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商社が考える、カカオ産業の再生産可能な仕組みづくり

世界各国の製菓材料を扱う商社、サンエイト貿易。彼らは13年前にフランスのオーガニックフェアトレードチョコレート、KAOKAを初めてプロに販路開拓し、以来、原種の保護や途上国との格差是正など、製菓材料選びの新しい視点をシェフたちに向け提唱してきた。

KAOKAを選ぶ真の価値を目に見える形で伝えることを目的に、サンエイト貿易が企画したパティシエたちのエクアドルのカカオ農園ツアー

そんな彼らがKAOKAの販売と時を同じくして始めたのが、カカオ産業の再生産可能な仕組みづくりだ。サンエイト貿易商品管理本部長の小川裕一郎さんはこう話す。

「販売と同時に『Happy Organic Cacao Project』を立ち上げました。サンエイト貿易のチョコレートの売り上げの一部を、KAOKA基金を通じて継続的に寄付するシステムです」

資金はカカオの苗木購入のほか、生産者の様々な生活のサポートに充てられる。2021年3月までに、累計1384万円がエクアドルの生産者の元へと届けられた。

2018年にはKAOKAとの共同出資でエクアドルに7.5haの試験農園「アンドレ・ドゥベール農園」も開園。カカオの優良品種の選定などを行う研究機関、INIAP(国立農場試験場)とも連携し、カカオの生産力向上に大きく貢献している。

「Happy Organic Cacao Project」では、パティシエがチョコレートを使うことで植えられる1本の苗木から、カカオ70%のチョコレート1kgが作られ、それがまたパティシエに届く、という循環を生む。
アンドレ・ドゥベール農園。アロマティックな特徴と生産性をあわせもつ新品種の育成などを行う。

つくり手と使い手の間に立ち、様々な観点からKAOKAの価値を守り、伝え続けるサンエイト貿易。その実直な姿勢はやがて実り、今日の若きシェフが選ぶ「社会的意義のあるチョコレート」としても一目置かれる存在に成長している。