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B Corpって何?(3)

2回に渡って、B Corpとは何?という事を書いてきました。ソーコルブロッサーは2015年に初めてB Corpの認証をとりました。が、そのずっと前、オレゴンにワイナリー創業者のスーザン・ソーコルとビル・ブロッサーがブドウを植えた1971年からこのような考えを持っていたそうです。そんな昔から環境を考え、そのために自分たちは何が出来るか?と考えていた両親のもとで育った、2代目のアレックスとアリソンきょうだいが、BCorpを知り、これは両親が言っていた事ととても似ている!と思い認証を取ったんです。

サステイナブル<<持続可能>>ってよく言いますが、自分たちの子孫がそこで何世代も暮らしていき、作物を作り続けるためには、その環境を持続させ、企業として長く存続することが大事なんだよなーー。と私はワインを扱っていて身に染みて感じています。アルコール売る商売なんて真逆のように感じますけどね。

さて、B Corpって何?(1) のニューヨークタイムズ紙に戻ります。歴史と伝統のロスチャイルド家がB Corp認証を取ったという話です。

なぜ世界中のワイナリーがこの認証の取得を求めているのでしょうか?

価値観を重視するワイナリーにとってB-Corpのような、
社会的・環境的責任を表す認証は重要な指標になっているのです。

ブドウ栽培者やワイン生産者は長い間、サステイナブルな農法や環境保護への取り組みを証明する認証を求めてきました。彼らは、オーガニックやバイオダイナミックの証明書を表示することに大きな満足感を得ており、自然な農産物を提供することを誇りとするこの分野では、それ以上のことは求められていませんでした。

しかし、ワイナリーが実際の農作業や生産に携わる人々にどのような待遇を与えているかについては、長年にわたってあまり関心が払われてきませんでした。特に農業従事者が未だに過酷な労働を強いられている現状では、これは非常に大きな見落としたっだのです。

シャンパーニュ地方では昨年、酷暑の中でブドウを収穫していた労働者4人が死亡しました。フランスの検察当局も2023年、季節労働者を供給する企業に対する人身売買の捜査を開始しました。同様のスキャンダルは、長年にわたって農業界のあちこちで起きています。 こうした労働搾取の長い歴史を認識し、おそらくは環境や農業の実践とともに自分たちの社会的価値を規範化したいと考え、多くのワイン生産者が社会的な持続可能性と呼ばれるものへの取り組みを証明する認証を求めるようになっています。

これらの認証は、カリフォルニアのNapa Green、パシフィック・ノースウエストのLIVE、イタリアのEqualitas、フランスのHaute Valeur Environnementaleなど、地元のワイン関連団体から取得することができます。

リジェネレラティブ(再生可能)・オーガニック認証には、農業基準に加えて社会的公正の要件があります。また、ますます多くのワイナリーが、利益とソーシャルグッド(社会への影響)の両方のために働くことによって企業が恩恵を受けるという考え方を推進するB LabのB Corp認証を取得しようとしています。
世界中でおよそ100のワイナリーがB Corpの認可を得ています。その中には、ナパ・ヴァレーのSpottswoode、ニュージーランドのFelton Road、シャンパーニュのBollingerやCharles Heidsieck、オレゴンのSokol Blosser、Stoller、Soter、Chehalem、イギリスのRathfinnyやRidgeview、トスカーナのAvignonesi、ノヴァ・スコシアのBenjamin Bridgeなど、有名どころが含まれています。
 
最近認証を取得したのは、Domaines Barons de Rothschildです。Domaines Barons de Rothschildは、Château Lafite Rothschild をはじめ、ボルドー、シャブリ、ラングドック、チリ、アルゼンチン、中国にあるドメーヌの親会社です。
ラフィット・ロートシルトのような名門企業が、なぜB Corpのステータスを求めるのでしょうか?
 
ロスチャイルドは、「ワインエステートにとって、社会的信念を表明することは、環境へのコミットメントと同じくらい重要です」と述べました。
2018年に父エリック・ド・ロスチャイルドの後を継いでドメーヌの会長に就任し、2021年にはラフィットの最高経営責任者となったサスキア・ド・ロートシルトは、「自然が生産する製品の中核となるためには、極めて強い信念を持つ必要があります。私たちはどうすればそれを実現できるのか?B Corpは、私たちの環境と社会に対する目標を最も包括的かつ徹底的に達成するための方法だと考えました。そして、私たちはすべてのドメーヌでB Corp認証を取得しました」と語りました。

ボルドー、特にLafite Rothschildのような歴史と名声のある場所で働くことは、社会的に 「とても奇妙 」なことだと彼女は言います。
「私たちの哲学を守り、人々にドメーヌ・ファミリーの一員であることを感じてもらいながら、家父長主義ではなくプロ意識を持たせるにはどうしたらいいのでしょうか?「私たちのビジネスは、ワインのバランス、会社のバランス、自然のバランスにかかっているのです。」
 

B Corpの認定を受けるのは簡単なことではありません。業種によって基準が異なるため、企業がどのようにビジネスを行っているかを総合的に分析する必要があります。ワインの生産者は、水や廃棄物をどのように管理しているか、農法がそれぞれの環境にどの程度適合しているか、生物多様性を促進しているか、従業員をどのように管理しているかなどを評価されます。
つまり、従業員の性別や人種の多様性、所得の多様性を分析するのです。
アメリカ労働総同盟・産業別組合会議によると、S&P500企業の最高経営責任者と従業員の平均給与比率は、2022年には272対1でした。一方、B Corp企業では6対1であるとB Labは述べています。
企業はまた、キャリア開発プログラムや地域社会との関わり方についても質問されます。
「私たちは基準を設定し、企業は最低限の基準を満たさなければなりません」と、2007年に企業認証を開始したB Labの暫定共同責任者、サラ・シュワイマーは言います。
「企業が各項目に対する自己評価を行うと、私たちのアナリストが検証を行います。時には企業に書類の提出を求め、視察を行うこともあります。企業が本気でそれを望んでいないと出来ることではないのです。」
 

2015年からB Corpに加盟しているオレゴン州のソーコル・ブロッサーの社長アレックス・ソーコル・ブロッサーは、「私たちは責任と共に成長していきたい」と語りました。
 
企業は各分野でポイントを与えられ、B Corpのステータスを得るには最低80ポイントを達成しなければなりません。しかし、それは始まりに過ぎません。B Labは、企業が改善できる点を指摘し、その改善に向けた取り組みを推奨します。そして、企業は定期的に再評価されます。 「ウィラメット・バレーにあるソーコル・ブロッサーの2代目社長、アレックス・ソーコル・ブロッサーは言います。主治医は健康のために『もっと運動したほうがいい。選択肢はこうだ』とアドバイスをくれますが、B Corpは、『ビジネスを運営する上で、従業員や地域社会のことを考える必要がある。そのためにはこうすればいい』と助言をくれるのです。
 
ソーコル・ブロッサー・ワイナリーは2015年からB Corpに加盟しています。ソーコル・ブロッサー社長は、これは1971年にワイナリーを設立した両親、スーザン・ソーコルとビル・ブロッサー引き継いだ価値観に従った決断だったと言います。 「母と共鳴したんです」と彼は言います。「母はトリプルボトムライン(企業活動を経済面だけでなく、社会や環境に関する実績からも評価しようという考え方)を固く信じています。サステイナビリティはトリプルボトムラインのPeople(人:社会的), Planet(地球:環境), Profitability(利益:財務)という3つの評価の結果であり、これは、私たちのすべてのラベルにも表されており、私たちはそれを誇りに思っています。」
 


B Corp… 会社としてやってみようかなと、思うけどなかなか踏み切れない・・・( ;∀;)



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