― 「ところかまわずナスかじり」第243話 遺書 ―

<お母さんへ>
 
 お母さん。娘の先立つ不孝を何卒お許しください。
 そして、この遺書は決して、決して、武彦さんには見せないでくださいね。
 きっと、きっと、見せないでね。

 私は武彦さんの浮気なんて責めたりしないし、相手のあの女のことを恨んでなんかないわ。
 だって、あの女が一方的に武彦さんを誘ったんだし、やさしい武彦さんがあの女の卑怯な手にかかってしまったのはしょうがないことだわ。

 あの女は・・・・
 (以下、2、325ページにわたるため、中略)

 ・・・なのでお母さん。決して武彦さんを責めないでね。
 責めるなら・・・いえ、言うまい。これだけは私の胸に秘めて旅立ちます。
 さようなら、愛しの武彦さん!

PS 決してこの手紙を武彦さんに見せないでね。私、武彦さんの悲しみを想像すると、胸が張り裂けそうだわ。あの女との結婚なんて、武彦さんもすぐに後悔するはずよ、この手紙を見たら。いえ、もう後悔してるのかもしれないわ・・・・

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