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ベーシックインカムは極めて怪しい.7 ―移民にも実質支給されるBI―

こちらの「ベーシックインカムに関するよくある質問」にはインフレについての話以外に、「おいおいおい」と思わず突っ込みを入れざるを得ない話が更にあります。

移民は増えるでしょうか?

他の給付金と同様、政府はベーシックインカムを受け取る前に、一定期間の合法的な居住期間を要求する可能性が高い。ベーシックインカムはすべての人に安定した収入層を提供し、したがって資力調査による給付金よりも大きな雇用インセンティブとなるため、この国にやってくる人は誰でも、現在よりもさらに経済に貢献する可能性が高くなるだろう。

https://basicincome.org/faqs/

つまり、外国人であろうと、一定の期間居住すればBIを受け取れる資格を得ることができるわけです。
更に、「雇用インセンティブとなるため、この国にやってくる人は誰でも、現在よりもさらに経済に貢献する可能性が高くなるだろう。」
というのは「労働力として『移民は良いこと』」という、これが前提になっているわけです。

これは無茶苦茶です。
ですが、BI推進派ではこの無茶苦茶が当たり前のように通ります。
或いは、BIでは移民は増えない!というそちらも荒唐無稽と言うしかない理論を言う人もいますが・・・。

実は前記事で書いた「BIではインフレは発生しない!」はこの件にも関連しています。
前記事で私は「BIで発生するインフレは当初はディマンドプルインフレだが、その後供給力破壊によるコストプッシュインフレが起こる」と述べましたが、逆説的に、BIを配って供給力破壊が起こらないのであればCPインフレも起こらない、というわけになります。
これは実に悍ましいですが、BIによる供給力不足はBIにより呼び寄せた移民を労働者として利用することでその穴埋めを行えばよい、という理論がBIの理論には前提としてあるのです。
そんなことはない、という主張はあるでしょうが、その理論が無ければ
「BIではインフレは発生しない!」
或いは
「BIで発生するインフレは心配する必要はない!」
という発言は生まれません。
BI推進派も「移民を私たちの生活のための労働使役(奴隷)として利用しよう」とは言いません。
しかし、BIによって移民が流入しBIで足りない生活費を低賃金労働で稼ぐような環境が成立すれば、確かにインフレを起こすことなく、デフレの状態、つまり経済成長をせずに労働者に富を還元しない状態を維持したまま、企業経営者は利益を得ることができるのです。
そしてこの状況は、今、正に日本の移民問題として再現性が高い状態で証明されています。
そのような移民問題を問題としてとらえず、
「移民を低賃金労働のための使役として呼び寄せるための餌としてBIを用い、移民を酷使し、経済に貢献する存在としてセッティングしよう」というこの下卑た差別思想は、確実にBI推進の理論には大前提として組み込まれており、更にBIENそのものがお墨付きを与えているのです。

これは「日本は周辺国に労働犯罪を仕掛けるような国家になれ」というなものだ、と私は思います。
こんな考えを持つような日本という国家を私は軽蔑します。
是非、日本にはそのような国家になってほしくありません。

さて、こんなことを書いた上で恐らくBI推進派はこうも言うはずです。
「では日本ではBIは日本国民に限定すればいいじゃないか」と。
「普遍的」「無条件」というBIの特徴をすっかり忘れた上で。

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