コールドリーディング 一瞬で人の心を掴む技術

イアン・ローランド=著 福岡洋一=訳

 ゆくゆくはコーチングにもプラス面で応用できるようにコールドリーディングのテクニック群を取り入れたいため。

リーディングの大まかな流れ

第一段階:セットアップ

 コールドリーディングはセッションをスムーズに進めるため、始める前に幾つかの手順を設定している場合がある。基本的にはリラックスした、協調的な雰囲気を作り、相談者がコールドリーディングのプロセスに文句をつけたり妨害したりしないようにすることが目的。

1)顔合わせと挨拶

 第一印象:ニコラス・ブースマン著『90秒で相手の心をつかむ技術』参考

 自身にマインドスクリプトを使用。誰かと会う場面について自分の思いを表明する短く単純で前向きな言葉。相手に会う前に心の中でその言葉を唱え、相手との会話の最中もそれを反復する。

2)強調的な解釈を促す

 タロット占いが科学ではなく、そこに解釈の要素が含まれることにサイキックは用心深く言及しておく。ポイントはサイキックと協調し、力を合わせることが自分には求められている、と相談者に思わせること。

 自分の立場がサイキックの語る知恵の言葉をただ黙って受け取ると言う受動的なものではなく、リーディングに積極的に関わる必要があると思うように仕向けられる。しかし実際には、相談者が自発的に情報提供しサイキックが物事を正しく言い当てるの助けてくれるようにすることがポイント。

3)親密な雰囲気を作る

 ラポールを築く。装飾や環境、音楽、ろうそく、お香。

 狙いは相談者が挑戦的になったり自分の意見を主張したりするのを防ぐこと。また相談者に儀式に参加しているような感覚を持たせるのも良い。儀式と言うのは遠い昔から、通常の意識による反応押さえ込んで、行動の条件付けを行うために使われてきた方法。

4)サイキックとしての信用度を印象付ける

 最もよく使われるやり方の1つは、これまでにリーディングを行った相談者の賛美の言葉を並べておくこと。

 質の良い小道具を使うというのもある。

 実際に話す内容も言うまでもなく重要な要素だ。リーディングする時これまで何年もかけて「専門分野」を学んできたことに「それとなく」触れ、それまでにリーディングを提供したVIPたちのことをほのめかし、相談者を自分もなんとなくセレブの仲間入りできそうな気分に誘導することが多い。

5)リーディングの体系を信用させる

 サイキックは自分自身の信用度を高めるとともにタロットカードなど、自分が提供するリーディングの体系についても信用できると言うイメージを植え付けようとする。→真剣なものと受け止めるように仕向けることができる。どれほど馬鹿げているかに思い至らせないようにする。

 例えば、タロットカードの長い歴史や、それがいかに高く評価されているということや、タロットカードの告げたことから恩恵を被った大勢の相談者達に言及するかもしれない。

6)失敗したときの言い訳をあらかじめ用意しておく

 例えば、

「正直にお話ししておきますが、私は時々間違うことがあります。常に正確に指摘できたら良いのですが、結局のところ私だって人間ですからね。もちろん最善を尽くしますけれど。わかっていただけます?」

 こういう態度をとると本当に正直そうに感じられるので、相談者はサイキックが努力してくれていると好意的に見えるようになる。

7)相談者が最近リーディングを受けたかどうか調べる

 この質問をする主な理由は、同一の人物に互いに相容れないことを告げてしまわないようにするため。他のサイキックが言ったことと自分が告げることの間に食い違いが生じる。

8)相談者を楽にさせる

 相談者の中には、サイキックによって必要以上に自分の内面が見抜かれるのではないか、心の奥底にある暗い秘密を暴かれるのではないか、悪い知らせがもたらせられるのではないかと用心深くなっている人がいる。

 そういった懸念を取り除く言葉をかける。

リーディングの要素

 38種類の有用で生産的な要素がある。各要素は大まかに4つのグループに分類されている。

a 性格に関する要素

b 事実や出来事に関する要素

c 情報を引き出す要素

d 未来の出来事に関わる要素

a 性格に関する要素

1) 虹色の戦略--対極的な傾向について同時に述べる 

 例えば、

「あなたはとても思いやりのある人で、いつも他人に与えてばかりですが、素直に振り返ってみれば、時として自分の中に利己的な傾向を見ることもあります」

 この例では相談者について、無欲であると同時に自分本位な人だと述べている。この方法には無数のバリエーションがあって、「内向的なのに外交的」、「恥ずかしがり屋なのに自信家」、「信頼できる人なのに無責任なところもある」などと応用できる。常に内向的だったり、常に社交的だったりする人は滅多にいない。状況によって、時には内向的に、時には社交的にもなる人が大多数。

作り方:

 まず性格の一般的な傾向を考える。

 次に、相談者がその性質を備えているという表現と、その性質が欠けているという表現を作る。

 最後に、時間、状況、気分、潜在的な可能性に言及しつつ、2つの両極的な表現を1つに結びつける。

反論の余地のある表現を避ける

「虹色の戦略」重要な点は、分量について反論されないようにすること。量を明示できる特徴を扱う場合、このタイプの言明はあまりうまくいかない。

よくない例

 サイキック:「あなたが現在の世界と調和していることがここに示されています。新しい技術の発展、つまりコンピューターやインターネットなどに恐怖を感じる事はありません。しかしときにはこの分野に圧倒されるように感じます。多くの人と同じようにマイクロチップの時代に困惑を覚えることがあるのです」

 相談者:「実を言うと私は、もう15年間データ処理部門を率いていて、手の空いた時間に最新技術のレクチャーもしています。この分野に圧倒されるように感じたことなんて1度もありません」

 量の明示だが、かなり大雑把でついつい使ってしまいそうになる。

2)ジェイクイーズ・ステートメント--誰もがぶつかる人生共通の問題について述べる

 要素の名称の由来:シェイクスピアの『お気に召すまま』に出てくるジェイクイーズが「人生の7つの時代」について語る、有名な場面から

 ゲイル・シーヒィ『Passages』参照

--大人の生活における予見可能な危機を分析している。

 素直に考えてみてください。若い頃に抱いていたあの夢、大事にしていたあの大きな野心、かつて大事だと思っていたあの計画、そういうものはみんなどうなってしまったんだろう、と不思議に思うことがよくありますよね。決まりきったやり方はもうやめだ、何もかも捨てて、今度は自分のやり方でやり直したいと、そんなふうに思っている部分が、あなたの奥深いところにあるんじゃありませんか?

3)隣の芝生--「選ばなかった人生」への未練を利用する

 ジェイクイーズ・ステートメントの一種

4)バーナムステートメント--大多数の人が「自分のこと」と思う一般的な事柄を述べる

 ラポールを確立する手段として役に立つだろうが、多少なりと深く、細かい部分にまで言及するリーディングをするには大まかすぎる。

プラスα:フォーキング(分岐)のテクニック

 バーナムステートメントを使った後、相談者がおおむね同意するなら、その内容を発展させ、強化する方向の言葉を用い、否定的な様子を示した場合は、同じ話題を反対の方向へ広げていく。

 逆方向の例:「しかし、この傾向をあなたはコントロールできるようになったので、最近では滅多に前面に出てきません」

b 事実や出来事に関する要素

1)曖昧な事実--話を発展させる余地を残し、大雑把に述べる

「ヨーロッパとのあるつながりが見えます。英国かもしれないし、もっと暖かい所、地中海の方かもしれません」

 職業、社交、家庭、恋愛のつながりだと言っていないことに注目。広くヨーロッパと言うだけで特定の場所を指摘もしていない。そのつながりが現在のものか、過去のものか、未来のものかと言う点にも触れていない。

 しかし、どんなに曖昧でも相談者と指摘した地域との間に、少しでも関係があれば、例えば、夫がかつてそこに住んでいたなどと、細かい部分を補ってくれるかもしれない。そのフィードバックされた内容をもとに、当初の曖昧な言葉をもっと具体的なものへと作り替えていく。

2)統計のトリビア--独自に収集した知識を利用する

・多くの人に当てはまること

・多くの男性は子供の頃に楽器を習おうとしたが、その後やめてしまっている

・多くの男性は、たとえ何年も前から肌きれいに剃っていても、一時期ひげを伸ばしていたことがある

などなど

ウィンウィンゲーム

否定的な反応に対する11通りの対処法

プレゼンテーションの方法

 コールドリーディングは語った内容がただ当たっていればいいというものでは無い。いかにうまくそれを提示するかと言うことも、リーディングを成功させるのに大いに役立つ。

1)フィードバックを促す

 オープンクエスチョンを心がける

 NLPのテクニック参照 

 日本語では強勢だけでなく、言葉の抑揚でも印象が変わる。その違いをプログラミングするには???

フィードバックの利用法

 相談者が最も興味を持っているテーマの判断

 自分が提示したものにどの程度まで同意しているか、していないかの目安

 相談者が言ったことと、実際に感じていることとの食い違いを明確に掴む。(相談者はしばしば、あまり正直でない反応を示す。本人がバツの悪いこと、微妙な問題だと考えていることが浮かび上がってくる時は特にそう)

2)感覚を共有する

 相談者が感じていることを、あたかも自分も感じているかのごとく振る舞う。

3)クリームの原則--最初は「少量」(弱い言明)から

 コーヒーにたっぷりと入れてしまったクリームを減らそうと思ってもできないように、言った言葉も取り消せない。大は小を兼ねる。安全に行こう。

よくない例

「背中に大きな健康上の問題があります」

「時々、背中に少し具合によくないことが起きると思うのですが、どうですか?」

 相手の反応次第で、またフォーキングできる。弱い言明が当たれば、それで的中で、それでも足りないなら、自分がずっと正しかったようなふりをしながら調整を行う。

4)仮定の強調

 何かを事実として伝えるのではなく、可能性について語っているのだと言うことを強調する。なぜか? それだと、間違うおそれがないからだ。

断定「である」→ 仮定「かもしれない、の可能性がある」

5)解釈の余地を残す

6)金色に塗って反復する--自分に有利に話を歪めて繰り返す

 こちらの言明に否定すると同時に、部分的に一致する出来事が過去にあったことをほのめかしてもいる場合、「債務の違いはあるが、大筋では正しい」などの作戦を実行する。そして軽いユーモアも交えつつ、フォーキングを行う。

 相手が情報を提示して、正した、さもさっきから自分がそう言い当てたかのように、何事もなく修正して、繰り返す。

 そしてそれを素早く反復する。

コールドリーディングと恋愛


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