見出し画像

チョコレート再発見「口溶けの構造」

チョコレートの命である口溶けは、チョコレートに含まれる油脂分の特性によって成り立っています。一般的なチョコレートに含まれるカカオバターは融点が人の体温よりやや低い32~35℃で、融点と凝固点の差が僅かであることが最大の特徴です。これが、外温では簡単に溶けず、口に含むとスムーズに溶けるというチョコレートの特性につながります。

一方で、アイスクリームなど温度の低いものに普通のチョコレートを使うと、チョコレートは溶けることなく舌に残ります。この現象は、アイスクリームを食べることで口の中の温度が下がることに原因があります。口の中が冷えることによってチョコレートを溶かすだけの温度が与えられず、口溶けが悪くなってしまうのです。

これを解決する手立てとして、一部メーカーでは植物油脂を用いたアイスクリーム用チョコレートの開発・販売を行っています。融点が低い植物油脂を添加することで、口溶けのタイミングをコントロールすることができるのです。

反対に、融点の高い植物油脂を使用した夏場や焼成時に溶けにくいチョコレートも存在します。植物油脂の登場により、チョコレートの活躍の場は増大したと言えるでしょう。

消費者が口溶けを愉しむ瞬間を想像しながら原材料に目を向けると、使えるチョコレートの可能性も広がっていくかもしれません。


■企画協力(五十音順)
大東カカオ
〒153-0064 東京都目黒区下目黒2-3-23
https://www.daitocacao.com/index.html

ピュラトスジャパン
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-2-22
https://www.puratos.co.jp/ja