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オレンジ
オレンジが好きだ。
オレンジとはわたしにとって一つの概念であって、時には色や果物を指すこともあるが、ほとんどの場合は抽象画に近い。それは果てしなく活力に満ちたイメージである。
......と謎の語りから始めてしまったが、何を隠そう、わたしはオレンジジュースが大好きである。例えばホテルの朝食会場にアップルジュース、オレンジジュース、グレープフルーツジュースが並んでいたとしたら、迷う隙なんて無い。他のフルーツジュースには無いエネルギーが、オレンジジュースにはある。
そんな風にオレンジジュースの魔法にかかったのは、とある本がきっかけだ。小学生の頃に偶然出会い、わたしが生まれて初めて強く「すき」と感じた本である。夢中になって何度も繰り返し読み、今でも折に触れて読み返すこの小説。
『リズム』森絵都
その一節に、オレンジジュースが出てくる。ぜひともこれを読んでオレンジジュースのおまもりを身につけて欲しい。
というのは半分冗談だが、人はみな、それぞれの「おまもり」を持っているのだと思う。わたしにとってのそれは、なんとなく元気がない時に飲むオレンジジュースだったり、気分が落ち込んだ時に纏う花束の香りの香水だったり、日常にささやかな彩りを与えてくれるネイルカラーだったりするのだろう。そして、きっとこれを読んでいるあなたにも、そんなあなただけの「おまもり」があるはずだ。
そういえば、SMAPに、オレンジという曲がある。
♪不器用すぎる二人も季節を越えれば
まだ見ぬ幸せな日に巡り逢うかなあ
ただのポジティブな明るさだけではない光が、オレンジの中に宿っているのだと思う。それは、切なさだったり、悲しみだったりするわけで、たとえどんなに苦しくても、どんなに辛い感情を抱えていても清濁併呑んで生きてゆくしかない私たちを、応援してくれる存在である気がしてならない。
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