見出し画像

いつか虹色になって #髪を染めた日

わたしはヘアカラーができない、いわゆるジアミンアレルギーです。
40代になって髪を染められなくなりました。

ちくちく痛い

30代の頃から白髪が多くなり、これまで定期的に美容室に通い、白髪が目立たない程度のブラウンに髪を染めていました。

ところが、2年前のある日。ヘアカラーをした後に、首元の生え際がちくちくと痛み、耳のまわりの皮膚が赤くただれてしまいました。

市販の薬を塗っても症状は変わりません。どうにもならなくなり、数日後に皮膚科で診察してもらうと、処方されたのは抗生物質。お医者さんからは「薬剤に反応しているのかもしれません。ヘアカラーはしない方がいいですね。」と言われました。

調べてみると、ヘアカラー剤にはアレルギー反応を引き起こす可能性のある成分が入っていて、人によってかぶれたり湿疹になるなどのアレルギー症状が出るようでした。

これまでパッチテストをしたことがなく、何も気にせずにヘアカラーをしていました。処方された薬は効果てきめんで、症状はすぐに治りました。まさか自分がアレルギーになるとは。ヘアカラーのリスクについても調べておくべきでした。

わたしでも使える

これからどうしようかと悩んでいる間にも白髪はお構いなしに生えてきて、やがて根元の白髪が目立つようになりました。ふたたび美容院へ行き、アレルギーのことを伝えると、美容師さんはヘアマニキュアを提案してくれました。

ヘアマニキュアはヘアカラーと違ってブリーチ作用(毛髪内部のメラニンを脱色する作用)がなく、髪の表面とやや内側まで染料が浸透して染まるもの。一般的なヘアカラーが使えない人でも使用できるそうです。

ヘアマニキュアは学生の頃に自宅で使ったことがありましたが、ヘアカラーと比べると物足りないという印象でした。しかしながら、皮膚を傷めずに染まるなら…と、お願いしました。

染めている最中も、染めたあとも、皮膚がヒリヒリすることはなく、ほっと安心。心配していた白髪もきれいに染まりました。

らくちんベリーショートヘア

ヘアマニキュア、いいかも

ヘアマニキュアをしてよかったのは、髪にツヤが出て、まとまりやすくなったこと。癖毛で膨らみやすい髪が、ブラッシングするだけでさっと落ち着くので、手入れがとても楽ちんになりました。

また、何度か染めてみて、わたしの髪は時間が経つとオレンジ色になりやすい髪質だと知りました。なので、最近はブラックに青い染料を混ぜてもらい、赤味が出ないようお願いしています。染める頻度はカットと同時に、1ヶ月半~2ヶ月おき。今の髪色は自分に合っていて、とても気に入っています。

「おしゃれ」から「身だしなみ」へ

わたしにとって髪を染めることは「おしゃれを楽しむもの」でしたが、40代半ばになって「身だしなみのひとつ」になりました。

白髪が生えてくるのは自然なこと。ですが白髪は「老けてみえる」「疲れてみえる」「清潔感がない」「地味」「だらしない」など、ネガティブな印象を持つひとも少なくありません。わたし自身も堅い仕事柄、きちんとした印象を相手に持っていただきたいのが本音です。

それに夫は、わたしの白髪に対してわたしよりも敏感で、ちょっとでも根元の白髪が目立ってくると「そろそろ美容室に行ったら。」とそれとなく言います。案外、白髪である本人よりも、まわりの方が周囲の目を気にするのかもしれません。

らしさを認め合う

本来は、年相応のありのままの姿でいいはずです。
ですが「若いうちは白髪を染めたほうがいい」という考えや、まわりの目にどうしてもとらわれがち。最近は白髪を染めないグレイヘアの人が増えていると聞きますが、わたしにはその勇気がありません。

髪は自然に生えてくるもので、そのひとの一部であり、そのひとの個性です。

今、街ではブルーやピンク、グリーンなど、カラフルなヘアカラーを楽しむ人を見かけます。そのたびに「ああ、素敵だなあ」「かわいいなあ」と思います。

彼らのように好きな色に染めて「自分らしさ」を探してもいいし、ナチュラルなままもいいし、白髪もおしゃれと捉えてそれに似合ったヘアスタイルをするのもいい。

なりたい自分になって、それぞれが自信をもって生きてゆけたら。そして見た目やまわりの目にとらわれることなく互いに認め合えたら、どんなに素敵でしょう。

虹色に染めたい 未来のカラーリング

髪を染められない体質になったことで、以前より自分の髪と向き合い、いたわるようになりました。丁寧に洗う、すすぐ、ブロウする、ブラッシングする。あたりまえのことですが、これまで無意識に行なっていて、気にしていませんでした。

そしてわたしには、チャレンジしてみたいカラーがあります。

それは虹色。
シャボン玉のように光の加減でさまざまな色に見える、虹色の髪になりたいです。

理由はシンプルに、きれいだから。

カラーリストの川口 展弘さんの一枚の写真に目を奪われ、それからずっと、この虹色の髪が頭の片隅にあります。

いつか、髪を好きなように染められる時がきたら。
いつか、わたしの髪がすべて白くなったら。

アレルギー持ちのわたしに出来るかどうかはわかりませんし、チャレンジするのは数年先かも、数十年先かもしれません。でもきっとそのときは理美容業界の技術も、社会もさらに進歩しているはずです。それに、こんなキュートな髪色の大人がいてもいいでしょう?

今よりもっと白髪が増えたら、発色しやすいかな。
今よりもっと短くカットして、アッシュカラーから始めようかな。
髪を虹色に染めた自分の姿を思うと、歳を重ねるのも悪くないなあと、今からわくわくしています。


参考にしたもの

記事を読んで頂きありがとうございます(*´꒳`*)サポートをいただきましたら、ほかの方へのサポートや有料記事購入に充てさせて頂きます。