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人生初の音楽感動体験〜小曽根真さんとの出会い④〜
さて、ここからが本題。
私がお伝えしたかった、人生初の音楽感動体験。
その瞬間は、小曽根真トリオ『NO STRINGS ATTACHED』に収録されている「天使の死」という曲で起こった。
この曲はピアソラ作曲で、一度聴いて頂けると分かると思うが、曲の展開がそのまま物語の展開になるような、まさにタイトル通りの映像が浮かぶような楽曲。
印象的だったのが、アドリブ。
CD音源とは違って、小曽根さんの足元にカウベルのようなカンカンと高音に響く楽器があって、小曽根さんはピアノを弾きながら、足元でカウントを取るようにその楽器を鳴らしていた。
私は最前列にいたので、とにかくその音が耳に響く。それが現実世界とは違う場所に連れて行かれたような高揚感につながる。
小曽根さんのピアノのアドリブは、とにかく力強く、客席の熱気に応えるようにどんどん激しくなる。
予想もつかない場所へ演奏者も客席も一緒に旅をするような、そして、会場全体が1つになって盛り上がりを共有する、不思議な時間が流れていた。
小曽根さんのアドリブが終わった瞬間、私の中で「かっこいい!!最高!!」という感情が沸き起こった!
と同時に私の後ろからも、大きな拍手と歓声!
驚いて後ろを振り向くと、席を立って満面の笑みで拍手をしている人、手を頭の上に掲げて拍手をしている人。開場前に話をしていた男性も笑顔で拍手をしていた。
その瞬間、会場が1つになった。
そして、その時私は音楽は色んな概念を越える力があるんだと感じた。
それは大人や子供という「年齢」ではなく
中学生や医者という「職業や肩書」でもなく
男性女性という「性別」でもなく
心が震えれば、もうそれが答えだと思った。
演奏が終わると、再度客席から万雷の拍手。
ジャズ初心者の私も、こういう感じ方で楽しんでいいんだという実感を得た瞬間だった。
この体験以降、私はジャズに限らずライブに行くと、ステージ上のアーティストを目に焼き付けたいという気持ちを一瞬我慢して、後ろを振り返り客席を観ることがある。
満面の笑みで拍手をしたり、音楽に乗せて身体を揺らしたり、思い思いに楽しんでいる姿を見て、小曽根さんが教えてくれたこの感動体験を思い出す。
ジャズだからって、難しそうと尻込みしなくて良かった。
興味があることに手を伸ばして良かった。
この経験から何年も経った今も、忘れたくない感動体験。
もし今、ジャズは難しそうとか、知識がないと楽しめないのではないかと思っている方がいたら、まずは聴いてみて、自分の心が何かを感じるか試してみて欲しい。
そして、何を聴いたらいいか分からなければ、私は小曽根真さんをオススメします。
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