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博物館・城砦「八十年戦争の空気を吸う」

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Feeling the atmosphere of the Eighty Years' War オランダ国内の博物館・美術館および八十年戦争期を中心とした近世ヨーロッパ関連の日本…
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博物館・城砦「八十年戦争の空気を吸う」

オランダの博物館・美術館/城館・城砦の訪問記、および、日本国内で開催されたオランダ関係の特別展の鑑賞レビューです。 ※ 建造物等の写真画像(Freedom of Panorama)については国によって著作権法の規定が違いますが、おおむね「建物外観はOK、建物内部はNG」であることから、博物館・美術館・教会等の記事の画像(とくに建物内部)に関しては、できるだけ外部ソース(おもにWikimedia Commons)の埋め込み画像を使用することにしています。「景色」に相当するもの

国立博物館 Rijksmuseum オランダ/アムステルダム ~オランダ最大の収蔵量と良心的データベース

※ 管理人が直接訪れたのは、相当昔の改装前1996年夏、改修中のためフィリップスウィングで展示されていた2009年4月、リニューアル1年後の2014年6月の3回です。 公式サイト 概要10年にわたる長期改修を経て2013年4月13日に新装オープンしました!  再オープンに先駆けてリニューアルされた公式サイト「Rijksstudio」は、無料アカウントをとると、お気に入りの所蔵品の画像をクリップしたりファイリングができたり(しかも公開・非公開が選べる)、その高解像度画像の無

プリンセンホフ美術館 Het Prinsenhof オランダ/デルフト ~世界初の要人暗殺の銃弾跡が生々しく残る

※ 訪問記は2014年6月および2009年4月の情報です。 Museum Het Prinsenhof (公式サイト) 概要オランイェ公ウィレム一世の邸宅で、暗殺された場所。 実はウィレムにせよマウリッツにせよフレデリク=ヘンドリクにせよ、ここに住んでいた時期はそれぞれ数年程度でそれほど長くありませんが、親子3人が一時期といえど揃った可能性のある邸宅はここだけです。 2014年に改修され、「Stedelijk 市立」の文言が取れました。だいぶ入場料も上がっています。同時

ハーグ歴史博物館/ブレディウス美術館 オランダ/ハーグ ~旅行ガイドに載らない隠れた名館2件

※ 訪問記は2017年10月の情報です。他、歴史博物館は2014年、2009年にも訪問。 ハーグ歴史博物館 Haags Historisch MuseumHaags Historisch Museum 公式サイト マウリッツハイスの斜め向かいにあります。建物の外観も非常に良く似ています。3階建ての小さな博物館。常設は1Fのみ。2009年と2014年以降では展示構成が変わっていました。ヤン・デ・ウィットの舌と指のミイラは相変わらず置いてあります。2017年には模型に変わって

ブレダ市立博物館 Stedelijk Museum Breda オランダ/ブレダ ~リノベ後も健在、攻囲戦に特化した展示は軍事博物館以上

※ 訪問記は2014年6月時点旧「ブレダ博物館」訪問時の情報です。 Stedelijk Museum Breda 公式サイト 2017年6月オープン。ブレダ博物館(2017年1月1日を最終開館日として移転のため閉館)と映像博物館(MOTI)が合併・併設され「ブレダ市立博物館 Stedelijk Museum Breda」と名称も変更となりました。場所は旧MOTI。駅から公園をまっすぐ突っ切ってすぐなので、以前よりは便利になります。旧「ブレダ博物館」のサイトは新館オープンと

国立軍事博物館 NMM オランダ/スースト ~時代の融合を図る挑戦的な展示表現

国立軍事博物館 NMM/Nationaal Militair Museum スースト※ 訪問記は2017年10月時点の情報です。 展示内容 デルフトの陸軍博物館が移転し、2014年にオープン。ユトレヒト郊外の旧空軍基地の広大な敷地です。旧空軍基地には空軍博物館があったはずなので、陸空で統合。 残念ながらデルフト時代の八十年戦争特化型の展示はほとんどなくなりました。 2階建ての1Fは、基本的に戦車や戦闘機など現物の大物の展示が多いです。いちばん最初の暗めの部屋には、16

マウリッツハイス美術館 Mauritshuis オランダ/ハーグ ~国会に隣接する小さな宝石箱

※ 管理人が訪問した最終は2017年10月です。 マウリッツハイスの建物直訳すれば「マウリッツの家(邸宅)」。日本語表記では「マウリッツハウス」のほうが一般的かもしれません。この「マウリッツ」は、ウィレム一世(沈黙公)の息子のマウリッツ・ファン・オランイェ=ナッサウではなく、ヤン七世の息子、ブラジル総督のヨハン=マウリッツ・ファン・ナッサウ=ジーゲンのこと。日本だけではなく、英語やオランダ語の観光サイトでも、「マウリッツ違い」に注意、との旨が書いてあるものがあり面白いです。

アムステルダム博物館 Amsterdam Museum オランダ/アムステルダム ~大規模改修で「国立」に比肩する存在となった市立歴史博物館

※ 訪問記は2014年6月の情報です。その後2022年に仮移転しているようです。 こちらは2011年、前回リノベーションの際のトレイラー。 Amsterdam Museum 公式サイト 「歴史」が取れて、「アムステルダム歴史博物館 Amsterdam Historisch Museum」から「アムステルダム博物館 Amsterdam Museum」に改称しました。おそらくこのタイミングで博物館全体の改装もしていて、以前とは比べ物にならないくらい(何倍ってレベルで)広くな

監獄博物館 / ウィレム五世ギャラリー Gevangenpoort / Galerij Prins Willem V オランダ/ハーグ ~「国会」の真向かいにある監獄で貴族と囚人どちらも味わえる

※ 2017年10月時点の情報です。ギャラリーは2014年にも訪問。 概要17世紀ホラント州の政治家デ・ウィット兄弟が監禁され、また、この前で惨殺された建物。ホラント州の紋章を掲げた17世紀当時と同じ佇まいを今も維持しています。ホフフェイファー付近にある博物館群のひとつ。 ↑ 残酷絵画なので大きくして閲覧する際はご注意。 監獄博物館 / ウィレム五世ギャラリー は、同じ建物内に2つの博物館が併設されていて、それぞれ別に見ることもできますが、通常はコンビチケットで良いかと

北ブラバント博物館 Het Noordbrabants Museum オランダ/スヘルトヘンボス ~南ネーデルランド執政府・オランダ共和国、両黄金時代の文物を収蔵する総合博物館

※ 訪問記は2014年6月時点の情報です。 地方の大型総合博物館といった感じで、隣接した市立博物館と建物を共有し(ただし料金は別らしい)、古代から現代までなんでもあります。ので、近世の展示を中心にみてきました。 写真OK!と入口では言われましたが、内部では学芸員の方に指摘されたりもしたので、部屋に誰か職員がいたら一声かけたほうが良いかも。 コレクションはこちらから検索可。 ブラバント地方史コーナー 本館と新館に分かれていて、本館のほうが古典的な作品を置き、新館は1F

セントラールミュージアム Centraal Museum オランダ/ユトレヒト ~あのウサギだけじゃない、広大な敷地と幅広いコレクション

Centraal Museum公式サイト 日本では別館の「ディック・ブルーナ・ハウス」が有名な、ユトレヒトの博物館本館です。「ディック・ブルーナ・ハウス」のすぐ向かいですが、残念ながらこれといった目玉展示品(レンブラントとかフェルメールとかの有名作品)はないので、日本人観光客は素通りかもしれません。地味なゴッホとかも一応あるんですけどね…。 中世から現代アートまで所蔵品の種類も幅広く、また、展示スペースもかなり広いので、ピンポイントで見たいものや特別展にしぼったほうが良いか

ルーフェステイン城 Slot Loevestein オランダ/ワウトリヘム近郊 ~グロティウスが脱獄した難攻不落の監獄要塞は現代も訪問客泣かせ

※ 訪問記は2017年10月時点の情報です。 公式ページ Slot Loevestein 苦節10年以上、やっと行けた、観光客泣かせのアクセシビリティの悪さ且つ冬期は土日しか空いてない城。むかしから牢獄代わりに使われていたので、難攻不落は当然といえば当然なのですが。(現在でも途中でGPSがきかなくなり、カーナビから見放されます)。 従業員は皆中世の衣装を着て、テントを出し、物品の販売や子供向けアクティビティなどが催されていました。 ブラウの地図。緑色の中洲の端にある小

ウェイヘン城 Museum Kasteel Wijchen オランダ/ウェイヘン ~隙間時間に立ち寄りたい、駅チカとは思えない静かな佇まいの城

※ 訪問記は2014年6月時点の情報です。 ネイメーヘン近郊にあるウェイヘン城。ナッサウ伯マウリッツの妹エミリアが、1609年以降に父ウィレム沈黙公の財産の一部を譲渡された際に、夫ポルトガル公マヌエルと共に購入した城です。 エミリアの死後1629年に、ナッサウ伯ユスティヌスの息子(エミリアにとっては庶系の甥)ナッサウ=グリムハウゼン伯フィリップスが買い取り、その後数々の人の手を経たそうです。 この像、エミリアだそうなんですが、訪問時気が付きませんでした。 入口からいきな

マイデン城 Muiderslot オランダ/マイデン ~誰が撮っても映える360度隙無しの中世の城

※ 訪問記は2017年10月時点の情報です。 アムステルダムにほど近いものの、あまり日本人にはなじみのない城。アムステルダム近郊ツアーだと、アクセスの悪いこちらより、キンデルダイク風車が優先されてしまうのかもしれません。 もともとはホラント伯フロリス五世の城。17世紀には、作家のホーフトが「Muiderkring(マイデン会とでも訳しましょうか)」という会を催し、芸術サロンのように使用していました。 いずれも歴史画。サロンには女性もいますね。 城の中庭に入ると入口が2