赤子とわたしとローストビーフ

あっという間にもう出産から半年経とうとしている。
前回面白かった(?)と結構好評だった出産レポ。
今回も書いていたがなかなか加筆修正できず、今日に至る。
まぁ、前回のように長時間苦しんだわけでもないけれど、後になって思い返せばわたしらしい出産だったような気がする。
一応今回が最後(予定)の出産なので、これもまた思い出に。
そして、前回は普通分娩、今回は無痛分娩だったのでその違いについても記録できればと思う。
長文駄文ですが、読んで頂けると嬉しいです。


11月17日39w4d
健診でえげつない内診グリグリをしてもらい、早速おしるしあり。子宮口も3.5cm開いているので先生からもすぐに陣痛くるでしょう!とお墨付きをもらう。
…が、思ったりより来ない。というか、全然来ない。
前駆陣痛も前回同様続いているし、夜中になると結構しんどくなるけど、寝ると落ち着く。
それよりも胎動激しすぎてそれが1番辛くてかまちょしてきたレム(猫)に八つ当たりでブチギレる(しつこく乗ってきたのもある)

11月19日39w6d
朝イチでじっとしてれば7分間隔くらいで痛みがあって、万が一に備えて上の子は朝ごはん後から実家へお泊まり予定で預ける。
日中はほぼ落ち着いてるが万が一に備えて、昼寝とかして過ごしてた。
こんなにも万が一に備えてるのに、実に穏やかな一日だった。
あまりにも穏やかなので、夜22時くらいに旦那と共に散歩出かけた。
家を出て5分。尿漏れで一旦帰宅。
気を取り直して、そのあと15分くらい歩いてみると動いても痛みが続いて結構張ったり痛み増してくる。
期待が膨らむも陣痛を確信するには程遠い痛み。
そして日付変わって、予定日。
「こりゃあ超過ランド確定だな〜」と半ば諦めつつ帰宅してアイス食べたりしてたら0時ごろからパキッと7分間隔で下腹部より腰から肛門痛くなる。
「…おお、確かに陣痛ってこんな感じだったわ…」と蘇る記憶。
前回はそこから長いなんてもんじゃなかったし、痛いと言ってもって感じだったのでしばらくは入院できないだろうと思いつつ、一応2時まで持続したし、経産婦だし!間隔10分切ってるし!と、報告程度のつもりで病院に電話をしてみる。
「あーじゃあ入院準備して来てくださーい」とアッサリ。
3時ごろ病院に着いて内診。前回の健診時と変わらず子宮口3.5cm。陣痛らしき痛みもやや遠のいてるし、帰宅コースだろうと思いきや、ガウンに着替えさせられ、これまたアッサリ入院させてもらえた。

病院へ向かう途中、予定日1日違いで上の子同じく6月生まれのぴょんちゃんに連絡したら、まさかのぴょんちゃんも陣痛ナウだったので「病院集合ね〜(笑)」となった。嬉しい。

陣痛室は個室で、暇だな〜って思ってたら、突然「なつみちゃーん?」と呼ばれて助産師さん登場。
え?そんなフレンドリーな感じ???と若干ビビってると、その後ろから陣痛ナウのはずのぴょんちゃんがヒョッコリ。無事に病院に集合し、お隣の部屋同士でお産をすることになった。やったー!

朝6時くらいになっても、まだ6分間隔。
ジワジワ痛みは強くなってきて、声出すほどじゃないけど痛い。
これ以上は結構しんどい。わたしの体質的にまだまだかかりそうだし、陣痛室が個室で助産師さんもそんなに来ないし、進まなきゃ旦那も入れないし、先が見えないことへの不安が強くなる。

どんどん強くなる痛みと前回の何日も苦しんだことを思い出して、これは無痛のほうがいいのではないか、と思う(病院には直前まで無痛にするか悩みたい、と伝えていた)
なので、助産師さんが来たタイミングで、無痛にしたくなってきたかも…とポロリと漏らすと「無痛するなら3番目だよ〜」と言われる。
しばらくして、また助産師さんが来て「無痛にする?朝ごはんにする?」と聞かれる。
無痛の選択肢ってそんなフランクな感じでいいんだ?と驚きつつ、朝ごはんはかなり魅力的だったので、すごい悩んだ。
結局は「もう無痛いれたい?入れるなら準備するけど?」って助産師さんに言われて「まだ痛みも子宮口も開いてないですけどもういいの?すぐ入れてもらえるなら入れたい!」と思ってお願いする。
なるべく早く入れて、無痛代の元を取りたい!という邪な気持ちが発動した。
しかし3人待ちなのでそこからの待ち時間が長い。

ようやっと、7時ごろ無痛入れてもらう。
しばし、無痛麻酔挿入体験記になります。
無痛麻酔の穿刺、めちゃくちゃ痛かった。
腹囲108cmのデカ腹では上手く丸まれず、2回刺される。(もしかしたら麻酔の関係で2箇所刺した説もある)
狭いベッドの上で一生懸命背中を丸めるも、先生からは「もっと丸まって!」と怒られる。
本当にね、一生懸命やってるのよ。だけど、腹が邪魔で全然丸まらないの。
助産師さんにも頭と膝をギュッてされるし、本人は至って必死でやってるけど、全然できてなくて想像すると面白いね。ほら、あなたも想像してみて?

やっとこさ針を刺したら、腰の左側にズーーーーーーンって重い感じの痛みがあって、ビクッとなってしまって、また先生に怒られる。反射なんです許して下さい。

その時、わたしは背中の真ん中に痛みが来ると思ってたのに左側だし、腰椎麻酔の正解がどんな感じなのかわからなくて本当に大丈夫なのか心配になってとても怖かった。
すんごい歯を食いしばって耐えてたけど、ほぼ半べそ。無痛麻酔こんなしんどいのかよ…って若干無痛にしたことを後悔した。
おじいちゃん先生だったから余計に心配だった。

そんな地獄のような時間もどうにか無事に麻酔が入って終了。1時間くらいして、だんだん麻酔が効き始めてからは痛みも落ち着いてきたし、心の余裕が出始める。
無痛麻酔のため人生初のBa入れるのも痛くないし、トイレに行かなくていいのが何より楽。
以上、無痛麻酔挿入レポでした。


無痛で気分は無敵になったのは良いものの、陣痛は6-7分間隔からは縮まらないし、子宮口も全く開かず長期戦を覚悟。
でも痛くないから怖くない。ただ暇なだけって感じ。いや、今日中には産みたいという気持ち。
隣のぴょんちゃんともLINEでやりとりしながら、進捗状況を報告しあってた。

麻酔が効いてきたタイミングで、前日から寝てなかったせいか睡魔に襲われ、ウトウトしてたら突然、オギャー!と産声らしきものが聞こえて目が覚める。
直前までLINEしてたから、え?これ産声?もう産まれたの?って驚きつつ、その後産まれた〜ってLINEが来たから本当にもう生まれたんかい!となった。
そして、ちゃっかり友達の子の産声をリアルタイムで聴きながら勝手に感動させていただいた。

そんな進みの早いお友達とは違い、全く進んでる様子のないわたし。今日中に産めるのか不安になる。
旦那も家に帰らずに、病院の近くにいて車の中で待機してるし、せめて早く部屋にいれてあげたい気持ち。
ので、助産師と話してる時に誘発する時ように促進剤の同意書サインしてるからもし使えるならさっさと使ってほしいな〜と言ってみる。とりあえず同意書だけ回収される。

その後、挨拶をしにきた日勤の担当者さんが促進剤持って登場。
9:30促進剤開始。
促進剤の効果を期待してこれは昼過ぎに産めるんじゃないか?とルンルン気分になる。
無痛も効いてるし促進剤バッチこいの無敵モード。
促進剤を使い始めてからも子宮口は相変わらず開かないものの、陣痛間隔は短くなった印象。
促進剤の側管で流してる点滴の流量エグくて(もはや全開だった)、滴下速度を申し訳ないが自己調整させてもらう(それでもバレないようにかなり早めはした)

11時ごろから13時過ぎまで途中何回か起きつつも爆睡。時々助産師さんが来て、促進剤の流速上てくれるが陣痛2-3分間隔でそれ以上は進まず。
13時過ぎに無痛麻酔の残量アラームがピーピー鳴りはじめる。
原因はただ一つ。元を取るために予防的に無痛スイッチ適時しっかり押してたせい。

そしてついに助産師さんからお産を進ませるためにも一旦、持続投与のみで追加押さず様子見てみようと言われる。
両足もだいぶ痺れてて力入らないくらい麻酔もよく効いてたからしばらくは大丈夫だろうと結構余裕ぶっこいてた。
しかも麻酔の影響か身体中が痒い。調子乗って麻酔追加しすぎたな〜と若干反省する。

そこからはお腹張る感覚あったり、腰のあたりが少しだけ痛かったりして陣痛来たのはわかるけどたまにわからないこともあるくらいの痛みだったのがちょっと痛いな〜と思うくらいになってくる。

この頃からやっと子宮口も開き始めて14時に5cm大となる。
助産師さんに「良い調子だから頑張って!そろそろ旦那さん呼ぶ?」って聞かれたから「いたらもっと頑張れそう!」と答えて旦那召喚の許可が出る。
促進剤使い始めてから病院の駐車場で待っててくれたので、即旦那到着。
すでに車中で12時間待機させてたから申し訳ない気持ちだった。

先ほど出産を終えたぴょんちゃんからLINEで「夕飯はローストビーフ」という情報を入手。これが今回の出産のカギとなる。

食事が評判で今回の産院を選んだと言っても過言ではないのだから、ローストビーフなんて絶対食べたいに決まっている。
でも無痛してる間は絶食なので、食べるためには産むしかない。
ローストビーフまで残り3時間。
わたしの中で夕方までに絶対に産んでやる!とスイッチが入った瞬間だった。
すぐに助産師さんにもローストビーフ食べたいから夕飯までには頑張りたいと伝える。
助産師さんは苦笑いしながらも「が、がんばろうね」と言ってくれた。

その頃、いよいよ麻酔効果が薄くなってきたタイミングで残量もなくなる。追加の麻酔はまだ来ない。
でも旦那もいるし、今まで痛くなくて過ごせたし、お産進ませるためにも頑張るか、と比較的前向きな気持ちだった。
陣痛がくる度にふーふーって息吐いて耐えられるくらいの痛み。少しだけ汗が滲む。

そこから1時間経って15時頃。
この頃にはだいぶ痛くて、うーうーって唸る感じで声が出る。
赤ちゃんは降りてきてないけど子宮口8cmくらいにはなってるとのことで、希望が見える。
ただ、痛みも段々強くなってきてるせいかあれだけあった余裕もなくなってきてた。

ちょうど痛みに悶えてる時に助産師さんが促進剤の流量上げに来てて、「少し遅くなってもローストビーフ食べられるように取っておいてもらうから頑張ろうね」と言ってくれて、そこで涙腺崩壊。
痛みと助産師の優しさが染みてボロボロ涙が溢れる。それを優しく拭いてくれる旦那氏。
今思えばローストビーフ食べたいと泣く三十路目前の女などドン引き以外の何者でもないが。
泣きながらも改めて、絶対ローストビーフ食べる!と強い気持ちを持った。

無痛麻酔の追加も届いて投与してもらったけれど、若干効いたかな?程度でそれ以降ほとんど効果なくて激痛。
16時頃には9cm、そこから子宮口全開大くらいまではどうにか進む。
プラセボ程度の麻酔効果しかないくらいにはしっかり痛いし、陣痛中ガッツリ声出る。前回に引き続きうるさいタイプ。

全開になったあたりから、赤ちゃんが降りてきて肛門あたりに違和感出てくる。でも全然高い位置にいるのはわかる。
なぜならまだ腹で胎動ズンドコしてたから。生まれる気あんのか?!ってちょっとイラッとしてしまった。

陣痛中は腰がめちゃくちゃ痛くて、いきみたいかんじもかなり出てきて、いきみ逃しがすごい辛い。陣痛が終わると合間に意識が飛ぶ。
ナースコールして助産師さんにいきみたい報告。
「まだちょっと早いから我慢して」となり秘宝テニスボール召喚。
肛門にテニスボール当てて、少し楽になる。
まだ位置が悪いから体勢変えようと提案されて横向き。
肛門爆破しそうになるのを旦那に抑えてもらう。羞恥心などとっくになかった。
ちなみに肛門というより今回は膣のほうを抑えてもらえると楽だった。
ここら辺から吐き気も出てくるものの、ギリギリ吐かずに済んだ。

また内診してもらって、いきむ許可が出たので、助産師さんに子宮口?を広げる感じで補助してもらいながら何度かいきんでみる。
赤ちゃんはまだ全然高い位置にいるけど、いきめてわりと楽にはなる。

本格的に分娩準備始まってベッドが一瞬でカスタムされてお産スタイルに変わってくる。滅菌機材も出ていよいよ感が出てくる。
助産師さんの手際良すぎてビビる。

時間ははっきり覚えてないけどたぶん17時前くらいだったか、時計見てローストビーフは間に合いそうかもって思った記憶がある。

お産スタイルになってからはガッツリいきむ。
ローストビーフにかなり近づいてきて嬉しいのと痛いのでまた涙が出てくる。
旦那に「うっう…ローストビーフ食べたい…だから頑張るよぉ…うう〜痛いぃ…」と訴えて泣く。
前回の立ち会いなしの分娩時は涙など出る気配もなかったが、やはり甘えられる人がいると弱くなるのか今回はよく泣いた。

助産師もずっとついてくれてて、お股をガッツリサポートしてもらえて、良い感じにいきめる。
いきむ度に会陰伸ばしてくれてるのがわかる。でも全然会陰自体は痛くないし、天才ゴッドハンド助産師さんだった。助産師ガチャ大成功である。
だからこそ助産師さんがたまに席外したタイミングでいきみ逃ししてって言われた時は死ぬほどしんどかった。
いきめるときは痛いけど楽だった。

いきむ度にズズズ、とだんだん赤ちゃんが降りてくる感じもわかって、タイミングの度に毎回助産師さんがグイグイ会陰伸ばしてくれる。
こんだけ伸ばしてくれてたら会陰切開しないでも済む可能性あり…?とこっそり期待した。
会陰切開がトラウマのわたしにとっては心の底から有り難く、神の手だった。
その後もどんどんいきんで、いきみで赤ちゃんを押し出してる感じがある。
かなり降りてきてる、もはやすぐそこ。股の間に赤子を感じる…。
自分でもいきむの上手いなぁと自己肯定感ブチ上げて調子に乗っていたらついにやらかした。
そう、うんこ漏らした。
なぜ気付いたかというと、肛門拭かれて消毒されたからである。
幼少期以来の人前での脱糞。恥ずかしさは否めなかった。わたしは気付かないふりをした。

そんな色んな感情の中、助産師さんのスーパーサポートを受けつつ全力でいきんでると突然、破裂する感じで破水。
股から水鉄砲みたいに羊水噴射して、ノーガードの助産師さんに盛大にクリーンヒット。
この人は今日わたしの羊水の臭い匂いを纏って帰宅しないといけないのか…と思うと申し訳ないなさでいっぱいになった。
「まじ臭いのにぶっかけてごめんなさい」とすぐ謝罪。全力で謝罪。股開いてないで土下座したかった。
助産師さんは「よくあることなんで!」って笑ってたけど笑い事じゃねぇくらい羊水は臭いし、よくあるのは感染の観点からも困ります。

先生とか来てないけどガツガツいきませてくれて、上手だよってすごい褒めてもらえるから一生懸命いきむ。
と、同時に肛門付近にうんこの存在を感じる。わたしの肛門にいるそれはうんこなのか赤子なのか、もうわたしにはわからなかった。もううんこが出てしまうのはしょうがないと諦めた。
真相は今も闇の中だ。

しかし、確実にもうすぐそこに赤ちゃんいるのはわかる。発露は確実にしてる。
この時時計見て、17時すぎてたけど、遅くても食べられるようにしてくれてるということはローストビーフ確定したんじゃないか?と思う。

先生も来てないけど助産師さんいきんじゃダメって言わないしもうほとんど赤ちゃん出てるし会陰切開もしないフラグじゃない?ていうか絶対間に合わないよね、先生…と身体は必死、頭では冷静に考えていた。
気持ち的にはあと数回のいきみで出すつもりだった。
いきんでて、頭がちょっとでたところで陣痛が止まる。い〜や〜、止まる位置しんどすぎるてぇ!!となるものの、もう終わる!と安心したせいか、陣痛がやや間延びしたように感じる。
波が続かない&次の波が思ったよりなかなか来ない。ここで、酸素装着。
とりあえず早く出したいから陣痛きてるのかきてないのか微妙なところでもいきんでたような気がする。
わたしの頭の中は早く出してローストビーフが食べたい!という想いでいっぱいだった。
その次の陣痛で赤ちゃんの頭が半分くらい出た。助産師さんからは、「もういきまないで!」と言われる。
「あとは息吐いて力抜けば産まれるから」って言われるも、陰部にぴっちりハマってる感じがあって超絶しんどい。
ここからキツすぎる地獄タイム開始。

赤ちゃんの頭の1番デカいところ?が突っかかってて全く出てこない。いきんじゃだめだから押し出すこともできなくて、力抜こうとするけど痛みと苦しさで勝手にいきんでしまう。
お股が極限まで広がってパッツンパッツンになっててもう裂けた終わったと絶望する。
時間にしたらほんの数分の短い時間だったと思うけど、全然出なくて絶望と苦しくて辛くて終わりが見えない最悪の時間だった。

目をかっ開いて、ヒーヒーしながら力を抜く努力をしてたけど、死ぬほどひどい顔をしてた自覚がある。そんな顔を旦那にに晒してたと思うと心底恥ずかしい。
あとあのお股がパッツパツに広がりきった感覚が残ってていまだにゾワッとする。
助産師さんがお股グイグイ押してくれて、どうにか頭出た後も今度は肩が突っかかる。

たぶん励ますために、助産師さんが「赤ちゃん出るよ!見える?見て!」って言われるけどクソほどどうでもよくて、見えないし見る気もあんまなかった。兎にも角にも早く出してくれという気持ちでいっぱい。一応形だけハイハイ!見たよ!見た!ってやった。

上の子の時は頭も一瞬で出て、そのまま身体もスルンって出たからそういうもんだと思ってたのに頭と肩両方で突っかかるなんて聞いてねぇぞ、と心の中はブチギレ中。はよ出てこいや!!!となりながら、身体が半分くらい出た時にやっと赤ちゃん見えた気がする。
その後ようやくドゥルン!って出て、やや遅れて赤ちゃん泣く。産声聞こえて安心はしたけど身体しんどすぎてそれどころじゃない。
あと産声の声低いなぁと思ったことは覚えている。
でも旦那がどんな顔してるかな?と思ってすぐ見て、産まれたねぇ的なアイコンタクトはした記憶がある。どんな表情だったかはちょっと曖昧。なんか記憶にある表情はわたしの勝手な補正がかかってる気がする。

そして時計の確認。まだ17時半過ぎ。
はい、ローストビーフ確定。
わたしはこの戦いに勝利したのだ。

そしてザッと処置を終えた赤子が胸元へ。
デ、デカい…ほっぺすごい…が第一印象。
無事に生まれてきてくれてありがとう。

しかし、本当の地獄はここからだった。
すぐに臍の緒を手繰る感じで胎盤を出そうとする先生と助産師さん。先生はいつの間にかいた。
旦那曰く赤ちゃんとったのは助産師さんで先生は後ろでウロウロしてたらしい。

話は戻るが、胎盤とは別にお股からマーライオン的な感じでビュービュー血液が流れ出る感覚ある。
お腹ゴリゴリ押されるたびにすごい出てる。
わたしは「あーーまたか…」と、イキリ厨二病ぽい感じで明後日の方を向いて呟いた。
助産師さんに「前回も?」って聞かれて「あー、はい」って気怠げに答える。態度が悪い。
そうこうしながらも生温いデッカいものが、再び股からドゥルンと出る。
デッカい膿盆に限界いっぱいチャプチャプに溜まる胎盤と血液が見える。かなりグロテスク。

まぁ案の定、子宮収縮不良で再びお腹ゴリゴリ押されて股の中にも手を突っ込まれる。
前回同様出産終わって頑張る気持ちなくなってるから「もう嫌だーーー!やめてーーーー」って叫んだ。やめてもらえるわけもないし、やめられても困るがずっと叫んでた。
ここで旦那退場。さらに頑張れなくなる。

点滴全開投与されてルート入ってるから右腕は力抜け、左腕は採血とルート確保するから力入れろって言われて混乱、18Gでルート採血痛い。
それよりも、出産直後のズタボロお股をガーゼでガシガシ押さえられて激痛で「痛ーーーーーい!!!」と大絶叫。
じいちゃん先生に「何もしてないよ!押さえてるだけ!どこが痛いの?」と聞かれて「お!ま!!た!!!」とブチギレながら絶叫。
助産師さんにも「柔らかい布で優しく押さえてるだけだよ」と宥められるがそんなわけない絶対にガシガシしてる。
あのじいさん先生許さない。お股は粘膜なんだからカッサカサのガーゼでガシガシしたら痛いんだよ!お前のち◯こローション着けずにガシガシ扱いてやろうか?!と心の中で暴言を吐く。
まぁ、わかる。出血源とか傷ないかとか見なきゃいけないのはさ。でも痛いもんは痛いのだ。
ちなみに3000g超えであんなに突っかかりながら赤子出したお股だが、会陰切開もしなかったし、裂けもしなかった。けど、ちょっとした傷はできてたみたいで3針くらい点々とナートした。
そんなもんで済んだのは完全にあの神の手を持つ助産師さんのおかげなのである。天才。
そんなこんなで最後まで叫び倒してたけど処置はどうにか済んで、最後に膣内にガーゼ突っ込まれて終了。お股ヒリヒリジンジンが止まらない。

だが、すぐに心を切り替えた。
そう、わたしにはローストビーフちゃんが待っているのだ。
出血が多かったせいか、助産師さんにご飯食べる?って聞かれたけど、「バカ言ってんじゃねぇ。俺はローストビーフ食べるために今まで頑張ったんだよ。食べるに決まってるじゃん」と心の中で返答し、ただ「食べます、絶対」とだけ力強く答えた。

こうして、11月20日予定日ぴったりの17時32分に3218g の女児を無事出産。

少しの時間、旦那と赤子と3人で面会の後、無事に美味しいローストビーフを食べられて満足したのだった。


最後に、今回初めての無痛体験してみて、子宮口開くまでの間でも痛みをあまり感じずに過ごせるのは精神的にも身体的にも相当楽チンだったので今後出産の機会がある方には圧倒的に無痛をオススメします。
ワイの場合そもそも陣痛微弱傾向もあって、促進剤もさっさと使ってもらったし、子宮口7cmくらいからは普通分娩と変わらないくらい痛かったけど、助産師さん曰くいきむためにわざとその部分は麻酔効かないようにしてる(病院と先生の考え方による)らしいので、ある程度の痛みは仕方ないのかなーと。
前回みたいにもう2度と出産するもんか!とは思わなかった。なんなら出産より胎盤出したりするほうがしんどい(笑)
まぁ、出産の痛みはリアルにすぐ忘れる(今回は産後3日目くらいで思い出せなくなった)けど、別の痛みが次々襲ってくるからお産の時くらいは痛くなくできるなら痛くないほうがいいねって思ったよ(個人の感想です)
あと、ローストビーフのことばっかり言ってるけど、旦那氏が立ち会ってくれて本当によかった。
自分の弱さが出る部分もあったけど、とても支えられたし、あの瞬間を共有できるのは基本的に旦那さんだけだし。できれば娘にもいてほしかったなぁ。

ここまで読んでくれたあなた、ありがとう。
ベストフレンド。サンキュー。

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