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南信の宝物

長野県の南の端に住んでいたことがある。
一年のほとんどをスタットレスタイヤで過ごす地域。
寒さが苦手で、関西から離れたことのなかった私が、
誰かに頼ってでしか生きられなかった私が、
今までの人生全部手放す勢いで飛び出した、小さな村。

どこまでも澄んだ水。
甘くてみずみずしくて、同じ食べ物と思えなかったお野菜や果物。
深い甘みと香ばしさのあるお味噌。
そして、私と出会い、応援してくれた、温かい人たち。

住んでいた時には、毎日当たり前にそばにあって、
ありがたさが薄れてしまっていた。

あれからどこに住んでも、
あの環境は、唯一無二の素晴らしいものだったと感じる。
住んでいると、寒さが嫌だなぁ。人が少ないなぁ。不便だなぁ…と、
ネガティブなところに目が行ってしまいがちだったけど、
何にも代えがたい宝物に感謝して生きれば、同じ生活でも世界が変わっただろう。
そんな生き方は、自分も豊かにするし、周りも幸せにする。

そんな長野県から、宝物の品々が届いた。
長野県のお客様…いや、少し歳の離れた友人から。
久しぶりに見る、美しいお野菜、果物、干し柿にこんにゃく!
から揚げにして食べていた菊芋もたーっぷり^^
子どもたち、歓声を上げて大喜び。
私たちを想って、選んで買って送って下さった、その過程が本当に嬉しい。

べったりそばにいなくても、連絡を取っていなくても、
心は、全てを超えて繋がる。
心が内側からポカポカした。

早速、干し柿をぱくり。
な、な、なんてお上品な甘さ。
触感も香りも、なんだかおしとやか。
りんごはしゃくしゃくで、蜜たっぷりで、
こちらもお上品な甘さ。
田舎育ちの気品漂う令嬢。
何言ってるかわかんなくなって来た。

長野の片隅の小さい限界集落には、なーんにもないようで、全部あった。
【足るを知る】
不満を言えばキリがないし、
誰かや何かのせいにするのも、言い訳をするのも簡単。
でもそんなのめっちゃかっこ悪い。ださい。
今を受け入れて、感謝して、改善して行く。
淡々と、地に足つけて進んで行く。
その繰り返しが、いつの間にか理想の未来を創るんだろうな。
自分の軸がゆらぐと、これができないんだ。
そもそも、軸が定まっていないことも多い。

自分にも言えることなんだろう。
「私には何もない」って、よく聞くセリフだけど、
そう思ったら何もないし、全部あると思えばある。

人は欠けた部分に目が行きがちだし、
そこを放置したまま足し算をしようとしがち。
しかしそれでは、積みあがらない。
一旦落ち着いて、現状をありのまま受け入れることから始めるしかない。
ことあるごとに自分の軸(動機)に戻って、現状確認しなくては。

思いがけないプレゼントから、そのようなことを想った夜でした。

今日の一曲
OASIS『whatever』

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