空と水色とわたし-44
シーズンオフの恒例行事といえばフロンターレ展だ。
いつから開催されるようになったのかは知らないが、
私が等々力に再び通うようになってからは当たり前のように
開催されているので、恐らくそれなりに長い歴史があるのだろう。
2019年10月の台風の被害を受けるまでは
ずっと市民ミュージアムで開催されていた。
その後も規模を縮小したり形を変えて続いており、
年末から年始にかけて、フロンターレ欠乏症になりそうな私たちを
楽しませてくれるイベントなのだ。
そのシーズンの写真の展示をメインに
映像コーナーやイベントで使用されたグッズや横断幕、
シャーレやトロフィー、黄金のグッズまで間近で見ることができる
サポーターにとってはたまらないイベントだ。
市民ミュージアムで開催されていた頃には
フロンターレ展とあわせて週末にマスコットが来場したり
選手のトークショーやワークショップが開催されたり、
一度だけでなく何度も足を運びたくなるほどの催しである。
しかし、そんな魅力的な恒例行事だというのに私は数回しか
脚を運んだことがない。
過密日程の時には余裕で週に2回も嬉々として等々力に向かうのに
等々力に通うために何度引越しても等々力徒歩圏内に住居を構えているというのに
シーズンオフとなると、何故か遠く感じてしまう等々力。
市民ミュージアムはさらに遠い。
(といっても、さほど変わらないのだが)
しかし、どういうわけだか、2015年の年末のある日のこと
私は一人市民ミュージアムにいた。
事前に応募していたフロンターレ展のイベントの一つ、
選手のチャリティトークショーに当選したからだ。
トークショーの参加者は三名。
ケンゴとヒロキと天野さんだ。見たいに決まっている。
激戦を覚悟して抽選に申し込んだが、応募した時点で何となく
当選することを確信していた。
それほど強い気持ちで参加したかったのだ。
当日、少し早めに市民ミュージアムに向かい
フロンターレ展を見てそわそわした気持ちでミュージアム中央の階段席で
待機していた。
余談だが私はこの階段席や市民ミュージアムの雰囲気がとても好きだった。
実家を離れるまでによく通った
図書館が併設された地元の文化会館と同じ雰囲気と香りがするからだ。
落ち着きと不思議な高揚感がある。
だから、前述の台風による浸水被害で絶望的な状況になってしまったことが
とても悲しいし、素人ながらどうにかならないかと時々思い出したように
考えたりする。あの市民ミュージアムが好きなんだよな。。。
庭にあるトーマス転炉、日差しが差し込む階段席、懐かしい香りがするホール、ピカピカの床、外観、すべてが好きなんだ。
チャリティトークショーは1階のホールで開催された。
何時間でも見ていたいほどの楽しくて幸せな空間だった。
トークショーの後、ホールから出るとロビーには先ほどまでトークショーの舞台の上にいた三名がいた。
チャリティーショーなので、そこで募金をして少し言葉を交わして
退場という流れらしい。
初めて参加する私はそんなことも露知らず、満足感でいっぱいで
何気なくロビーに出ると三名がいたので驚いて、
思わず逃げたくなった。何故だ。
こんなことならもっとちゃんとメイクしてくれば良かったなぁと思いながら
緊張しつつも募金して少しだけ言葉を交わして握手して会場を後にした。
12月後半の帰り道、外はすっかり暗くなっていたが
ほくほくの私は寒さも感じないほど満ち足りていた。
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