― 「ところかまわずナスかじり」第百八十五話 人生はヤマンバ ―

 ほら、あそこにいるのが僕の妻。120歳。
 僕、28歳。
 ね?ひどいでしょ?
 でもね、怖くて逃げられないのです。
 だって、ヤマンバですよ。
 夜なんか、寝ないで僕の枕元にじぃっと座ってるんですよ。
 
 ただ、最近・・・、あ、これ言っちゃったら僕、もう何か引き返せないような気がしてこわいんですけど・・・、あの、ヤマンバのこと、ちょっと可愛いかなって・・・。
 だって、ほら、あの目。最初はね、顔の半分くらいの大きさの目なもんですから、そりゃあ恐ろしかったんです、はい。でも、慣れてみると、ほら、よく女の子たちが目を大きく見せるためにまつ毛カールさせてみたり、二重瞼の手術してたりしてるじゃないですか?
 ヤマンバの目はナチュラルですよ。自然にあの大きさ。見ようによってはお人形さんのよう、と言ってもいいですね。
 それと、あの身長。120㎝くらいじゃないですか?
 あの、僕は決してそっちの趣味はないんですけど、・・・・けど、少女趣味の人達にとってはちょっとアレだと思います。
 
 あと、実はこれ、知られてないんですけど、ヤマンバって、料理が得意なんです。
 昨日はヤマメのカルボナーラでしたし、その前はイノシシのソテー 野菜添え クリーミーなソースアメリケーヌでした。

 で、ほら、よく言うじゃないですか『料理上手は床上手』って・・・

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