ホルモンとサイトカインの区別(オータコイド類)

サイトカインやホルモンのフィードバック機構を考えた時、「この2つの働きって似てね?」と思った所から端を発する。

ホルモンとは

内分泌腺にある内分泌腺細胞から直接血液中に分泌され、血液循環を介してそのホルモンに対する受容体を持つ特定の細胞に達し、微量で特異的な効果を及ぼす物質である。

ホルモンの定義

・化学的情報伝達物質として微量で効果を発揮する
・特定の内分泌腺や細胞から血中に分泌される
・標的細胞の受容体と結合して作用を発現させる

ホルモンの概念が拡大すると、神経細胞間の連絡も化学物質(神経伝達物質)がシナプス間隙に分泌されて起こるので、神経伝達と内分泌との区別も曖昧になりました。また白血球やリンパ球などの免疫担当細胞も化学物質(サイトカイン)を分泌し、血行を介してその作用を発揮するので、内分泌細胞と言えなくもない。このようにホルモンの概念はかなり混乱し、拡大されたホルモンの定義は脈管内液および組織間隙中に分泌され、少量で特異的な作用を発揮する物質となりました(非古典的ホルモンの定義)。

ホルモンについて

オータコイドとは

動物体内で産生され微量で生理・薬理作用を示す生理活性物質のうち、ホルモンおよび神経伝達物質以外のものの総称である。
オータコイド類にはヒスタミン、セロトニン、一酸化窒素(NO)などがあり、どうやらサイトカインもここに分類される。

炎症性サイトカインの働き

炎症性サイトカインの主な役割は、
・免疫細胞を目的部位に集積
・T細胞やB細胞など、獲得免疫系の細胞の分化を誘導
・獲得免疫系および自然免疫系を活性化し、がんや病原体などの異物を排除ect.

ざっくり言うと免疫細胞の出す号令の様な役割である。
「戦うぞー!おー!」や「免疫細胞集合!」から「炎症やめろー!」まで色々ある。
このサイトカインの司令によって白血球達のチームワークが働き、炎症~治癒までの一連の流れを担っている。

何故この2つを比べるか

炎症性サイトカインとは、異物とみなす物質に対する免疫反応が起こるときや、感染・組織損傷などへの対応のとき分泌されるはずである。
にも関わらずサイトカインが何故かストレスでも分泌されてしまうのだ。

ストレスがうつ病の根本原因であるということから端を発した。ストレスによって生体に何が起こるのかを知るために様々な文献にあたったところ、血中や脳実質内でサイトカインである IL-1 が上昇していることがわかった。

うつIL-1仮説

これはサイトカインがホルモンの様な働きとして分泌されている事を表している。
例えば、エリスロポエチンが発見された当初はホルモンとして扱われたが、皮膚からも分泌される事が分かり、今となってはホルモンに近い働きをするサイトカインであるという解釈もあったりする。
サイトカインは免疫機能のみならず身体の調節に使われている事が分かる。学術的にはサイトカインはホルモンの定義を満たさないが、身体のやりたい事として考えるなら同列に扱って良さそう、という解釈で温存しておこう。


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