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『リュウの行商人』のこと

この企画展に参加したのは、2015年のことです。
参加者の募集はTwitterで知ったのですが、その前年の『ツノの行商人』の時も、参加したいと思ってました。
ただ、そちらは文章書きは対象外だったので、しようがないかとあきらめたのです。
が、『リュウの行商人』は文章書きも対象ということで、応募してみました。
で、なんとか採用されまして、朱々さんというアクセサリーなどを作っていらっしゃる方と組んで、同じモチーフで作品を作ることになりました。

『リュウの行商人』は、竜を出さずに竜について語る――ということで、私が考えたのは、異世界の商人が旅の途中で出会った不思議な少女と、娘に贈った竜の鱗についての手紙でした。
私は、「商人の手紙」という形で短編を考え、それを実際に手紙にすることで作品として仕上げました。
一方、朱々さんは『竜の鱗』をモチーフにした銀細工のペンダントを作りました。

私の『手紙』は、まずは紙を加工するところから始めました。
ネットでエイジング加工のやり方を検索し、とりあえずコーヒーで染めてみることにしました。
が、なかなか自分の思うような感じになりません。
ウォルナットインクを買って、そちらも試してみましたが、私が思い描いているものとは、なんか違うのです。
そんな時、主催者の清水イズさんから「本物の古びた紙をよく観察してみればどうか」というようなアドバイスをいただき、それで改めて、家にあった古い本やら古い紙の束などを観察。
そうしてあれこれ試行錯誤の末に、なんとか紙と封筒が出来上がりました。
そうやって作った紙に、文章を書き写し、完成です。

作品は売れてしまって、今はもう手元にありませんが、とても楽しく、そして刺激的な日々でした。
小説を、本の形以外の『作品』にすることもできるのだと初めて知った貴重な体験でした。

写真は、展示会の時のものです。右上が私の作品、左下が朱々さんの作品です。

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