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税法大学院のすすめ〜テーマの決め方、参考文献の探し方〜

今回は論文執筆の最初の段階である論文テーマの決め方、参考文献の探し方についてお話しします。

(1)論文テーマの決定

論文を書くにあたってまずテーマを決めなければなりません。
以前掲載した記事でも書きましたが、私は当初の研究計画書に掲げたテーマから書き上げた論文のテーマはガラリと変わっています。

研究計画書作成時のテーマ:医療法人の事業承継税制について

最終的な論文テーマ:所得税法における同族会社の行為計算否認規定に関する考察

はい、全く別物です(笑)。

人によっては入学前から研究したいテーマがあり、それを貫き通す猛者もいましたが、私は特段そう言ったテーマがなく、こだわりもありませんでした。

当初研究計画書に掲げたテーマは何となく興味があるなという程度で、難しい内容であり、かつ、論点が少ないテーマであったのでゼミの教授から変更を勧められ、素直に従った次第です。

ではなぜ最終的に「所得税法における同族会社の行為計算否認規定に関する考察」にしたかというと、いくつか理由があります。

理由①としては、「同族会社の行為計算の否認規定」が論文のテーマとしてメジャーで、参考文献が多いということがありました。
なぜメジャーかというと、この規定の解釈について未だ争いがあり、論点が豊富なこと、昔から学者の間では議論されており今も議論されているためです。
また、参考文献が少ないと論文執筆が進みせん。税法論文は0から生み出すものではなく、多くの学者の論文、意見を知り、それに対して比較対象し自分の意見を表現するものだからです。

理由②としては、当時仕事で同族会社の顧問をしており、同族間の相互取引おいて税法はどこまで許容しているのかということに興味を持ったためです。

その中で「所得税法」に絞った理由としては、①法人税法や相続税法においても行為計算否認規定はあるのですが、範囲が広くなりすぎること、②法人税法における行為計算否認規定の適用が多いものの、議論が尽くされている感があり、また、内容が非常に複雑になってしまうということ、③所得税法における行為計算否認規定の適用はそこそこあるものの、法人税法ほど過去の適用例がなく、研究するのに丁度良かったからです。

(2)参考文献の探し方

テーマがある程度決まったら論文執筆の土台となる参考文献をひたすら集めましょう。
参考文献の収集は2年次が始まるまでの1年間で集め終わるのが理想だと思います。

私はテーマが決まった後、下記のサイトで「同族会社の行為計算否認規定」、「同族会社」、「包括的否認規定」といった用語でひたすら検索し、大体100件ほどの文献を集めました。

国立国会図書館https://www.ndl.go.jp
 →論文記事も含めたあらゆる種類の文献が貯蔵されています。直接行って文献を読むことができるほか、遠隔複写システムにより欲しい文献のコピーを郵送してもらえます(有料)。

租税資料館https://www.sozeishiryokan.or.jp
→租税法関係の資料が集められています。遠隔複写サービスはなく、東京都中野区の建物に直接訪問する必要があります。入館は予約制です(私は予約制を知らずに行ってとんぼ返りをしたことがあります…)。租税資料館賞の記事は無料で読めるので、最近の租税法論文のトレンドも知ることができてて、論文テーマ決めにも◎です。

CiNii  https://cir.nii.ac.jp
→論文検索サイトです。中には無料でダウンロードできるものも。私は文献の検索は特にこのサイトで行い、国会図書館に遠隔複写を依頼して集めていました。

(3)まとめ

以上をまとめると、

①まずは自分の興味があるテーマを探す。きっかけは純粋に自分が少しでも気になったもの、自分の仕事に関わるものでOK。その後指導教員と相談し、内容を固めていく。

②できるだけ多くの参考文献(論文、記事)があるテーマがベター。文献があるかどうかは国会図書館、租税資料館、CiNiiで検索。国会図書館の遠隔複写サービスが有能(ただし有料)。

といった感じになります。

テーマ決めで悩みすぎると、あっという間に2年次になり、執筆する時間が少なくなり最悪留年、なんてこともあります。
テーマ決めと文献収集はなるべく早く行うことをお勧めします。

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