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2011年の高校生が2021年の大人になってコロナ禍に思うこと。

コロナの影響により、多くの学校で修学旅行が中止になったとのニュースを見た。
学校行事や部活動の中止、カラオケに行けないなど私生活の制限など、学生の皆さんにとって過ごしづらい毎日が続いている。
僕自身、高校生のときに似たような経験をしたことはある。東日本大震災の時だ。
当時、僕は首都圏で過ごす高校生だった。
大人たちは混乱していて、子供ながらにどうなっちゃうんだろうとの不安があった。

地震後、休校明けの全校集会。生徒の前で理科の先生が「今回の福島第一原発の事故は前例のない出来事。先が見えない中、私たち国民が取り組んだことは今後歴史に残る。これからのいいことも悪いこともしっかり覚えていってほしい」と話したことを覚えている。

高校生だった僕の住む街は、放射能のホットスポットと呼ばれていた。
公園の封鎖、学校のグラウンドの芝生入れ替えが行われたが、しかし一年後には活動できる状態になり、ストレスを抱える期間も限定的だった。

震災後、学校生活で一番影響が出たのは部活動だ。
僕は放送部に所属していて、2011年の夏、本来であれば全国高校総合文化祭という大会(通称「総文祭」。文化部の甲子園と呼ばれている)が福島で開催されるはずだった。
2月に顧問から福島総文祭パンフレットを渡され、桃が食べられるのか~」と楽しみに思っていた。ところが3月の地震により総文祭は中止。福島に向かい桃を食べることはなかった。
翌年、富山での総文祭の閉会式が記憶に残っている。
司会に促され、福島からの出場者が話す機会が設けられた。彼らが涙ながらに「仮設住宅で暮らしたりなど色々と生活が制限された中で、また元通りに大会に出場できてよかった」と語る姿に「よかったよなあ」と共感を覚えた。

震災による影響は(あくまでも首都圏に住む高校生だった僕にとってはだが)一年程度で生活はほぼ元通りになった。震災により動揺はしたが、次第に「復興」との言葉がメディアにも出てくるようになり、終息が見える出来事であった。(繰り返すがあくまでも首都圏に住む高校生だった当時の僕にとっては、である。その後東北に住む機会があり、震災は幾年たった後も続いていることを知った)

翻って今回のコロナ禍はどうだろう。
終わりが見えない。2020年1月当初、日本を含めて多くの国が新型肺炎はその年の夏前にはおさまるだろうと考えていた。5月に安倍首相は全国の学校閉鎖を決めたが、世論には過剰反応と受け止められていた。しかしコロナウイルスの脅威は私たちの想像を超え、夏のオリンピックを中止に追い込み、人の感染者が確認されてから2年近くたった今もとどまることを知らない。「コロナ明けに食事にでも行きましょう」との約束は果たせず、先延ばしになり続けている。

この状況下で私たち大人が中高生に示せる心がけは何だろう。
自分の気持ちに誠実になった場合、その答えはない。
コロナウイルスは私たち大人にとっても前代未聞で、戸惑わざるを得ない。
ワクチンは打ったほうがいいのか悪いのか、自粛はどの程度するべきなのか。意見は分かれ諍いが生じている。

コロナで不安な毎日。そんななか心を平安に保つためには、過ごし方をいろいろと実践するしかない。
好きでよく聞いている曲がある。コロナに悩む私たちへ向けられた曲だ。
ノリアキの「know real key」。

彼はゼロ年代に活躍していたラップシンガーだ。当時youtubeにPVを投稿し、話題をさらっていたが、2009年に活動休止を発表して以来、表舞台から姿を消していた。ところが2020年のクリスマスイブ、活動再開を告げるとともにこの曲をリリースした。
この曲には印象的なフレーズがある。

「いつか来るさ。誰もが仮面(マスク)をとる朝が」。

この言葉がかなう日を心待ちに、転びながら起き上がり、過ごしていきたい。
答えがない。戸惑っている。戸惑いながら過ごしていこう。
自分より若い世代へ答えを用意できないのはつらいが、そう言っていくしかないし、自分にも言い聞かせていく。