― 「ところかまわずナスかじり」第百六十五話 網タイツ ―
網タイツの由来に関しては諸説あり、これといって特定されてはいない。
しかし、歴史的背景、学術的資料の量と信ぴょう性からいって以下の説がほぼ正しいと思われる。
意外だと思われるが、網タイツの起源は1765年の日本である。
当時、漁師町であった大畑村(現青森県下北半島むつ市)に、素村(すむら)という漁師がいた。この漁師が仲間の漁師の一人と浜で酒を飲んでいるとき、酔っぱらった素村が突然、漁業用の網を体中に巻きつけ、『お保護をー、お保護をー』と叫びだしたという。
その様子を見ていた大畑村の娘たちがそのファッション性に目を付け、マネをし出したという。当時は『オホゴー』と呼ばれ、近隣の村々にも広まったほどの流行を見せたようであるが、体全体に50kgほどもある網を巻きつけることより体調を崩す者、身長が縮む者などが多数出たことにより、また、明治維新の際の西洋化により『オホゴー』は日本土着的慣習である、との理由で全面的に禁止された。
以上が網タイツのルーツである。
現在でもむつ市では、網タイツを穿いたあとに肌に残る網目模様のことを『すむら』と呼ぶ。
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