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freezing witch

基本的に私は人見知り
そして一人の時間が大事
だから誰かと絡むのが苦手だししたくても出せない自分がいる

実にめんどくさい、私が言うんだから間違いない

…恋愛になると余計めんどくさくなるし、素直にも慣れない
自分をだせないどころか真逆に作用する

本当の私に代わり…


…私は魔女になる


「…まだ?早くしてよ…」
「すみません…先輩」
「男子ならそのぐらい平気だろ…」
「大丈夫っす…」
「ふん…」

図書館へと向かう廊下を歩く
遅延もしくはなかなか返却しない生徒から取り立てにいった…本が泣くぞまったく

本当は私の担当ではない
担当が言っても返さないからなぜか私にバトンタッチ
…簡単じゃん
ただ相手見て「本返却してください」て言ったらすぐ出したよ、前の担当はなにしてたのか

…みんな私見て固まってたけどな、よくわからないけど

「飛鳥先輩来てくれて…助かりました」
「…今までなにやってたの…」
「いや…飛鳥先輩みたいに…」
「押しが弱いの、舐められたら終わり」
「すみません…」
「…ったく、もう…」

私は彼の手から数冊本を奪う

「あっ…」
「遅いんだよ…早くしなよ○○くん」
「ありがとうございます」

○○くん
彼は私と同じ図書委員
1年下だから2年生
何故か普通に私に話しかけてくる稀な存在
図書委員の連中も同級生すら私に話かけてこない
…恐れてるって言う言葉が合うかな
別に私はなにもしてないよ

「先輩ってこのままうちの附属でしたっけ高校」
「あぁ…親がうるさいからね」
「でも図書委員やめないんですね」
「本が読めるからな」
「なるほど…飛鳥先輩らしいですね」
「うるさいよ」

普段一人でいるから学校生活はほとんど無言
必要な時にしか話さないし
でも委員会にはこいつがいる
○○くんが話しかけるから話す
こいつのペースになぜか乗ってしまう

だけど…こいつだけは…話しても嫌ではない
なんで…


ある日図書館へ向かう途中だった

いきなり数人の男子生徒に囲まれた

飛鳥:…なに
「ちょっと来て貰えませんか?この前の話の続きしましょうよ?齋藤先輩」
飛鳥:…あんた、この前の
「納得いかないんですよ、医者の息子で金も持ってて顔もいい僕が振られるなんて」
飛鳥:…で?金で雇った他校の生徒連れてきて私を拉致るって算段?…今なら生徒少ないしここなんてほとんど人来ないからね

「う、うるせえ!黙って僕に従えばいいんだよ!」
飛鳥:はぁ…親の力…他人の力でしか頼れないあんたなんて何の魅力もない…クズ野郎に従うか

「お、おい!そこ登れば屋上だ!屋上に連れてけ!そこで…しつけしてやるよ…服従させてやる、生意気な女がよ!」

周りの男達は私を捕まえようとするが必死に抵抗する
でも…声が出ない…助けてって言えない

おわった……

「おらぁぁ!!」

私を捕まえようとした男達が次々と倒れていく
何が起きてる?だれが…

「飛鳥先輩!大丈夫ですか!」

恐怖で座り込む私の目の前に…○○くんがいた

今は私に背を向けてるけど間違いない…

「お、お前…○○!邪魔すんな!」

○○:邪魔?飛鳥先輩の邪魔したのてめぇだろ…一人じゃなにもできない下衆な坊ちゃん

「う、うるせえ!僕は空手三級…ぶぼぉ!?」

渾身の上段回し蹴りを容赦なく顔面に叩き込む
奴は吹っ飛び
気を失った

○○:悪いな…俺は三段だよ

○○:飛鳥先輩…
飛鳥:…○…○くん?
○○:はい…もう大丈夫です、立てますか?

…だめ…まだ体が震えてる

○○:飛鳥先輩

○○くんは私の目の前に手を差し出す
…見た事のない澄んだ瞳

わたしのこと…みてくれてるの…
こんな…わたしを…

彼の手は…温かい

主犯格の生徒と他校の取り巻き達は警察に捕まり、主犯格の生徒は暴行、拉致未遂、取り巻き達は不法侵入及び暴行で現行犯逮捕になった
防犯カメラが廊下にあり映像、音声が残っていたこともあり警察は余罪も追求している
主犯格の生徒は後に退学処分となった

??:…よかったです、飛鳥さん
???:あー!私がついてれば!
??:…同じ気持ち…
飛鳥:…お前らに迷惑かけられないよ
???:何言ってるんですか…飛鳥さん!
飛鳥:…お前らだってもしかしたら
???:けど!
??:美月、やめな
美月:美波…
飛鳥:悪いね、呼び出しちゃって
美波:図書委員、いいんですか?
飛鳥:んーちょっと行く気なくてさ…
美月:珍しい!飛鳥さん、絶対図書館行ってたのに
飛鳥:そうなんだけどね
美波:事件のことですか?
飛鳥:それは解決したから…

「ちょっと来て」と美波と美月を呼び寄せる

飛鳥:お前達だから話すんだけど
美月:はい!
美波:なんなりと
飛鳥:あのさ…

「恋愛ってなんだ?」

美波:えっ?
美月:飛鳥さんが…恋愛?!

梅澤美波と山下美月
ひょんなことから知り合った二人
こんな人付きい悪くて無愛想な私を慕ってくれる
唯一の…友達

飛鳥:…うん、まあかもしれない
美波:…感激です、まったく興味なかったのに
山下:明日はハリケーン来ますよ!
飛鳥:お前殴られたいか…だがな問題がある
山下:なんですか〜?
飛鳥:恋愛ってものがよくわからないし、その…相手に対して…

飛鳥:めちゃくちゃ冷たくしちゃうんだ…

美波:今よりもですか?
飛鳥:別に冷たくしてないよ?今も…ただ意識すると真逆のこと言っちゃう
山下:例えば?
飛鳥:…昨日なんだが

○○:飛鳥先輩、手伝いますよ
飛鳥:…いいよ、こっち来んな
○○:でもその量の本、大変ですよ
飛鳥:一人でできる…だから来んな
○○:でも…
飛鳥:…うるさい…お前なんて…邪魔

山下:あちゃ…
美波:不器用というかなんというか
飛鳥:…嫌われたわ
美波:その言葉は真逆なんですよね
飛鳥:…まあ
山下:恋愛わからないわけですね
飛鳥:そうだよ…だから困ってる
美波:あの事件で○○くんを惚れたと
飛鳥:前からこんな私に接してくれたし…あの時も助けてくれて…何も聞かずに優しくしてくれたから
山下:ギャップにやられましたね
飛鳥:…普段頼りないのに…あんなの見たら…
美波:飛鳥さん、とにかく素直に、です、このままだと本当に誤解を招きます
飛鳥:うん…
山下:恥ずかしいのはわかりますよ、でも本当に好き、一緒にいたいって思うのが恋愛です、好きなんでしょ?
飛鳥:…あいつとまだ話したい
美波:なら勇気を出して…飛鳥さんの心を溶かしてください、心の氷を…

わからない、どう素直になればいい?
こんなの初めてだし…素直どころか…反発する
でも…○○くんに嫌われたくない
私が卒業しても……話がしたい


翌日、図書館に行くことにした
まだ頭の中は整理できてない

○○:飛鳥先輩
飛鳥:……

廊下に○○くんと会う
心臓がドキドキして張り裂けそう
でも…心は冷たく凍てつき…魔女の私になる

○○:お話があります、屋上いきませんか?
飛鳥:…私は話がない、図書館行くからやめて
○○:お願いします

頭を下げる○○くん
無駄口は叩かず真っ直ぐな目をしてた

飛鳥:…ちょっとだけな
○○:ありがとうございます

少し笑顔になっている…またドキドキした

屋上に着き、○○くんは無言
私はどうしていいかわからず彼を見てない

○○:好きです…僕が1年の頃から…図書委員になって飛鳥先輩が指導してくれた頃から…今でもずっと

突然告白された…今まで色んな人に告白されたけど…心に刺さる

○○:いつも厳しいけどたまにみせる優しさに僕はやられました、強い人かなって思ったけど…やっぱり女の子だから…


「飛鳥先輩は僕がそばにいて守ります」

…わたしのこと…見ててくれたの

飛鳥:…それだけ?…無駄な時間

ち、違う…やめろ…彼にはそんなこと…

飛鳥:…私は…あんたのそばに…いたくない…
ずっと…ずっと…

やめろ…やめろ…魔女!

○○くんに…嫌われたく…

○○:…そういう素直になれない先輩も好きですよ
飛鳥:…え
○○:涙流して顔赤くて…真逆の言葉って受け止めていいですか?僕…ポジティブなんで
○○:可愛いです

凍てつく心が溶けていく…魔女は消えた

飛鳥:う、うるさいな…知らない
○○:素直になってもいいですよ?
飛鳥:黙れ…本当にいいのか?私で
○○:…飛鳥先輩しか見てないので
飛鳥:う、恥ずかしいことをペラペラと…
○○:飛鳥先輩は?
飛鳥:…年上彼女だし…卒業したら…
○○:好きな人に年齢とか関係ないです、会おうと思えば会えますから
飛鳥:…そうね

雪が降ってきた
でも…もう私の心は凍らない
彼の温かい気持ちが溶かしてくれた

彼に今までみせたことのない笑顔になっていた


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