新NISAが始まり、積立投資を意識してみた話

はじめに

新NISAが始まり、積立NISAの枠が強化されました。個人的には積立投資のようなこまごまとした投資はこれまであまりやってきませんでした。しかし、市場の騰落に何度か出会う中でリスク分散の必要性を痛感し、その中で出た結論の一つが徹底的な分散投資でした。分散投資はこれまでも意識していて、銘柄の分散はやってきたつもりでいたのですが、市場の騰落を乗り切るには不十分だったと反省しています。

そのタイミングでたまたま新NISAが始まりましたので、これを機会に積立NISAに何を入れるべきか考察してみました。考察に当たり、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資産構成を参考にしています。

積立NISAの全体構成はどうすべきか?

まず、GPIFの資産構成は下記の図の通りです。

年金積立金管理運用独立行政法人より引用

資産が綺麗に4等分されていることが分かります。これらは伝統的投資の対象とされている4資産でそれぞれに均等に資産配分することでリスク分散を図っています。

その効果は凄まじいもので22年間で120兆円以上の収益を上げています。(正確に言うと、国債中心の資産を4等分にして運用を始めたのが2009年です。)

年金積立金管理運用独立行政法人より引用

一般的にこれらの利回りは、外国株式>国内株式>外国債券>国内債券の順となり、リスクは国内債券>外国債券>国内株式>外国株式の順となります。GPIFの4等分作戦は、それぞれに均等に投資することで、ミドルリスク・ミドルリターンを狙っているのです。

これを参考に、積立NISAの設定は国内債券・国内株式・外国債券・外国株式に対して均等に投資することとします。注意点として、現時点では積立投資枠で利用できる投資信託には債券は含まれていません。ですが、債券を対象とした投資信託は成長枠を利用できるので、今回は成長枠の利用を含めた話となります。

積立NISAの積立頻度はどうすべきか?

積立NISAの銘柄を選定する前に頻度の検討をします。なぜなら、積立頻度によって投資可能な金額が変動する(選定可能な銘柄の数が変動する)からです。証券会社によって違いますが、筆者が使っているSBI証券では「毎日・毎週・(特定の曜日)・毎月(特定の日)・複数日(1か月の間で指定した複数の日)・奇数月・偶数月」の選択肢があります。徹底的な分散を図るなら毎日が選択肢に上がりますし、毎月特定の日にまとめて投資したほうが管理が楽な気がしてきます。

調査するとマネックス証券がちゃんと検証してくれていたので、それを引用します。結論から言うと、誤差レベルで「毎日」が有利という結果でした。
個人的には「毎日」は「毎月」と比較して時間を分散しているので、日々の複利効果を放棄しているという側面があり、やや不利になるかと予想していましたが、日々の機会を必ず捉えるのでやや有利という結果が出たのだと思います。今回の趣旨は徹底的な分散ですので、ここは「毎日」を選択します。

積立頻度が「毎日」に決まったので、投資可能枠を確認するとSBI証券では最大で約4,300円となっていました。4資産に均等投資することを考えると4,000円がなにかと都合の良い数値ですので、4,000円の枠の中で考えることとします。

構成銘柄の選定

先ずは前提の構成通り、下記のとおりに4,000円を分散させます。
・国内株式・1000円
・国内債券・1000円
・外国株式・1000円
・外国債券・1000円

ここからは各論で、個人の好みが強く反映されるほか、その結果は大勢には影響を与ない領域だと思いますので、好みの銘柄がある方はそれを選定すればよいと思います。

私の場合ですが、国内株式は日経平均50%、TOPIX50%としました。外国株式は全世界株式50%、米国株式50%としました。外国債券は米国債50%、先進国債券25%、新興国債券25%としました。

問題の国内債券ですが、日本国内の債券は金融緩和政策の影響で非常に利回りが低く、利回りはほぼ0の状態です。GPIFは真面目な組織なので律儀に国債を購入しているのかと思いきや、ホームページにこんな注意書きがありました。
「為替ヘッジ付き外国債券及び円建ての短期資産については国内債券に区分し、外貨建ての短期資産については外国債券に区分することとしています。」
為替変動リスクを避ければ、それは国内債券扱いとすることで日本国債の低利回りをカバーするというウルトラCの発想です。確かに為替変動リスクを避ければ、もはや円建ての債権と同じだと思いますので大変理にかなっていると感心しました。

今回はそれにあやかり、国内債券については米国債(為替ヘッジあり)50%、国内債券25%、先進国債券(為替ヘッジあり)25%という構成にしました。

以上をまとめると、このような構成となりました。
・国内株式・日経平均                                       500円
・国内株式・TOPIX                                            500円
・外国株式・全世界株式                                   500円
・外国株式・米国株式                                       500円
・国内債券・米国債(為替ヘッジあり)          500円
・国内債券・国内債券                                       250円
・国内債券・先進国債券(為替ヘッジあり)  250円
・外国債券・米国債                                          500円
・外国債券・先進国債券                                   250円
・外国債券・新興国債券                                   250円
 1日合計 4000円

スケールサイズを考える

1日4000円の積立投資は、年間で100万円程度というサラリーマンには捻出が難しい金額に膨れ上がります。また、積立枠と成長枠をそれぞれ年間約50万円ずつ消化するため、12年で積立専用の枠は消化しきってしまいます。(NISA全体の枠は残っているので追加の投資は可能ですが)

そこで、4000円の枠のスケールダウンを検討してみます。SBI証券では最低投資額が100円に設定されているので、最低の投資サイズはこのようになります。

・国内株式・日経平均                                       200円
・国内株式・TOPIX                                            200円
・外国株式・全世界株式                                   200円
・外国株式・米国株式                                       200円
・国内債券・米国債(為替ヘッジあり)          200円
・国内債券・国内債券                                       100円
・国内債券・先進国債券(為替ヘッジあり)  100円
・外国債券・米国債                                          200円
・外国債券・先進国債券                                   100円
・外国債券・新興国債券                                   100円
 1日合計 1600円

1日1600円の積立投資は、1か月で3万5千円程度、年間40万円程度というギリギリ捻出できそうな金額になってきます。それでも厳しい場合は、設定金額をこれ以上は下げられないので、期間の分散の再検討になります。

SBI証券では、複数日(1か月の間で指定した複数の日)が指定できますので、偶数日のみを指定すると、1か月で16,000円程度、年間20万円程度となり、3の倍数の日のみを指定すると、1か月で12,000円程度、年間15万円程度となっていきます。ここまでくれば大学生でも手が出せる領域になるのではないかと思います。

もちろん、資金に余裕のある方は倍額まで増加することも可能です。ですが、その場合は6年で枠を消化しきってしまいます。積立期間はどの期間が良いかは、投資家個人が投資に資金を回しておける期間に依存するので、自分の財布との相談だと思います。

おわりに

投資信託の中には、8資産分散型という商品もあります。日本・外国・株式・債券・REITなどでバランスよく構成されている商品で、何も考えずにリスク分散して運用するには一番良いかもしれません。

そう言えば身も蓋もない話ですが、自分で考えて答えを出すことが何よりの勉強になります。なにより、構成比の調整や構成銘柄の選定、中途での変更を自分でやりたければ、自身でポートフォリオを構成するしかないので、やはり勉強しておいて損はないかと思います。

追記
後に別記事にて構成を見直しました

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