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再会、という曲

ライナーノーツ7本目!
勢いで始めたライナーノーツも残るは2曲。
ここ最近の2本がありえないくらい長かったな、と反省しているので今回こそちゃんとまとめる。

早速ですが"再会"、というこの曲。
"楽曲"という概念が含む諸々の要素を鑑みて、今のところどこに出しても恥ずかしくない曲、だと思っている。
なんかドラマとかのタイアップになって欲しいな、という気持ち。
今回のライナーノーツでは"再会"について、"作曲"と"作詞"の2軸で話してみる。めちゃくちゃ俺視点での話になることは、毎度のことながらご容赦ください。

まずは"作曲"について。

自分達のこれまでの曲を死ぬほど聴いているウエムラ的な感想ですが、この曲は"M.G.T.F.Y.D"と同じレベルで"らしくない曲"やと思う。
というのも、ミスタニスタは"ロックバンド"という括りでこれまで活動しており、ライブでも主にウエムラが色々と我慢出来なくなるので否が応でも"ロック"の色が強い音楽隊な訳です。

"ロックかそうじゃないか"的な音楽のジャンルの話は慎重に話さなくちゃいかんと思うんやけど、
ギター、ベース、ドラムの3人編成でライブハウスでバコーンと音出しておいて「俺たちロックって言われたくないです!」って個人的には「無理あるやろ」って思う。
あとなんたって、「君たちロックではないよね」と言われると俺が少し寂しいので、ロックです。自分の定義は自分で決める。
誰かが「いや、ロックじゃねぇから!」と言ったとしても、俺は「多少はね、あるっしょ、ロック的なね…ヘヘ…」とギリギリケンカにならない程度に留めた自己主張をする。痛いのは嫌なので。

で、ですよ。
そんなことを思いながらも、これを聞くと「ロックじゃなくね?」と俺は思うんです。
今、確かにドデカい矛盾が起きてるね。わかる。けどあまり気にせんでほしい。俺も困ってるので、説明に。
ただこれは人によっては"ロック"じゃなくなる曲やと思う。けどめちゃくちゃこの曲、良いよね。好きです。
敢えて言う必要もないけど、この曲を作ったのは勿論シバガキ。お前何でも作れるやんけ、バケモンか。

"何でも"とは言うたけど、この曲はめちゃくちゃシバガキらしい曲やと思う。
メロディとか構成とかコードとかアレンジとか、節々からシバガキの匂いがする。シバガキしか香らない。変な意味じゃなく。
故に、デモを聞いた時に「おぉ何の遠慮もなくぶつけてきよったな」という気持ちになった。
シバガキがしたいこととか、好きなアプローチの割合のデカさを感じたわけです。
で、ミスタニスタの諸々の状況が、ここにきてようやくそれを受け入れられるようになったのだな、とも思った。

Interestingの方の面白い話と思って聴いてほしいのですが
シバガキ先生、3人で音楽を始めたときからずーっとこういう音楽を作る傾向がある。ジャンルとかサウンドは異なれど、どれを聴いても笑っちゃうくらいシバガキ。
先日、この3人で初めて作った音源を久しぶりに聴いたのですが、この音源は2曲入りでして

・片方は作詞作曲シバガキ
(ギターは俺が弾けなくて勝手にちょい変えた)
・片方は作詞作曲ウエムラ
(アレンジはシバガキのアイデアを元に3人でやった)

といった感じなのですが、同じバンドであることが信じられないくらい方向性が逆。「正気?」ってくらい真逆。
で、シバガキが作った方は今聴いても洗練されているなと思う。(悔しいから言うけど、俺の方も良い曲)
本人曰く「これは処女作」とのことやけど、手馴れすぎるのて信じてない。企画モノで出てくる"素人"と同じ。嘘やと思っている、未だに。
とやかくいうたけど、こういうのが彼のしたいことなのでしょう。ブレてない。

そんな彼なので当然、ロックバンドの枠にハマることで満足出来るわけはなく、色々と動き始めた時期があった。
正直当時はちょっと嫌だった。
その時にはもう、曲作りについては「シバガキに勝てねぇ〜!歌詞に力入れる!」みたいな感じになってて、「シバガキ無しでミスタニスタの曲だなんて言えません!」と思ってた。(今もですが。)
ただ動き出したら止まらないし、暑苦しい根性論みたいなのをあまり好むタイプでも無さそうなので、「こうやってバンドって終わるんかな〜」とか思っていた。ほんのり。
けどなんやかんや言いながらバンバン良い曲書いてくれて、なんかもうサイコー!って感じ。サンキュー!

活休後はミスタニスタに割いてた分のメモリが解放されて、狂ったように曲を上げたり、それでバズってたりしたけど、それをTwitterでちょこちょこ見てて超嬉しかった。
「俺の友達が作った曲、太鼓の達人に入っとるんよ」とか言えるし。めちゃくちゃダサいけど、この自慢。けどまぁそんくらいには嬉しかった。
で、作曲家としてバキバキに仕上がったシバガキがブツけて来たのがこの曲。サイコー!
「これはこれでやるしかねぇ」みたいな滾りがありました。そういう曲作ってくれる人が身近にいるの、素敵過ぎる。

で、ここからが作詞の話。

滾ったは良いものの、毎度の如くアプローチに困る。今回の音源、このパターンが本当に多かった。
けどデモ聞いた時点で決めていたことがある。
それは「出来る限り、この曲の世界観に近づける」ということ。ただこれは「ウエムラっぽい歌詞を書かない」ということでもありました。

毎度自分語りで恐れ多いのですが、したい話をする。
コロナ真っ只中の時、ウエムラが敬愛し倒しているある方にミスタニスタの楽曲を聴いて貰う機会を得た。
俺としては「やったー!どんな反応やろ!」と少年心100%だったわけです。
が、返って来た反応は、かなりザックリいうと「他の人の影響受けてんのバレバレすぎて自分のものに出来とらんよ」といったものだった。
実際はこんなキツい言い方じゃなくて、めちゃくちゃ優しく、そしてあの人らしい言い回しだったのですごく嬉しかった。念のため言うとく。

まーかなり凹んだ。
自覚はあってもそら凹む。
なんならこないだも思い出して凹んだ。
めちゃくちゃ自分に影響を与えた人に聴いてもらえたは良いものの、自分達の音楽に多少なりの自負がある以上、そりゃ辛い。グヘェ〜となった。
それが歌詞の話なのか、音の話なのかはわからんけど、とりあえずこれまでの自信は一時期更地になった。
けどこの一件を受けてから歌詞の書き方がちょっと変わり始めるわけです。超変わりたかったので。
実際、メチャクチャ影響を受けてるのでソレがわかるのはどうしようもない。
なので否定もせんのやけど、ちゃんと「ウエムラの歌詞」を書けるようになりたくなったのです。
そのタイミングで?って話やけど。

そんなエピソードを思い出しながら書いたので、この曲の歌詞を書き始めた当初はめちゃくちゃ難産になると思っていた。
思っていたのです。が。
ところがどっこい。
割とすんなり。マジ?
自分でもビックリ。曲にも結構フィットしてる。(と思ってる。)
その時「俺、いけるやん。」ってなったのです。

先程のエピソードは作詞をする人間として、かなりキツかったのですが、この話は俺なりの解釈で続きがあるような気がしております。
他所からぶつけられた衝動を自分種するのと同じように、自分の衝動をいかにして世間種に仕立て上げるかというのもとても大事なポイントなのでは、と。
前回、"大団円"のライナーノーツでも自分ごとを一般化することについてガッツリ書いてるけど、この曲もまさにそんな感じだった。
架空の映画や架空のドラマのテーマソングみたいなイメージでこれまで色々ダメになった諸々のことをどうにかウエムラっぽく書くぞ、というあの感じ。
やっと出来た。と思った。
「こうやって人様に長きに渡って聞いて貰う歌詞を書くのか」みたいな感覚はこれ書いたときが初めてやな。
上手く行ってるのかどうかは聴く人の判断に任せるけど、個人的には実は結構自信アリ。
ちゃんと俺の言葉だ!

こんな具合で俺にとって"再会"と言う曲は
"どこに出しても恥ずかしない珠玉の楽曲"であると同時に
"諸々の成長を感じられる楽曲"でもあるわけです。
良い機会なので、改めて色々とミスタニスタの曲を歌詞も意識しつつ聴いてみてくれると嬉しい。

一方で、誰かの曲にせよ自分の曲にせよ「もっとちゃんと表現出来るようになりてぇな」という気持ちにもなったので、最近はフィジカルも意識してます。成果がいつ出るのか、そもそも出るのか。わからん。
けど好きなことは頑張った方が死ぬまでが楽しそうなので、俺なりに色々とやってみようと思う。
という、ちゃっかりとした決意表明も添えておく。


P.S.
この曲を「ええ音源出来たから聴いてくれ〜!」と、ある人に聴かせたら、「なんか歌い方、いつもとちゃうな」と笑われた。笑うな!けど聴いてくれてありがとな!ええ曲やろ!

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