コロナ禍におけるアマチュアオーケストラの演奏会の開催その2

2020年10月31日に春日井市民会館で行った第1回(第1回のまとめはこちら)に引き続き、2021年3月28日に第2回(Orchestra B Second Concert)を愛知芸術文化センターコンサートホールにて行いました。去年の暮れごろにたまたまホールが空いているのを発見し、指揮者の先生と弦トップの予定が合い、しかもコロナ禍で利用料が半額になっていたため、やるしかないと思い予約をしました。第1回を1プロで行ったとき、少し寂しい気がしたので、今回は管の曲1曲、弦の曲1曲を前プロにしました。

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【全体練習は2回】

今回は前プロもあり、運命も合わせるのが難しいところが何か所かあったので、練習を2回設定しました。参加は強制とはしませんでした。家庭や仕事の都合でなるべく人との接触を避けたいという人もいると思ったからです。結果的には、管打楽器は練習にはほぼそろっていました。弦でほんの数名本番の日だけ参加した人もいますが、それもはじめからOKとしていました。全体練習以外に、管の前プロの練習を1回、弦トップ練を1回、弦の前プロのソロの人の練習を1回、行いました。出演者募集の際に、「練習が少ないため、責任もって個人練をする」ということを出演条件としたので、練習は割とスムーズでした。練習場所は多少高くても、アクセスと広さを重視し、芸文のリハ室を取りました。

【出演者募集の際の注意事項】

出演が決まった人に、はじめに中止のリスクや、どんなことに気を付けて練習に参加するかなどの確認事項をgoogle formを使って一つ一つ確認しました。こちらがそのformのサンプルです。コロナ禍で演奏会を企画すると、どうしても中止のリスクがあり、その場合出演料がどうなるのか、など初めに確認しておかないとあとでトラブルになってしまうため、そのような点は確実に伝えるようにしました。

【練習参加時の体調チェック】

練習の日、本番の日、それぞれgoogle formで体調チェックを行いました。そのformのコピーがこちらです。体調チェックと同時に、練習場内での過ごし方など、感染症対策で気を付けることを毎回チェックしました。本番の日には、このformを舞台やロビーのアルバイトの人にも入力してもらいました。

【本番、練習時の感染防止対策(団員に送った内容)】

・朝、検温をし体調チェックフォームに入力する
・楽屋の定員は余裕をもって設定する
・いかなる場所でもマスクをはずしての会話禁止(管楽器も練習中話すときはマスクをする)
・マスクをしていても大きな声での談笑禁止
・エレベーターの中では会話をしない
・練習時管楽器の距離を確保
・弦楽器、打楽器は演奏中もマスク着用
・管楽器は舞台に出る直前までマスク着用
・金管楽器は舞台で水受けを使用(白のプラ皿を渡します)
・楽屋内での管楽器の音出しは距離を取って
・楽屋内で飲食する場合向かい合わず、無言で食べる。
・練習前後に、メンバー同士での食事は控える(十分に距離をとって、取り分けないコース料理、食事のみを目的として会話を全くしないようにする、など感染リスクが限りなく少ないと言える場合はOK、万が一誰かが感染した場合濃厚接触者とならないように注意する)
・体調の悪い場合練習参加を見合わせる

【舞台配置における注意点】

舞台は、クラシック音楽公演におけるガイドラインに、トランペット、トロンボーンの前は1.5メートル取る、と書いてあったので、トランペットとトロンボーンはそのように配置しました。そのほかは縦横、1.2メートル程度は離すようにしました。また、管から弦までの間も広めにとりました。芸文は1.2メートル測るための木の棒を用意してくれました。譜面台は第1回のときは弦楽器も1人1本でしたが、譜めくりの問題が大きいことから、マスクをするという前提で、通常通り2人で1本をシェアとしました。

【ロビー運営】

ロビー運営については一番大変だったため、別でこちらにまとめてあります。

【演奏クオリティ】

練習2回で運命、というのは正直、できるかどうかやる前は不安でした。誰かが飛び出たり、落ちたり、いろいろ事故るのではないか、と心配していました。しかし、やっぱり、「責任もって個人練習してきてくれる人」とうたって、出演者を募集したので、本当にしっかりスコアリーディングをして、個人練習、パートによってはパート練習をしたうえで、合奏に参加してくれたため、演奏クオリティは想像していたよりもかなり良いものになりました。動画の編集が終わったら、Youtubeにアップロードします。個人的には演奏にほとんど不満の残らない演奏会になりました。

【恐れていたこと】

最も恐れていたのは演奏がうまくいかないことではなく、直前に欠員、特に管楽器で欠員がでることでした。コロナ陽性者の濃厚接触者となった、というのは時々聞くような話になってきました。欠員が出たときに備えて、芸大生のネットワークは把握するようにしていました。欠員が出たときの流れは以下のように団員に伝えていました。

『欠員が出たときの対応について
感染拡大状況によって仕事や家族の関係などで演奏会に出ることができなくなるケースが出てくると思います。そうなったときのこと想定しておきたいと思います。特に一人1パートの管楽器、打楽器が抜けると、演奏が成り立ちません。

1. 懸念が出てきたら、躊躇せず団長までお知らせください。
2. ご自分で周りの人に聞く前にまずは団長とパートトップにお知らせください。
3.ご自身、パート員、団長の方で声をかけます。演奏会までの時間が短いときは、そのときに、同時に何人か声をかけることを伝えてください。
4. 3にあまり時間をかけずに、手応えがなさそうなら、全体で探します。
5. 見つからない場合、プロ、芸大生のエキストラを依頼します。

3.4を省いて5になる可能性もあります。

いずれの場合も時間が限られているので同時に声をかけているので早くお返事をいただいた方に決まる可能性があると伝えてください。(ダブルブッキングはモラル的によくないので) 緊急時のプロのエキストラは予算に組み込んであります。 よろしくお願いいたします。』

幸いにも欠員が出ず、無事に演奏会を迎えることができました。

【まとめ】

第1回に引き続き、第2回も最低限の練習回数で、成功と言えるような結果になりました。もしかしたら、普段の練習では、だいぶ無駄があったかもしれないと思わされました。練習回数がたくさんあると、最初のほうの練習で危機感があまりなく、スコアリーディングをせず行き当たりばったりで合奏に来るような人も多くなるからです。2回で運命は少しきつかったという感想は持ちましたが、例えば4~5回など、コロナ禍でなくても少ない回数で集中して本番を迎えるのは可能だと思いました(第1回のまとめにも同じこと書いてありました)。ただ、前回も今回も、運よくレベルの高い出演者が集まってくれただけかもしれないので、このやり方を過信しないようにはしたいです。

また、第一回の時も感じましたが、コロナに対する感覚は人それぞれで、全く気にかけていない人もいれば、家庭の都合なので絶対に家にウィルスを持って帰らないようにかなり気を付けている人もいます。とにかく、一番慎重な人でも不安に思わないよう、感染症対策の徹底を周知しました。心配なときは無理して練習にでなくてもよい、状況によって出演しづらくなったら躊躇せず申し出てほしい、など伝え、コロナ関係の心配が減るように努めました。

【今後の課題】

お客さんの申込方法や有料とするか無料とするかは今後検討の余地があると思いました。今回は、無料で、全席自由、事前申し込みは任意(できるだけ)、としましたが、web formの使い方がわからない方が大変多くいて(たいてい60代以上)オンラインでの申し込みには限界があると感じました。毎日電話でオンライン申し込みができないんだけど、という問い合わせがありました。ホール側は事前申込による指定席が一番入場はスムーズだと言っていたので、方法を検討したいです。





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