魅惑のアール・デコ 「建物公開2023 邸宅の記憶」 東京都庭園美術館
東京都庭園美術館にて開催中の展覧会「建物公開2023 邸宅の記憶」へ行ってきました。
(写真はすべて2023年4月2日に撮影したものです)
東京都港区白金台にある東京都庭園美術館本館は、1933年(昭和8)に朝香宮家の本邸として竣工された建物です。
朝香宮鳩彦王が1947年に皇籍離脱したあと、吉田茂外務大臣公邸や迎賓館に使用されたのち、1983年(昭和58)に東京都庭園美術館として開館しました。
朝香宮ご夫妻とアール・デコとの出会い
朝香宮邸を建設した朝香宮鳩彦王は、1922年(大正11)から軍事研究のためフランスに留学していました。ところが留学先で交通事故に遭い、看病のために渡欧した允子内親王とともに、1925年(大正14)まで長期滞在することになりました。
その当時フランスで流行していたアール・デコを目にした朝香宮ご夫妻は、自邸の建築にあたりアール・デコ様式を取り入れます。設計は宮内省内匠寮が担当し、主要な部屋の内装をフランスの室内装飾家アンリ・ラパンが担当しました。
アール・デコ様式の個人住宅は世界中に存在しますが、旧朝香宮邸(東京都庭園美術館本館)はその中でも質が高く国内外からも評価され、2015年(平成27)に国の重要文化財に指定されました。
アール・デコとは
アール・デコとは、おもに1910年代半ば~1930年代に欧米を中心に流行した、幾何学図形をモチーフにした直線的でシンプルなデザインが特徴の、機能的で実用的な装飾美術とされています。
受付を通って最初に目に飛び込んできたのは、美しいガラスの装飾とランプ。
エントランスで見たステンドグラスは、大広間からも見ることができました。太陽の光やライトのあたり方によって、クールにもホットにも見えて、とてもきれい。
おもてなしの空間
一階はおもに客人をお迎えする場所で、大広間や大客室、大食堂がありました。大広間には大きな大理石のレリーフがあり、厳かな雰囲気です。
また客室はレトロで美しい装飾が施されており、90年前の世界にタイムスリップしたかのようです。
よく見ると壁と柱の境目には、光沢のある紐が縁取られていました。豪華!
館内を見まわして感じたのは、デザインがとても重厚であること。
柱がとにかく太く、扉は大きくて厚みがある。見るからに頑丈に作られていて、90年前に建てられたとは思えないほど美しかったです。
アール・デコの粋を集めた大客間・大食堂
大客間は天井が高く、落ち着いた雰囲気。ルネ・ラリック制作のシャンデリアと、アンリ・ラパンによって描かれた壁画がありました。
大広間へ向かうガラス製の扉は不思議な幾何学模様。花のようにも、風船を持つ人にも見えました。
また、大食堂は南向きの明るい部屋で、窓際はゆるいカーブを描いていました。暖房器具のカバーは海がモチーフで、ゆらめく海の中を泳ぐ魚がキュート。
食べ物をモチーフとした立体的なシャンデリアでした。
そのほか、壁面には植物文様の大きなレリーフが飾られていました。
階段をのぼり、2階へと進みます。
とにかく至る所がゴージャスで、ポーズをとって撮影する外国人観光客の方もいました。
プライベートな空間
2階は客室のほか、朝香宮様ご家族のプライベートな空間となっていました。殿下や妃殿下、若宮様や姫宮様のお部屋はそれぞれ雰囲気が異なり、とても興味深かったです。
室内には婚礼写真やゴルフクラブ、着物などが展示されていて、朝香宮ご夫妻が邸宅で過ごされていたことを想像し、当時の生活ぶりを垣間みることができました。
見どころいっぱい!
アール・デコ様式の館内は、数々の工芸品や照明器具、モザイク状のタイルなど、見どころがたくさんありました。宝探しのようでとても楽しく、時間があっという間に過ぎてゆきます。
特別出品 ボンボニエール
また館内ではボンボニエールという、皇室独自の文化で慶事の際の引出物として使用されている、小さな工芸品が出展されていました。地球儀や辞典など、日本の伝統技術を駆使した個性的なボンボニエールが約300点が一度に展示されていて、見事でした。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。
アール・デコ様式の粋を集めた東京都庭園美術館、ぜひおすすめしたい場所です。
展覧会は2023年4月1日(土)から6月4日(日)まで。
なお、観覧はオンラインによる日時指定制です。詳しくは公式サイトをご覧ください。
記事を読んで頂きありがとうございます(*´꒳`*)サポートをいただきましたら、ほかの方へのサポートや有料記事購入に充てさせて頂きます。