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過去問 公認心理師試験第6回 午前 一般問題 問75

みなさん、こんにちは。

公認心理師受験生Kidです。

さて、掲題の通り、問75です。

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問75
14歳の女子A、中学2年生。Aの保護者は、スクールカウンセラーBにAの不登校について相談に訪れた。1か月前、Aは授業中に友人Cと同じグループになったとき、Cから、「Aと同じグループは嫌だ」と皆の前で言われた。それ以来、Cに会うのがつらいと感じ、毎朝腹痛と下痢を訴えるようになり、学校をずっと休んでいる。かかりつけ医に受診したところ、過敏性腸症候群と診断され、処方された薬を服用している。
 Bが次に行う対応として、適切なものを2つ選べ。
① Aに登校するように促す。
② CがAに謝罪する場を設ける。
③ Aの保護者との面接を継続する。
④ Cの保護者との面接を計画する。
⑤ いじめの重大事態が発生していることを担任教師や管理職に報告する。

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正解、 ⑤です。
⑤ いじめの重大事態が発生していることを担任教師や管理職に報告する。

まず、いじめの重大事態の定義を述べておきます。

法第28条第1項においては、いじめの重大事態の定義は「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき(生命心身財産重大事態)」および「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき(不登校重大事態)」とされています。

また、重大事態は、事実関係が確定した段階で重大事態としての対応を開始するのではなく、「疑い」が生じた段階で調査を開始しなければならないことを認識することが重要です。

上記の「生命心身財産重大事態」とは、いじめを受ける児童生徒の状況に着目して判断することになり、例えば、以下の状態を指します。

・児童生徒が自殺を企図した場合
・身体に重大な傷害を負った場合
・金品等に重大な被害を被った場合
・精神性の疾患を発症した場合
当然、上記のような明確な被害や傷害がなくても「不登校重大事態」のように、学校を休む状態も重大事態になり得ます。

法第2号の「相当の期間」については、不登校の定義を踏まえて、年間30日を目安とはしていますが、児童生徒が一定期間、連続して欠席しているような場合には、上記目安にかかわらず、学校の設置者又は学校の判断により、迅速に調査に着手することが必要とされています。

正直なところ、「いじめ」という出来事を起点にして休んでいる場合でなくても、何かしらの出来事と絡んで休んでいると見れなくもない場合、上記の30日の目安は「有って無いようなもの」として扱った方が良いです。

この辺の間違えて「元々不登校だった」「そのような出来事で不登校になるなんて」などのような態度で被害者に接し、とんでもない状況になってしまう事例があります。

もう前後関係はどうでもよくて、被害者にとって「いじめと見なせる出来事があった」、そしてその出来事を起点に休む傾向が強く出ている、のであれば重大事態として扱うくらいの気持ちで対応していった方が、少なくとも学校の危機管理上は大切です。

本事例では、いじめを起点に休み始めていることから、上記の「不登校重大事態」と見なすのが妥当ですし、「過敏性腸症候群」という心理的要因が絡む疾患になっていることから「生命心身財産重大事態」に至っている可能性も考えねばなりません。

本事例の状況は、限りなく重大事態と認定される可能性が高いと言えるでしょう。

もちろん、重大事態の判断の主体は「学校の設置者又は学校」になりますから、SCが重大事態であると認定はしませんが、「いじめの重大事態が発生していることを担任教師や管理職に報告する」というくらいなら許されるでしょう。

正直なところ「いじめの重大事態が発生していることを」と、生じていることが確定しているような表現には引っかかるところがありますが、とりあえず良しとしておきましょう。

以上より、⑤は適切と判断できます。

引用URL:https://public-psychologist.systems/13-教育に関する心理学+法律/公認心理師%E3%80%802023-75/

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