四葉のクローバー✨🍀✨~

内面の思考パターンや、物ごとにどう反応するかは、人の個性を特徴づけるものですが、日常の諸事に追われるうちに、私たちはそのようなことに気をとめずに過ごしがちではないでしょうか?それらは決して絶対的なものではなく、何かの気づきを得れば、より望ましいものに変えることも可能であるにもかかわらず…。そう、人は視野を広げることで変容し、人生の体験も変わり得るのです。

そうは言っても、気づきを得て、自分を変容させていくことは口で言うほど簡単なことではありません。でも、それは私たちの真の幸せや健康、あえては魂の進化や成長に直接関係しています。そして、ミクロはマクロというように、ひとりひとりが変わることで世界が変わっていくのです…。しかし、私たちがこのような気づきを得ることなく、無意識のままでいつづければ、進化どころか、長年慣れ親しんだ今までのパターンに知らずと固執することになり、時と共にそのまま化石化していくこともあり得りえます。

しかし、人生とは不思議なもので、変化を促すようなお目覚めコールのようなできごとが時として起こります。例えば、何かのきっかけに、今まで慣れ親み自分と同一視していた思考や行動パターン、お決まりのリアクションなどに何らかの挑戦状が突きつけられるのです。例えば、長年忠誠を尽したと思っていた会社に解雇されることもその一つかもしれません。このように突然何らかの予想外のことが起きて、それまでの自分のアイデンティティや物の見方、考え方の狭量さにはっと気づかされるような瞬間が、誰にでもあるのではないでしょうか?まるで、長い間暗い穴ぐらで穴掘りをしながらそれを当たり前と思って暮していたモグラが、何かの拍子に、地面の上に顔をぴょっこり出して外の世界を目にするかのように、よきにしろ、悪しきにしろ、まったく新しい次元が目の前に広がるような瞬間…。そこで、人は試されます。元の慣れ親しんだ無意識の観念や思考の世界に戻るのか、それとも新しい世界に開いていくのか。それは、今日の世界情勢にも言えることかもしれません。

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ある時、私は長野県蓼科のあるリトリートセンターで開催されたヴォイス・ワークのワークショップで通訳をすることになりました。講師はアメリカ西海岸在住のソプラノ・シンガーSさん。彼女は美しい声の持ち主だけではなく、とても愛情深いハートの持ち主でした。そこには、ヴォイスワークを通して癒しを求める参加者たちが30名ほど集まっていました。

ワークショップ2日目の休憩中、私は息抜きに外に散歩にでました。目の前にはこぎれいに手入れされた庭、その向こうには白樺が立ち並ぶ高原の野原が広がっていました。その時、建物の脇の小さな空き地にふと目をやると、草の上に四つ這いになって何かを探している様子の講師のSさんがいました。何か落とし物をさがしているなら手伝ってあげようと、私は彼女の方に近づいていきました。

「何か探し物をしているんですか?」と尋ねる前に、私は彼女が「ハロー、アーユーゼア?」と地面の草に向かって手をかざしながら、優しく話しかけているのに気づきました。不思議に思った私は、「ハーイ、フアット・アー・ユー・ドーイング(何をしているのですか)?」と尋ねました。

彼女はこちらに笑顔を向け、「四つ葉のクローバーを見つけているのよ」と言いました。「四葉のクローバー?」と、私は予想外の答えにびっくりしました。そんな見つかりっこないものをなぜ?と私はとっさに思いました。私の中には何故か、探したって四つ葉のクローバーは絶対に見つからりゃしないというシニカルな思い込みがあったのです。「アー・ユー・ゼア?」とクローバーたちに話しかけているSさんは、呆れたようにそこに立っている私を「あなたも、一緒にやってみない?」と軽いノリで誘いました。

「四つ葉のクローバーを見つけようだなんて、時間の無駄だわ」と私は内心思って立ち去ろうとしました。そんなこと無理無理、と…。しかし、そんな私の沈黙のリアクションなど全く気ずかずに、彼女は相変わらずクローバーたちにやさしく話しかけていました。その姿はとてもリラックスしていて、楽しそうでした。わたしはその天真爛漫でハートフルな波動にそそわれて、立ち去る代わりに、彼女の隣の地面にしゃがんでみました。そして、ゲーム感覚で、彼女のように優しい声でクローバーに語りかけながら、クローバーの群れの表面に手をかざし、四つ葉のクローバーを探しはじめてみたのです。最初はおつきあいでという気持ちがあったものの、彼女のように優しくクローバーたちに語りかけるうちに、私は徐々に子供のように素直な気持ちになっていく自分に気づきました。

そうしているうちに、まるで見えないヴェールが開かれていくかのように、今までまったく見えなかった四つ葉のクローバーがひとつ、ふたつと目の前に姿を現しはじめました。それも後から後から…。今まで見えなかったものが見えてきたのです。まさに目から鱗。さらに、五つ葉、六つ葉のクローバーまで見えてきました。こうして、20分ほどの間に、S さんとわたしは、30人の参加者全員にプレゼントできるほどの四つ葉のクローバーを積んでいました。休憩時間が終わる前に、私たちは両手いっぱいに四つ葉のクローバーをもってワークショップ会場に戻り、笑みを浮かべながら参加者おひとりおひとりに幸運のシンボル四つ葉のクローバーを手渡しました。

この体験を通して、私は自分の中に、そんなこと無理!という無意識の思い込みや、行動する前にあきらめてしまう傾向があることに気づかされました。それは、神社の透明な御鏡に映し出された隠しようのない自分の姿を目にするかのようで、そこに見えたのは、自分自身がどんなに自分の人生を制限し、狭めてしまっているかということでした。だから、この体験はとても印象深いものでした。

しかしながら、ワークショップから日常に戻ってしばらく経つと、あれは純粋なハートの持ち主のSさんと一緒にいたから可能だったのかもしれないし、たまたま蓼科の肥沃な土壌に四つ葉のクローバーがたくさん生えていただけなのかもしれないと、以前のようなシニカルな思いが心の中に舞い戻っていきました。

そんなある日、岩手県石巻市へ出張にいった時のことでした。ビジネスホテルで朝食を早めにとった私は、仕事に行く前に、港近くの公園に散歩にでかけました。海を見渡す広々とした公園にはクローバーがあちこちに群生していました。私はあのワークショップの時の感覚を思い出しながら、半信半疑でクローバーに語りかけてみました。「クローバーさん、おはよう!四つ葉のクローバーさんはいますか~?」と、手をかざしながら優しい声で…。心のどこかでは、まさかね、という気持ちもあったのですが、まだ誰もいない早朝の公園で、私は誰にも気兼ねせずクローバーたちとの交流を楽しみはじめていました。するとどうでしょう!今まで見えなかった四つ葉のクローバーが、後から後から面白いくらいに見えだしたのです。…ええ、これって本当?と半信半疑の声も次第に喜びにそまっていきました。今回も見えないヴェールが開かれて、彼らが「ここにいるよー」と手を振っているかのようでした。私は天国を独り占めしたかのように、ひとり有頂天になっていきました。

私にとって、これは自分の内面に巣くった否定的な思い込みに気づき、その呪文から解放され、ハートが開いた時にもたらされるギフトを受けとるレッスンだったようです。こうしてハートを開く時に、自分の内側で現実を覆っていた見えないヴェールが開かれて、どんなに小さなことであっても、そこには本来そこにある素晴らしい世界が姿を現していくのでしょう。それこそ錬金術的なマジックであり、その鍵はいつも「今ここ」にあり、自分のハートを開き、そこにある純粋な愛に戻っていくことにあるようです。幸運のシンボル四つ葉のクローバーは、きっとそのことをことを私に教えたかったに違いありません✨🍀✨~

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私の尊敬する自己啓発の開拓者Dr.ドゥエイン・ダイヤーは言います。「あなたが物事を見る見方を変えると、見えるものが変わる。」と。そして、さらなる人生の旅路を目の前に、そして世界が大きな変容の時にある今、私はあらためて「あなたを制限しているのはあなた自身だ」というその名言を思い出しています。

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