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そうか、あの日君は泣いていたんだ。

辛かったり、苦しかったりしたこと。
迷ったり、悩んだりしたこと。

実はあんまり思い出せない。

先日テレビで、
有吉さんとマツコデラックスさんとの対談を見ていて、

・20代までの好きな人をよく覚えているか
・20代以降の好きな人をよく覚えているか

という話をしていた。

好きな人。

というのは19歳で結婚した私にはなかなか20代以降に当てはまらないので

例えば一般的な記憶レベルで考えると、
20代以降の方が覚えていて

さらに言えば、
最近の記憶しかあまり覚えていない
→近くにいる娘にはいつも「ママの記憶力は終わっている」から「舐めるだけで記憶力を高める」という謎の飴をコーナン に行くたびに進められるので、きっとその点間違えないはずだ。

この現象は心理学に当てはまるそうで
・10代から20代中盤までを強く覚えている現象を「レミニセンス・バンプ」
・最近のことを強く覚えている現象は「親近性効果」と呼ぶらしい。

■レミニセンス・バンプ
自分の若かりし頃の古き良き思い出を想起していると、その時代のほうがよかったように思えてくる現象(タイプ)

■親近効果
最後に与えられた情報でその人(その事)の印象が決定されやすい現象(タイプ)

→最後に与えられた情報でその人(その事)の印象が決定されやすい

おお!なるほど、そうか!

その時辛かったり嫌なことがあっても、それをプラスへと半ば強引にでも、経験値として次の課題へ活かしてきた。

それによって最終的に歴史は塗り替えられ、ほぼほぼ良い思い出として記憶にとどまる。

結果、辛かったり悲しかったことはよっぽどのことじゃないと思い出せないそれになっていたのである。

コロナ禍の夜、私ははじめて自分を知った。

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先日、幼い頃の息子の写真が出てきた。
これは確か、彼が小学校3年生の頃だった、と思う。

親やおじいちゃん以外の人と出掛けたことがなかった彼を、スタバに誘ってくれた当時の支援学級の先生がいた。

今のご時世では問題になるのかもしれないが、
当時は、、、というか私は特に何も気にならず
むしろ感謝しかない。

写真は
はじめて彼が親以外の人=先生と出掛けた先から送ってもらった写真だ。

彼は泣いていた。

不安なんだと泣いていた。

それを今写真を見て思い出した。

すっかり忘れていたが
彼は初めからニコニコと出かけた訳じゃなかった。

はじめての親以外の人との外出。
不安で、心配で、怖くて彼は泣いていた。

戻った彼にわたしは「泣くな」と言った。

君はママと一生生きてゆくのか?

私以外の人と出かけられるということが一体どれだけ素晴らしい事なのかを解いた。

どこへでもいける
誰とでもいける
君の世界は、君のものだよ

ママだけだなんて、
ママは君をママだけの世界に留めたくない。

君は世界中、どこへだって行けるんだから
ママやじいじの隣にいるだけじゃだめだ。

だから怖がらなくていいんやで。

大丈夫、いつだってママはここにいて
君の帰りを待っているから。


何度も、週末の月に一度ほど、
彼が泣いて帰ってくるたびにそんな話をした。

彼の涙を見るたびに、何とも言えない気持ちになった。
ただ「お帰り」と彼を抱きしめた。

でも、
それを辞めるという選択肢は私の中には一切なかった。
彼もやめたいとは言わなかった。

頑張ったな。
えらかった。
こないだより5分長く先生と外で過ごせたやん。
やるやん、君。

「もう辞めようか。」
を言わないために少し早口で私は彼に話し続けた。



あれから10年。

彼は誰とでも、どこへでも(今のところ近畿県内やけどww)行けるようになった。
ヒッチハイクで知らない方の手を伝って1人旅もした。

20歳になった彼は今、
話せない、動けない自分だからできることを
見つけて、自分の仕事に変えた。

大学の講師の仕事も、私の付き添いは殆ど移動のみで
1人でも(先生と一緒に)成せるようにもなってきた。

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泣いてたくせに、、ではなく
「泣いてたから」なのかもしれない。

辛い経験、苦しい経験、悔しい経験。
それらは糧だ。

ハッピーで、あったかくて、傷付かず、ただ幸せで私の隣にいて笑っていただけでは、今の彼はきっといなかった。

小さかった君に伝えよう。

大丈夫、君は君が思うよりも、かっこよく生きてるで。

だからもう、泣くのやめ。

あの日に戻れるのなら
そう言って今度は笑って抱きしめるんだ。



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