を集める。

大手を相手に(圧力をかけられ)もみ消されたりだんまりをきめられる可能性を考えると、記録もちゃんと残せて証人もいたほうが戦いやすく、無茶を通させないスマートなやり方なのかもしれない。私の好みじゃないが。


失望するとヘイターはステージに上がる

最初から皆がオンステージ型なのではない。

オフステージ型ヘイターの基本的な傾向として、オフステージ型の苦情で満足した対応や解決が得られなかった場合に、解消されない不満と一緒にオンステージ型へ移行する。

諸トラブルが起こり、

問い合わせたら対応も悪かった(まだ未解決)、

しかたない、オンステージで訴える措置を取ろう、という流れである。

こうして見ると、個人的にはオフステージ型ヘイターには穏健なイメージ(ちゃんと話せばわかる、くらいの)を持つ。

書中のなかのデータでは、「オフステージ型は年齢が高く、オンステージ型は若年層が多い」という記述も登場する。この背景にはデジタルネイティブ世代の特性もあると言う。電話が嫌い、書き込みのほうが早い(不幸に出くわした私を見て!)。私も電話代と労力を天秤にかけて、泣き寝入りしたり愚痴のような書き込みに変えた経験があるのでなんも言えないが。

(※文章に年代批判や客層批判がありましたが、さらりと流してください)


オフステージの段階をすっとばすヘイター

もしかすると、訴える選択肢のなかに「(まずは)オフで訴える」が頭のなかにないのかもしれない。想像するとやや恐ろしいが。

だから、特にTwitterなどでオンステージの苦情を目にしたときには

オフで問い合わせたが、向こうの対応がよくなかったので、支持者を募るために公開の場で苦情を申し入れている
お怒りモードで、支持者を集めて大事にして数勝負で屈服させないと気がすまないんだなあ。何をとは言わないけれど、周知の機会とか思ってないかなあ

このうちのどちらに近いのかを人格Bに問うことにしている。急ぎの用でない場合はなおさら直情的なオンステージ型の苦情じゃないのか、とひとまず疑いをかける。

第三者、傍観者のRTに責任はないのかもしれないが、「揉め事の匂い」をなんでもかんでも面白がってはいけないのではないか。


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