人生初の音楽感動体験〜小曽根真さんとの出会い③〜
自由席。
何とも素敵な響き。
それは一番乗りの私にとって贅沢な瞬間だった。
小曽根さんの手元が見たい。
最前列の手元がよく見える席を選んだ。
もう、足を伸ばせばステージの段差に当たるのではないかという程、ブルーノートのステージと客席は近い。
先程、開場前に話していた男性も同じテーブルの斜向かいの席に着いた。
ライブが始まる前には、ディナータイムがあるのだが、正直緊張と興奮で何を食べればいいのか分からない。始まるまでに食べ終える自信もない。
これはもしかして演奏を聴きながら食べるのか、大人の世界はなんと贅沢なのだと、ここでも驚いてしまう。
さて、いよいよ開演時間。
会場の拍手の中、奥の楽屋から、ベースの北川潔さんとドラムのクラレンス・ペンさんが登場。
あれっ?小曽根さんがいない!?
きょとんとしていると、同席していた母が「前っ!前っ!」と言う。
んっ?と思って前を見ると、手を伸ばせば届きそうなところに小曽根さんがすでに座っているではないか!
私たちと同じ入口から入って来られたようで、私はこの瞬間からすでに小曽根マジックにかかってしまう。
演奏が始まると、何度も聴いてきたCDと同じ音楽が目の前で鳴っていることに只々魅了される。
そして何度も聴いてきたからこそ分かる、CDとは違う、今目の前で生まれている音に感動する。
ジャズのライブに行って驚いたのはやはりアドリブ。時折小曽根さんがアイコンタクトを取って会話をしていたり、「そう来たか〜」と言うように急に笑ったり、初心者の私には何が起こっているのか全く分からず、目の前で起きている魔法のような時間に只々感動していた。
④に続く
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?