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羨望と後悔のミックスジュース
『ぼくのミックスジュース』という童謡を聴いたことがおありだろうか。良いことも悪いこともミキサーにぶち込んで、飲み干せばそこに希望が見えてくるという歌である。作詞は『きんぎょが にげた』という絵本の作者・五味太郎さんで、この歌は『きんぎょが にげた』と同様、とことん子どもの味方でいるという優しさに包まれている。
先日、精神疾患を患いながら社会復帰を果たしたAさんという方とお話する機会があった。優しい笑顔で明るく話しかけてくださるAさんは、とても精神疾患を患っているようには見えない。この「見えない」ということが、精神疾患の「理解されない」苦しみに繋がっていると思うが、ここでは率直に「見えない」と感じた私の心境をそのまま綴る。もちろん、その言葉はAさんを傷つけることになるので、ご本人に対して「見えない」などとはは決して言わなかった。
家の鍵をかけたか不安で、出血するまで施錠を確かめていたこと等を話してくれたAさん。自らの命を終わらせようとしたこと、医療と繋がって回復していること、自分の好きなことを始めたことを教えてくださった。
もしかしたら弟もAさんのように生きる道があったかもしれない。
こうやって笑顔で体験を語るのは弟だったかもしれない。
弟が自死を選択する前に力になれれば、弟も自分の本当に好きなことを見つけられたかもしれない。
弟が苦しめられていた双極性障害という「見えない」疾患を少しでも理解しようとすればよかった。
いつまで後悔するのだろうか。苦しい。
Aさんは「生きること」を選択した。そのことに対する羨望、弟を孤独にさせてしまった後悔に襲われ、その夜はなかなか寝つけなかった。
でも、羨望と後悔をミキサーにぶち込んで、ググッと飲み干したいと思っている。ジュースを飲み干して空になったコップには新しい希望を注げるんじゃないだろうか。私はとてもそう思う。
どんなジュースを注ごうかな。
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